都議会のあり方検討会速記録第四号

令和四年一月二十八日(金曜日)
第十四委員会室
午前十一時開議
出席委員 十三名
座長 山崎 一輝君
   三宅 正彦君
   清水 孝治君
   松田 康将君
   伊藤 ゆう君
   田の上 いくこ君
   福島 りえこ君
   谷村 孝彦君
   加藤 雅之君
   和泉 なおみ君
   大山 とも子君
   酒井 大史君
   西崎 つばさ君

欠席委員 なし

委員外の出席者
参考人
元衆議院法制局参事 吉田 利宏君

本日の会議に付した事件
有識者ヒアリング
その他

○山崎座長 ただいまから都議会のあり方検討会を開会いたします。
 初めに、テレビ撮影について申し上げます。
 TOKYO MX、日本テレビ及びテレビ東京から本日の検討会を撮影したい旨の申出がありましたので、許可したいと思います。ご了承願います。

○山崎座長 本日は、前回に引き続き、有識者へのヒアリングを実施することとし、元衆議院法制局参事の吉田利宏氏からご意見をお伺いしたいと思います。
 前回と同様、まずは、吉田氏から事前にご提示をした質問項目についてご見解をいただき、その後、各委員の皆様からご質問をいただければと思います。
 質問時間、限りは一応ありますが、皆さんも内容が重複しないよう心がけていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、吉田利宏氏にご入室いただきます。
   〔吉田参考人入室〕

○山崎座長 本日はお忙しい中、都議会のあり方検討会にご出席をいただき、誠にありがとうございます。本検討会の座長を務めます自民党の山崎 一輝でございます。
 早速ですが、議員報酬に関し、事前にお渡しをした質問事項に従い、吉田先生のご見解をお伺いできればと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

○吉田参考人 おはようございます。ご紹介いただきました吉田利宏です。座ったままで失礼させていただきます。
 まず、お話をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。ペーパーを、一枚紙を出させていただきましたが、それを踏まえて、簡単にご説明をさせていただければなというふうに思っております。
 長期欠席者に対する議員報酬の減額ということですが、こうした仕組みは、法的にも可能であるし、非常に住民にとっては分かりやすい制度だろうというふうに思います。その一方で、法的に導かれる部分は少なく、政策判断が占める割合が非常に高いのかなと思っております。
 議員報酬の法的な性格は役務に対する対価とされていますが、以下のことは、政策的な判断に属することになります。
 都議会議員が役務として求められている議員活動の範囲。議員報酬の減額発動要件。議員報酬の減額率。期末手当の減額率。
 減額の発動要件については、会議に出席する意思があってもできない場合は除くことになるのか、客観的に会議に出席していない事実を捉えて要件とするのかといった大きな視点はあろうかと思います。
 また、期末手当については、議員報酬の減額以上に政策的要素が強いものです。そもそも、期末手当は条例制定で導入すべきものとされ、その際に、それぞれの議会がどのような性格を持たせた手当なのか議論すべきものとされているからです。
 都議会ではどのような手当として期末手当を定めたのか。端的にいえば、期末手当の部分は生活保障給付的な性格も併せているといわれていますので、どの程度、期末手当について生活保障給付的な性格を持たせているのかといったことが、減額議論のスタートになるのだろうというふうに思っております。
 制度をつくろうと思うと、議員の皆さん方もいろいろと気になる点もあろうかと思います。しかし、細かいところまできっちり整合性を取ろうと思うなら、議員報酬に日当制を導入するしかありません。事実、小さな議会ですが、そうした議会も存在します。
 減額率などはそうです。実務実態に比例して減額率を定めようとすると、日当制にたどり着くことになります。そうでないなら、ある意味、政治的判断という割り切りが求められる分野なのかなというふうに思います。
 法制的にお役に立つお話ができればいいんですが、そして、そうしたことを求められているのだろうというふうには思うのですが、この案件については大変難しいところがあります。各議会の制度にばらつきがあるのも、そういう政策判断みたいなものが中心になるからだろうというふうに思っております。
 2、逮捕等による議員報酬の支給停止等についてに移ります。
 議会によって、逮捕等の際に議員報酬が停止される仕組みを取っているところもあります。ただ、この場合も、議員報酬は役務に対する対価であるところから説明しなければなりません。逮捕されたから支給停止になるのではなく、逮捕等による身体拘束により議員としての活動を行うことができない、そのことに伴った停止と捉えることが重要だろうというふうに思っております。
 三つ目です。政策判断に当たり考慮することです。
 政策判断といった以上、議員の皆様や議会の判断の領分というわけですが、最後に、少し広い判断要素に関連することをお話しすることができればなというふうに思っております。
 議員は公務員ですが、特殊な公務員です。本会議や委員会に出席することは議員として当然のこととされていますが、議会基本条例などで定めない限り、義務として正面から規定されているわけではありません。
 例えば、これは国会議員の場合ですけれども、政治的に本会議を欠席するというようなことが割とあります。その場合は、ある意味、政治家として、議員としては仕事をしていると評価することもできるでしょう。
 ただ、議員が自由に本会議などに出席したり欠席したりできるかといえば、それも違うだろうと思います。理由がない限り出席することを期待されており、理由のない欠席が甚だしい場合には、地方自治法百三十七条により、議会の秩序を乱す者として懲罰を科すことができるようになっています。この地方自治法百三十七条と減額条例との役割分担も整理する必要があるでしょう。
 こうしたことを考えると、今回のことは、議員報酬との関係で議員の役務とは何かということをある程度はっきりさせるものであり、場合によっては、本会議などに出席しなさいとの規定も求められるのかもしれません。そうでないと、今度は報酬を減額されても議員という地位だけあればいいという方が、これは極端な例ですが、現れかねないのではないかなというふうに思ったりもします。
 そうした規定をした方がいいというのではなくて、そうしたことまで議員に規定すべきなのかということを考えると、ちょっと残念な思いがするところであります。
 以前、都道府県議会議長会さんは、議員の報酬を歳費にすべきだという報告書をまとめました。大規模議会の議員の活動範囲に鑑みると、うなずける部分もあるのですが、今回の議論のベクトルは逆のものになっているということが気になっています。
 さらに、今回の件の周辺に属することを少しだけ述べさせていただければなというふうに思っています。
 欠席者の減額の仕組みは、徹底した日当制を追求するか、出席できるのに欠席を続ける議員への抑制制度として構成するかの二つに一つしかないように思います。理由もなく本会議などに欠席するような議員は、地方自治法百三十七条で働きかけをして懲罰まで持っていく。この仕組みの運用実績を、まず高めることが必要でしょう。
 また、最終的には、理由なく本会議を欠席する議員が二度と選挙で選ばれないように、会議や本会議や委員会の出席、欠席の情報を都民に伝えることも重要だろうと思います。現在の会派を中心とする表決の結果の公表では、誰が出席し、誰が賛成したか分からず不十分です。そもそも、東京都の委員会条例では欠席届の規定もないと思います。これらのことは、今回の条例整備以前にしなければならないことかなというふうに感じています。
 今回の長期欠席者の議員報酬減額制度は、もし定めるにしても、こうした仕組みにプラスアルファする、長期欠席者の抑制制度として定めるべきでしょう。もし条例の適用対象となれば、これも、住民の前にやる気のない議員であることが明らかになります。
 残りは、ご質問にお答えする形でお話しすることができればなというふうに思います。
 ありがとうございました。

○山崎座長 吉田先生、ありがとうございました。
 それでは、各議員の皆様から順次質問をいただければと思います。今の吉田先生の説明を踏まえた形での質問という形で、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。ある方は挙手をしていただければと思います。

○谷村委員 都議会公明党の谷村でございます。本日は、ご多用の中、本あり方検討会にご出席いただき、また、ご発言をいただきましたこと、心から御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 今日、有識者の方々をお招きしてのヒアリング、本検討会では二回目になります。前、行われたのが廣瀬和彦先生でしたけれども、その際のポイントというのが、議員の役務というものを固定されて、定義づけられて、その定義に私は必ずしも納得しているわけではないんですけれども、その役務の対価として報酬を減額できるという、そういう論理立てでありました。なかなか私自身はそれは納得いかなかったんですけれども、今日の吉田先生のお話は、非常に合理的でもありますし、論理立っていると思います。
 お話を突き詰めていけば、徹底した日当制を追求するか、あるいは欠席者抑制をするための方にするかということで、今、掲げているテーマが長期欠席者という前提だけのことで行われていますので、なかなかこの議論というのにちょっと突っ込みにくい点もあるかとは思うんですが、まずちょっとお尋ねしたいと思いますのは、地方自治法二百三条の第一項、ここに、普通地方公共団体は、その議会の議員に対し、議員報酬を支給しなければならないという、この条文があります。
 この支給しなければならないというのは、いわゆる議員の身分保障であったり、生活給という表現もありましたけれども、ということもあって、また、執行機関と議員の立場というもの、そういったものも明らかにするために議員報酬は支給しなければならないという趣旨で定められているかと思うんですが、理由あるいは事由はどうあれ、議会の議決等によって、この議員報酬を支給しなければならないという条文に対して、支給しないという条例であったり会議規則をつくったりすることによって、支給をしないでよいとなるのかどうか。吉田先生のご見解をお伺いできればと思います。

○吉田参考人 ご質問ありがとうございました。
 地方自治法には、議員おっしゃるように、議員報酬を支給しなければならないというふうにあります。
 ただ、議員報酬の性格自身が役務に対する対価であるということを読み込んだとすれば、仕事をした場合には議員報酬を支給しなければならないと読めるわけですね。ですから、仕事もしないで、それに対して支給をするということまで保障したものではありません。
 仕事をしなくてもあげるというわけではありませんけど、そこは、国会議員の身分保障としての歳費との大きな違いだろうと思います。だから、その点は、長期欠席、議会での活動が不十分だということをもって減額することについては、問題はないのだろうというふうに思います。
 ただ、こういう規定があって、議員もおっしゃったように、反面では執行部に対しての議員の活動を確保するという面がなくはないわけですから、例えば、出席の率を大きく上回って、懲罰的な形で減額をしていくということになれば、議員報酬というのは仕事に応じて払われるものですから、つまり、仕事はそれなりに、例えば半分やっているのに全額とかというと、そういう、微妙な議論ですが、飛び火していくだろうというふうに思います。
 だから、その意味からすれば、私は、仕事をできなかった分ということを減額するという意味においては、この規定にはぶつからないだろうというふうに考えております。

○谷村委員 ありがとうございます。後で、またあれば。

○山崎座長 ほかに。

○清水委員 都議会自民党の清水 孝治と申します。先生、今日はどうもありがとうございました。
 簡潔な中でも非常に中身の濃い内容だったのかなと私は感じておるわけでございますが、レジュメの一番初めに書いてありますとおり、長期欠席者についての議員報酬の減額については政策判断に属するものであるというふうな言葉がすごく印象的だったんですが、そもそもそういった政策判断になってしまうということは、しっかりとした決められたルールになっていないんじゃないか、ちょっとつじつまが合わない部分もあるんじゃないかなと感じています。
 私たち地方自治体議員の金銭給付の件について歴史をちょっと振り返ってみますと、ほとんど国会議員の制度を模してつくり上げていった、近づけていったというふうな歴史があるみたいですが、しかしながら、それは近づけただけで、それとは同じになっていないというところが私は問題なのかなと。それは、議員報酬を歳費にするべきじゃないかということもそうですし、政務活動費の取扱いについてもそう、期末手当についてもそうだと思います。
 何でそのような、これ、国会議員と同じ金銭給付にしていただければ、そのような問題は起こらなかったんじゃないかと思うんですが、なぜこれまでそういうふうな議論にならなかったのかというふうなことを、まずはお聞かせいただきたいと思います。
 それと併せまして、もし仮に、今回、木下氏の問題がこのような議論になっているわけでございますが、木下氏のようなことが国会で、国会議員で起こった場合、どのような議論になったのかなというのをちょっと考えてみたいと思うんですが、もし先生のご見解がございましたら、お聞かせいただければと思います。
 以上です。

○吉田参考人 ありがとうございます。非常に難しいご質問をいただきました。私の能力で答え得る限りお答えさせていただこうかなと思っています。
 一つ目は、地方議員の皆さん方の報酬も含めての条件と、国会議員の条件とが、また異なるという点であります。
 それは一つ、多分、地方議会自身にばらつきがあるということだろうと思います。この都議会のように、国会議員に比す仕事量を抱えている大規模議会もあります。その一方では、やはり兼業しながらもやっていけるという議会もまたあることも事実です。それを一つの制度でくくったということが難しいところなんだろうというふうに思います。
 ですから、一つのところでくくったというところで、いろいろ無理は出てきているんだけれども、あまり詰めないままでいってしまっているというところだろうと思います。都道府県議長会が歳費ということを求めているのも、それは一つの、議員の役割、議会の役割に応じた制度設計を全国一律ではなくした方がいいのではないかという議論の中で生まれたものだろうというふうに理解しております。
 二つ目には、今回のことが国会で起こった場合はどうなるかということですが、ちょっと分かりませんが、懲罰の対象になるんですかね。−−いや、国会の場合は、何ていうんですかね、結局は政治の場になるので、ちょっと違う形の反応になるんですね。
 まず、それぞれの会派のバインドがかなり強いということがあるので、もしかしたらこうならないのかもしれないですね。個々の議員については、法律上というか憲法上、身分保障がしっかりしているわけですけれども、その反面、議院内閣制を取っていますから、国会においては一つの政権獲得競争もまた同時に行われていることが事実で、そのときに、マイナス要素になるようなことが起こったときに、それぞれの会派の力というのは、かなり強いし、動きは速いというところがありますね。
 だから、そこが、法律上の身分保障は弱いんだけれども、ある程度一人一人の議員の自律性みたいなところも配慮している、自治体議会とのまた違いというか、そういうところがあるのかななんていうふうに思っています。
 十分にお答えできなかったんですが、申し訳ありません。

○和泉委員 本当に短時間で分かりやすくご説明をいただきまして、ありがとうございました。
 前回の、廣瀬先生の見解も、また、吉田先生の見解も、地方議員の報酬というのは役務に対する対価だという点で共通している。である以上、先ほど先生のお話にもあったとおり、議員の役務という報酬、報酬は役務であるというところで一つの法律でくくっていることに、それぞれの地方議会の性質上、違いが出てきて、難しさもあるんだというお話でしたが、だからこそ、条例でその自治体に合わせて定めるべきということも、また一方で論理としては成り立つ。
 そうである以上は、私たちは、この議員の報酬とは何か、役務の対価とは何かということの議論が非常に重要だと。都議会として、地方議員の役務をどう考えるのかと、私たち都議会議員の役務というものをどう考えるのかというところに立脚して、報酬というものをどう捉えるのかという議論が必要だということが、非常にこの条例を考える上でも重要なのかなということを感じました。
 先生ご存じのように、木下元議員の問題があって、議員の報酬をどうするかということが今議論をされているわけなんですが、私たちも、議員の減額の条例はないと、都議会は持っていないという下で、あるいは地方自治法において、正当な理由のない欠席については懲罰がかけられるけれども、そうでない以上は懲罰をかけることができない、あくまで、今回のような議会の外で議員が行った行動に対して、それを判断するのは有権者のリコールであるという前提の下で、世論も、議会は何もできないのかという議論もありました。
 そういう下で、今の法体系の中で、あるいは地方自治というものの理解の中で、今回のような問題に対して、議会はどのような対応が可能だっただろうか。先生の個人的な見解で結構ですので、ぜひお教えいただければ。
 どのような対応をするべきだったんだろうかと。それを私たち、迷いながら、試行錯誤しながら、苦悩しながら、議会の中で対応を迫られてきたわけですけれども、もしよろしければ先生の個人的な見解もお伺いできればというふうに思います。よろしくお願いいたします。

○吉田参考人 ご質問ありがとうございます。
 どうすべきだったかというのは難しい問題ではあるかと思うんですが、まず、私は、現行法の中でやれることを最大限やるということが必要だろうと思います。
 議会というのは非常に、なかなか新しいことに対応しにくい。もちろん合議制だからいいところもありますけれども、合議制の弱点でもあります。都議会というのは、非常にたくさんの議員の皆さん方が集まった大きな船です。方向転換するときに、やはりどうしても時間がかかるというところがあります。
 そういうことは取りあえずここのところで置いておいたとして、現行法をどう使うかということであれば、私は、さっきの、ご紹介した地方自治法の百三十七条に基づく懲罰があるだろうと思います。
 そのときに、理由のない欠席かどうかの確認をする、それを徹底するべきだろうかなというふうに思います。場合によっては、医師による診断書というのはたくさん出てくるというふうにされますけれども、必要があれば、百条を立てて、その医師に病状を確認することだってできるわけですよね。
 だから、都議会さんがそれをやれというのではなくて、対応の方向としては、そういったことも考えられるだろうと。まず、現行法の中でやれることは何なのか。こういう、逆に、トラブルが出てきた場合は、今日の議論もそうだと思いますけど、議会としての足腰を強くすることにもなりますよね。だから、やれることは何かということを、もう一度、現行法の中で考えてみることが必要かなというふうに思います。
 それから、現行の法を離れてだとすれば、今、議員がおっしゃったように、議会の役割は何かと、議員報酬は何かという議論をさらに進めることもあるのかなと思います。
 今、議会基本条例について検討中でありますけれども、議会基本条例を定めることは、報酬や議員の役割をある程度分からせることにもなります。それが、一定の方向は決まった上で、都議会さんで報酬の前提となる仕事は何かという議論を前提なしでするよりも、議会基本条例の枠の中ですれば、その分は多少進むことがあるだろうと思います。
 あとは、有権者からすれば、自分たちが選んだ議員、期待している議員がこんな形になると、非常に残念な思いで、残念だけではなくて、憤りに近い思いを抱いているわけであります。ただ、選挙の際に自分たちの判断が十分でなかったと悔いる点もありますけど、さらにいえば、我々、まあ私も都民なんですが、都民に十分な情報が伝えられたんだろうか。そこを、次回の選挙に向けて一歩進められることも、今後の対応になるのじゃないかなというふうに思います。
 さっき出席についての情報、例えば議会においては、大きな議会ではないですけど、市議会レベルだと欠席届、それは、例えば都議会さんの場合は、本会議の場合は欠席届があります。ただ、委員会のときは、ないけれども、事実上やられているように記憶しております。それを法定化した上で、ホームページ上に、委員会も含めて、欠席議員の名前とか、ここまでやるかどうか分かりませんけど、理由も挙げている議会もあるんですね。
 だから、今回のことを、ある意味、議会の足腰を強くするという方向では、そういった改正の議論もあるのかなと。長い目で見ると、そちらの方の実効性も、ある程度期待できるのかなというふうに思っておったりします。
 以上であります。

○伊藤委員 今日は、改めて、都議会の方にお越しをいただきまして、ありがとうございます。前期においても吉田先生には大変ご協力いただきまして、改めてこの場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。
 それで、今日の先生からいただきましたお話の中で、一つ、私の方から非常にシンプルな質問をさせていただきたいと思うんですが、役務に対する対価というところで報酬があるというふうに捉えられるというお話があろうかと思いますが、その役務、つまり議員としての役務ということの中の定義なんですけれども、議会での公的な仕事というのは、もう明確に、どなたの目から見ても役務になろうかと思います。
 一方で、例えば、年間通せば、議会が閉会をしていて委員会もない月というのも一方であって、多くの有権者の方々も、その間において、地域活動というんですかね、地元からいろんなヒアリングを行う、そういうような地元活動が都議会議員の仕事だというふうにも、これは認知されているようには思っていますけれども、ただ、先生の、法的なあるいは条例的な規定の中において、ここが、地元活動、つまりは議会の外での活動が、どこまでその役務というふうに、まあ法的にというんですかね、条例的に定められているというふうに解釈をされているのかということをちょっとお尋ねしたいなと。
 先ほど、そこがひょっとするとある意味曖昧になっているので、各議会においては議会基本条例とかの中で、いってみれば職責みたいなものを書き込むことによって、そこと報酬というものが一つリンクするというふうに位置づけられているのかなというふうにはちょっと理解をさせていただきました。
 というのも、今回の、特に木下氏の問題についていえば、二つ大きな問題があって、なかなか、長期欠席を事実上されていたけれども、しかし、それに対して報酬を減額したりすることができなかった。これ、できなかったのは、別に我々が守ってさしあげようということではなしに、そういうルールがなかった。また、ここは立法機関なので、我々自らがその立法を超えて、法律を、条例を超えて、なかなか措置することができなかったわけですけれど、都民から見ると、これが何か、仲間の議員さんたちを守っているんじゃないかとか、できることをやっていないんじゃないかというような誤解と、認識のずれというのが生まれた結果だったんじゃないかなというふうに思っています。
 その結果、今日のこうした委員会があるというふうにも承知しているんですが、話を戻しますと、やはりこの役務、議員の職務というんですかね、そこの定義というものが、現行法、現行条例においてどのように解されているのかというのを、改めてご解説いただければありがたいなと思います。

○吉田参考人 ご質問ありがとうございます。
 一番最初に、私に求められているのは法制的なことであろうと、ただ、お役に立てないこともあるだろうというふうに申し上げたんですが、まさに、今、伊藤議員がおっしゃってくださった、ご質問してくださったことが、そこに当たるだろうと思います。
 これが自治体議員の役務だということがきちっといえれば、その後の減額の議論も楽になってくると思うんですね。まず、中核的なものはあります。中核的なものはもちろん本会議や委員会の出席だろう、これはもう間違いないだろうと思います。
 それから、それに準ずるものとして、都議会さんもそうですが、会議規則の協議等の場として定められている、ここはそれに加わるだろうと思います。
 というのは、協議等の場に加えることで費用弁償の対象にもなりますし、災害補償の対象にもなるからです。そういう意味では、法的にその部分までは確保されているだろうというふうに思います。
 そのほかについて、議員派遣だとか委員派遣とかあるわけですが、その辺のところも委員会活動の延長線上で捉えれば、それも入るでしょう。
 その後、都議会さんはやっておられないかもしれませんけど、例えば議会報告会とかですね。
 そうなると、これ非常に難しいですね。一般的に、どう考えても議会の正式な活動だというふうにされるわけですけれども、条例で位置づけていれば、公的な色合いはより濃くなりますよね。
 だから、議会基本条例が周辺部分について、よりはっきりさせる意味を持ったと議員もおっしゃいましたけど、それはそういう意味なところがあります。
 その議論が決まらないと、例えば減額率を二分の一にしたときに、全ての活動の中で、例えば対象になる活動、全ての議員活動というのは、とにかくは分からないけれども、本会議や委員会や、ここに挙げた欠席の対象になるような活動がおよそ二分の一になるだろうとか、そういう議論につなげていかなきゃいけなくなるんですね。
 そのときに、延べ時間だとこれくらい標準的な議員としては活動していると。その中に、周辺部ははっきり分からないからばらつきあるんだけれども、その中で本会議や委員会についてはこれ時間あるから二分の一とか、そういうところにつながっていくんだろうと思います。それがきっちりいえればいいんですが、そこが難しいところです。
 日当制が必要だといったのは、ちょっと難しさを表現する意味で例示として挙げたんですけど、日当制をしく場合には、例えば、本会議、委員会出席について幾らと出てくるわけです。そうすると、広がりを考えなくていいんですね。これが議員活動だと。これによって報酬は幾らなんだと、もらえるわけです。
 そうじゃない場合には、特に大規模議会になればなるほど、役割が大きくなればなるほど、周辺部が見えなくなってくるということになります。そうすると、何分の一にするかというところで、非常に、どういう根拠で何分の一にしたのかということが難しくなってくるところにつながってきます。
 結局は、議員へのお答えに対しては、よく分からないというふうにお答えしかできないんですが、申し訳ありません。

○酒井委員 すみません、今日はありがとうございます。
 私の方から、ちょっと今の役務ということに関連をして、一つの考え方としてこういう考え方ができるのかということなんですが、それと併せて、二番目の、逮捕、勾留をした場合に、実質的に議会活動等が、出席ができないと。意思があっても身体拘束をされているからできない。その間、不支給にして、起訴がされないとか、あるいは無罪になった場合には、遡って支払う。
 ただし、有罪になった場合には不支給ということも、県によっては、そういった規定をされているところもあると思うんですけれども、その場合に、先ほどの議論の中で、地方自治法上、報酬に関しては支給しなければならないという規定がある以上、全く支給をしなかった場合においては、要は、この条例に、仮にそういう事態が発生をして、そういう不利益処分を受けた、まあ犯罪を犯した場合ですけれども、仮に裁判に、要は、これは法令に違反をしている条例なんだということで訴えるということがあった場合に、上位法令に条例自体が反する可能性があるのかどうなのか。
 国会議員の中でも、これ歳費ですから、逮捕、勾留をされていて、実質的に国会議員としての活動ができなかったという事例が最近でもあります。
 そういった中で、役務との関係も併せてなんですが、こういう長い歴史の中で、そういったことが実際に裁判事例としてあったのかどうなのかということを含めて、仮になかったとすると、今後、そのことを想定するとどうなのかということが一点と、あと、もう一つ、役務の範囲の考え方で、我々の政務活動費の対象に、これがなるかならないのかということで、いろいろと裁判、訴訟が起こされて、ここまではいいとか悪いとかという形で、何となく裁判の判例が積み重なってきて、我々の政務活動費も、昔に比べるとかなり使用の使途が狭まってきていると。
 これも一つは、都議会議員としての役務の範囲としての活動を判断する上での、どこまでが本会議なり、あるいは議会に来ているとき以外の活動の中で、これは認められているから政務活動費が支給をされるということに関しては、オーケーなのかどうなのかということも、一つの裁判判例等が、この役務の範囲を考えていくための基準として考えるのは、妥当なのかどうなのかという部分について、法律家の観点から、ちょっとご示唆をいただければと思うんですが、お願いいたします。

○吉田参考人 ありがとうございます。
 次々、難問が降りかかってきて、ちょっとたじたじしているわけですが、一つ目は、判例については、私は承知していません。もしかしたらあるのかもしれませんけど、恐らくないだろうというふうに思います。
 例えば、逮捕して勾留されている期間に支給を停止されたと、結果的に有罪になって、それを不支給になったというときに、先ほど地方自治法二百三条の一項ですか、の報酬を支給しなければならないという規定にぶつかるかどうかということですけど、これは分からないですね。
 というのは、まず、この条例をつくった以上−−もし都議会さんがつくることになったとしたら、そこで、活動はできないと判断してつくったわけです。ただ、この逮捕、勾留されている議員からすれば、例えば、獄中から活動の手紙を出したとか、ビラを出したとか、依然として議員活動はしているんだと主張することは当然考えられます。そのときに、最終的に判断するのは裁判所ということになるので、その裁判の結果を見てみなければ分からないというふうには思います。
 ただ、なかなかそれで議員活動をしているということは、これは直感的ですけど、認められにくいだろうな、身体拘束されての議員活動というのは、なかなか認められにくいのかなという気がします。
 それから、二つ目、政務活動費についてですが、政務活動費に認められている活動であるから、議員活動かというところは、一致している部分もあれば一致しない部分もあるかなと思います。外円の中の、本当に外の部分だからです。
 なぜ円の一番外かというと、政務活動費については、議員にも支給できるし、会派にも支給できるということになっていますよね。そうすると、議員じゃなくて、その議員活動の前提というか、議員活動としてというよりも、会派の調査活動の中で位置づけることもできることになっていますから、そうなると、ちょっと違ってくる部分もあろうかなと思います。
 あとは、簡単にいえば、調査のために使わない、ある意味無駄遣いみたいなところを除く部分があるので、ある意味厳しくなったというのは、以前、会派交付金という交付金時代があって、その時代は非常に緩かったところがあるんですね。
 だから、そこから比べれば厳しくはなってはきていますけれども、いや、それは政務活動費で認められるから議員活動かというと、全部が全部そうではないだろうというふうには思います。
 以上です。

○山崎座長 ほかに。

○田の上委員 都民ファーストの田の上です。本日はご説明ありがとうございました。
 先ほど来、役務の範囲についてであるとか、また、正当な理由があれば欠席してもある程度認められるのではないかとか、そういったお話があったかというふうに思っております。
 非常に曖昧な部分が多くて、例えば、正当な理由なんですけれども、そこに対して、病気欠席だったとして、医師の診断書があったりとか、いろいろあるとは思うんですけれども、なかなか客観的に、じゃあ、どれぐらいの期間なら認められるのかとか、こういったケースは認められないとか、いろいろ出てくるのではないかというふうに思っております。
 そんな中で、今、他県の状況とかを見ても、あんまり明確にしているものがない。例えば減額して支給することができるとか、こういったケースはどうなるかというようなものは、全て裁量なのかなというような形に捉えております。
 しかしながら、一方で、都民から見て客観性、分かりやすさというものも必要なのかというふうに思うのですが、それは先ほど先生がおっしゃっていた情報公開の部分であったり、議会基本条例というお話もございましたが、他方で、もう一つ、何か考えていかなければいけないことがあるのか、この条例だけでは完結しないのか、そのあたりのお考えをお聞かせいただければと思います。

○吉田参考人 ありがとうございます。
 今、まさに議員がおっしゃったとおりだと思います。曖昧なところもたくさんあるし、この条例だけでは完結することはないと思います。ほかの自治体を見ても、この条例の適用対象というのはさほどないんですね。
 だから、この条例が長期欠席者に対して、いうなれば議員報酬の適正化を図り、住民の信頼を確保する意味において、役立たないかというと、そんなことはないですね。だけど、これだけで役立たないし、解決はしないということになります。この条例にどれだけの役割を果たさせるかということがあるのかなというふうに思います。
 だから、私が周辺のところと合わせ一本になるだろうというのは、そういう気持ちでいっております。
 今、正当な理由もなく休む場合を恐らく対象にするだろうから、正当な理由というものも難しいというお話もありましたが、そのとおりだろうと思います。もちろん、理由にかかわらず長期欠席者に対して減額するということもあるでしょうけれども、なかなかそこは難しいだろうから、そうすると、正当な理由というのは入れてくるだろうと。
 正当な理由が何かというと、やはりそこでは、出席しようと思っても出席できないというのは一つ基準になるだろうというふうに思います。出席しようと思っても出席できない理由というのは、今、例えば都議会さんだと本会議の欠席に当たって理由は多分述べることになっていると思いますけど、そういったものが一つ参考になってくるのではないかなというふうに思います。
 さっき、先に種をまいたところがあったのは、例えばそれが、理由が不明確であるということが次に考えられるわけですよね。病気だといっても本当に病気なのかどうかというのはなかなか周りからは分からない。
 本人にとっては、もしかしたら大変つらいかもしれなくて、本当かもしれないし、そういったときにもどうするかというと、診断書の提出をきちっとするとか、複数の医療機関からの提出をするとかですね。また結局は、そこの確保の問題に、この問題は戻ってくることになるんですね。
 だから、私はこう−−私はといったら政策判断してしまうからよくないのですけれども、この制度があることは悪くはないと思いますけれども、大きく期待したり精緻化することを目指さない方がいいんだと思います。
 それを目指せば目指すほど今みたいな問題が連なって出てくるし、それに対して全部の答えをある程度出さない限りは、制度設計は難しい。そうなると、もう日当制以外には法的にきれいに整備することは難しいものなんですね。
 だから、全体の幾つかの手法の中で、これをどの程度期待していくかという、だから、この条例を入れること自体が一つの政策判断なんだろうというふうに思います。
 そのほかのやり方で何かあるかというと、なかなか議会の自律性を損ねては、やはりいけないと思いますので、そこは難しいところだと思います。
 以上です。

○加藤委員 都議会公明党の加藤 雅之でございます。
 前回、費用弁償のことについて、廣瀬先生は、制定過程のことについては、詳細は分からないんだけれども、議員が職務を行うために要する費用弁償は、今は受けることができるということなんですけれども、これは、本来は支給しなければならない規定ではないかというお考えを示されました。
 都議会的には、できる規定なので今は支給をしていないんですけれども、減額をするということを今後考えるについては、これについてもやはりしっかりと考えていかなければいけないということを考えますと、吉田先生は、この費用弁償のことについては、どちらの立場を取られるかというか、その考え方について教えていただければと思います。

○吉田参考人 ありがとうございます。
 費用弁償に関しては、報酬自身は仕事の対価だと考えれば、そこの中に費用弁償は入っていないというふうに考えられると思います。
 だから、費用弁償自身は悪くない、支給していいものだと思います。ただ、その費用弁償が事務の煩雑性を理由にして、漠とした費用弁償、実際の額より多かったり、あるいは実際そういう形で費用がかかっていないにもかかわらず、費用弁償の名前として出されるとか、そういった形は問題だろうと思います。
 費用弁償するなら徹底的に、費用弁償というのは実額の補填ですから、その範囲の中で行うのであれば、費用弁償はいいのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。

○山崎座長 ほかに先生方。

○福島委員 都民ファーストの会の福島と申します。本日はありがとうございました。
 私、前回の先生のときにもちょっと同じ質問をしたんですけれども、二番目の、逮捕等による議員報酬の支給停止について、これは前の廣瀬先生も、身体拘束により議員としての活動を行うことができない、これが一つの判断になるだろうという見解でした。
 都議会議員は百二十七名ほどいて、都民の数、一千四百万人を考えると、一人が十万人ぐらいの声を代弁しなきゃいけないという状況になっていって、ある意味たくさんのお声をきちんと集めることができるかということは、一つ役務を果たす上で大変重要だと思うんですけれども、もちろん、無罪になりましたというときには、判断の結果そうなったということで、振り返って支給するとかというのは、私は全然いいと、個人的には、本当にそのとおりだなと思うんですが、一方、逮捕というよりは書類送検であったりとか、執行猶予であったりとか、罪状が決まりましたというときに、その方が代弁者として機能するかといったときに、お声が本当に集まるかという問題はあると思うんですね。
 先ほど、拘束された中で、例えばビラを作るとか、そういう活動は、裁判においてはなかなか判断が難しいであろうと、活動として認められないであろうというお言葉もありましたけれども、都民の代弁者として我々がお声を集める活動をするということに当たって、多分、都民の方のご納得いただける状況というのは、ある意味ちゃんと声を代弁する役割を果たせているかどうかという面も、一面あると思うんです。
 つまり、本人がこれは議員活動であると主張するかというよりは、本当に議員としての活動ができていると認めていただけるかどうか、そういった面で、法律上はこうだというのは分かると思うんですけれども、役務として実際果たせる立場になるか、襟を正すという意味では、やっぱり、一歩進んだ、自らにとって厳しいルールというものが都議会には求められていると思うんですけれども、そのあたり、どのようにお考えでしょうか。

○吉田参考人 ありがとうございます。お気持ちというか、議論はそのとおりだと思います。
 法的にどうかというと、今、議員がおっしゃったところまで広げるとすれば、役務の範囲を最大限広げなきゃいけないということになるでしょうね。都民の意見を聞けるような状況に、常に自らを置く。
 それは論理的にもちろんそうだし、都民はみんなそれを期待しているわけですけど、それも議員報酬の対象となる役務なんだと位置づけない限りは、執行猶予とかについてまで減額にすることはできないんだろうと思います。
 これは懲罰ではないので、懲罰でない以上、仕事をしていないから払わないんだという論理しかないわけですよね。そうすると、仕事の中に入れ込むしかないんだろうと思います。
 だから、そこまでの議論を、非常に成熟した議員ならするのかというと、そこはまた難しくて、それは当然なんだけれども、それは自分たちで律していく話ではないかという議論も、また一方で出ると思うんですね。
 だから、今、議員がおっしゃったことを対象にすることはゼロじゃないけれども、その前提として、そういった状態に置かれている議員が仕事なんだという位置づけをしなきゃいけないし、それが議論だけでできるのか、それとも、何か違う法規案みたいなものを、それぞれの条例で必要になってくるのかという問題もあるかと思います。

○大山委員 共産党の大山です。ありがとうございました。
 先生のお話も伺って、私たちが、やっぱり議員の役務というのは何なのかということをこの場でも徹底的に議論しなきゃいけないし、それから、百二十七人の議員で議論しなきゃいけないなというのを、改めて実感しました。
 一つだけなんですけど、先生さっき、今回のことはベクトルが逆になっているのが気になるとおっしゃっていたんですけど、私、それが気になっておりまして、もうちょっと詳しく教えていただければと思います。

○吉田参考人 ありがとうございます。
 ベクトルが逆になっているというのは、今回、条例をつくるということで、議員の皆さん方、いろんな要素を考えながら制定されると思います。
 ただ、都議会議員というのは、全国の中でも一番大きな議会です。都道府県議会を引っ張っている議会でもあります。さっき議員の方からもご質問があったように、なかなか国会議員との差異が難しいんじゃないかという議論があります。それが一つの、歳費化という議論ですよね。だから、仕事に対する対価ではなくて、議員報酬というのは歳費みたいなものなんじゃないかということを、全国議長会では、一度はそういうことを要望しているわけですよね。
 今回のことというのは、仕事に対する対価だということを前提にせざるを得ないといえども、そういう仕事に関して、自分たちの仕事は何かということを議論する過程で、やはり、歳費化とは違う、歳費化ではない、議員報酬というものは仕事に対する対価だというのを受け入れた上で議論を進めなきゃいけないというところがありますよね。
 だから、それを現行法だから認めざるを得ないということなんだけど、周りからすれば、積極的にそういうことを受け入れた上での議論をしていると思われかねないということがあります。
 私自身も、議員の、大規模議会の役割を考えると、非常に、議員報酬のままでどうなのかというところも思っている部分もあるので、だから、そういうことも、一つ周辺要素としては考えられるのではないかと、ちょっと余分なことを申しました。申し訳ありません。

○谷村委員 もう一度質問させていただきます。
 先生のご主張、お話、非常に合理的であり論理性が一貫していると思います。結論的に申し上げますと、現行法、現行条例では、都議会の議員の役務、その活動の範囲、減額発動要件、報酬の減額率、期末手当の減額率というのは、現行法、現行条例では難しいというお話であったかと思います。
 一番難しいのは、議員の役務というものをどこまで定めるかということで、それ自体が相当難しいわけですね。冒頭申し上げましたけれども、先週の廣瀬和彦先生は、それを無理やり定義づけられて、それに欠席をしているので、これは役務の対価として報酬が払われないで済むだろうという、ちょっと厳しめというか、狭義の定義をされてしまいましたものですから、ちょっと私自身は納得をしておりません。
 ただ、その役務を定義づけることが難しいということは、今、吉田先生に対する質疑で大分明らかになっているのではないかと思うんですけれども、今回の元都民ファーストの議員、木下ふみこ議員について、二回、辞職勧告決議を出しました。
 これは、長期欠席をしているから辞職勧告決議をしたわけではなく、いわゆる社会通念上許されない法律違反があったということで、それに対して都民にも、あるいは議会にも説明をしようとしないというのが一回目、七月二十三日に出しました。
 二回目は九月二十八日で、議員辞職勧告決議をしたにもかかわらず、辞職をする意向も示さない、そして、本会議、委員会等にも欠席をしているということでは、触れてはいるんですけれども、必ずしも長期欠席を主たる理由で辞職勧告決議をしているわけではないわけです。
 ただ、この議員の長期欠席が議題になっているのは、この過程で、そうした長期欠席をした議員に対して報酬削減をするべきだという条例案が出たというか出されたのか、という話があったので、これを受けてやりましょうということだったわけですけれども、ちょうど前回のヒアリングと、そして、本日の間に、木下ふみこ議員に対する初公判が一月二十五日ですけれども行われました。
 検察側の冒頭陳述では、二〇一七年というのは前回の任期ですね、この四年間に計十二回、ミニバイクの運転中などに交通違反をしたと。起訴状によると、二〇二一年五月二十九日から七月二日、計七回、これは公安委員会の免許を受けず乗用車を運転していたと。
 さらに、検察側の冒頭陳述では、二〇一九年二月に免許停止三十日間、それから、二〇二〇年一月に六十日間、二〇二一年三月に九十日間、さらに、二〇二一年五月から七日間で百五十日間という、連続して免許停止を、期間もどんどん長くなっているわけですけれども、そういう状況下で、裁判長は異例の質問をしておりまして、先生、衆議院の法制局にお勤めだったのでお詳しいと思いますけれども、こういう類いは初公判とならずも、即決、裁決、判断が下されるのが通常ですけれども、裁判長が、これだけの交通違反歴についてどう思っていたのかというと、罰金を払うことで罪を償っていると思っていた。もう一回裁判長が、一年間で五回違反をしているがというと、違反することで学んで気をつけることになると認識していたという、こういう形で報道をされております。
 私どもは、今回の木下ふみこ議員の問題について、一番ネックになっているのは何かというと、二回行われました辞職勧告決議、これに法的根拠がないという、これは都議会で全会一致なんです、勧告決議をされた本人以外は、全会一致で辞職勧告決議が二度にわたって通っている。
 十一月二十二日に辞職されましたので、もしそれがなければ三回目の辞職勧告決議もあったかもしれません。七月四日から始まって十一月二十二日に議員辞職されていますので、ちょうど二百日間そういうことが続いたわけですけれども、せっかくですので、先生も衆議院の法制局で大変重要な役割を果たされておりますので、お伺いをいたしますけれども、地方議会における議員辞職勧告決議、ここに、本来もう少し実効性を持たせてはどうかと。
 この質問をするのは、冒頭申し上げましたように、現行法、現行条例から法的になかなか今この議論になっていることを導くことができないという、ごく分かりやすいご説明をいただいておりますものですから、都議会で二回行いました、こうした、全会一致です、全会一致による辞職勧告決議というものの実効性を持たせるには、これは法改正しかないんだろうとは思いますけれども、法改正を除いて、辞職勧告決議に実効性を持たす方法があるとしたら何かという、非常に難しい質問をして申し訳ないんですけれども、先生のもしご見識であるようでしたら、ぜひともご示唆いただければと思います。

○吉田参考人 ありがとうございます。
 そうですね、辞職勧告決議を二度もした、議会としてはやるべきことをやったわけですよね。それに対して前議員が応えてくれなかったということは、議会としてじくじたる思いだったろうと思います。
 ただ、この決議に、多分、効力を持たすことができないのは、今回の場合は全会一致だったわけですけど、例えば多数で議決してしまうと、少数者に対して、それをやめさせてしまうようなことにつながりかねないということがあって、多分、慎重なんでしょう。
 現在の議会においての懲罰となると、もうご存じのとおり、地方自治法や会議規則違反じゃないと懲罰の対象になっていかないというところはあるんですね。どの議会も、人として、あるいは議会人としていかがなものか、それは、地方自治法や会議規則には違反していないけれども、非難されるべき、誰もが非難すべき行為をした議員に対して、何か手はないかということで、倫理条例みたいなものを定めて、その倫理条例の中で独自の、議会としての、何かこう、サンクションみたいなものを置くことはしているんですね。
 ただ、議員の身分を、何というんですかね、奪うということは一番大きなことなので、まあそこは、じくじたる思いというのは分かりながらも難しいんだろうなというふうに思います。
 それが、やはり議員としての仕事をする−−広い意味では、個別にはそういう議員はいらっしゃるかもしれないけど、制度として、議員として活躍していただく広い意味での制度なのかなというふうに思います。

○山崎座長 ほかによろしいでしょうか。−−それでは、吉田先生へのヒアリングは終了いたしたいと思います。
 改めまして、吉田先生、本日はありがとうございました。
   〔吉田参考人退室〕

○山崎座長 予定をしておりました有識者のヒアリングは終了いたしました。

○山崎座長 今後の予定ですが、各会派持ち帰りをいただいて、今回の有識者ヒアリングも参考にしていただきながら、条例改正における論点についてご検討をいただければと思います。
 その上で、二月の上旬に、まずは打合会を開催して、各会派の検討結果、こういったものをご報告いただいて、議論を進めていきたいと思いますが、よろしくお願いをしたいと思います。

○山崎座長 その他、ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎座長 よろしいでしょうか。発言がなければ、以上をもちまして本日の都議会のあり方検討会を閉会いたします。
   午後零時六分散会

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