上海市

 11月7日から9日までは上海市を訪問しました。

 上海市内では、上海万博を来年5月に控え、至る所で道路、ビル、地下鉄網などの工事が急ピッチで進められている状況を目の当たりにすることができました。

上海市の概要

 上海市も北京市と同様に、省が介在しない直轄地である。

基礎データ
  • 市長:韓正
  • 人口:1888万人(2008年末)
  • 面積:6340.5平方キロメートル(東京の約3倍)
  • 市街区面積:5299平方キロメートル
  • 行政区画:18区、1県
 上海市人民代表大会常務委員会の仕組みや機能などは北京市人民代表大会常務委員会と同じである。
中国2010年上海万国博覧会概要
  • 期間:2010年5月1日から10月31日まで
  • 会場:上海市中心黄浦江両岸、南浦大橋と盧浦大橋間の濱江地区
  • テーマ:より良い都市、より良い生活(Better City Better Life)
  • 目標:200の国家と国際機関の出展、7000万人の見学者の誘致 2009年12月現在、221の出展表明がある。
上海万博公式ウェブサイト参照
国際博覧会とは
 国際博覧会条約では、「複数の国が参加した、公衆の教育を主たる目的とする催しであり、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用することのできる手段又は人類の活動の一若しくは複数の部門において達成された進歩若しくはそれらの部門における将来の展望を示すものをいう。」と定義されている。
 また、会場の規模やテーマから「登録博覧会」と「認定博覧会」に大別される。
  • 「登録博覧会」開催期間が6週間以上6か月以内、5年に1回開催。
  • 「認定博覧会」開催期間が3週間以上3か月以内、「登録博覧会」の間の年に開催。
 今回の上海万博は「登録博覧会」である。

 8日には、上海都市計画展示館を視察しました。上海市の都市計画の歴史から浦東地区の開発の状況、臨港新都市の開発構想などの説明を受け、意見交換をしました。

 豊富な写真資料や500分の1の上海市の巨大なジオラマや360度のスクリーンで空から上海市内を見ているような疑似体験ができる設備など、子供連れでも楽しめるような工夫が随所に見られました。

 また、上海万博についても展示スペースが設けられており、上海万博への上海市の強い意気込みや期待が伝わってきました。

 古くからの都である北京と比較して、都市づくりへの規制が少ない上海の開発エネルギー、経済発展に向けた力強さを実感しました。

 次に、上海環球金融センターを視察しました。上海環球金融センターは浦東陸家嘴金融貿易区に位置する上海最高層のビルで、視察当日も中国国内だけでなく海外からの観光客も多く、大変賑わっていました。

 地上100階の展望室へ上がり、上海市内を一望し、近代的なビルが立ち並び、さらに、市内の至る所でビルやマンションなどの建設が行われている様子を視察し、変貌を続ける上海市のスケールの大きさ、活力を体感しました。

建物概要〈森ビル株式会社ウェブサイト参照〉
建物名称上海環球金融センター
延床面積 38万1600平方メートル
階数地上101階/地下3階
建物高さ492メートル
構造SRC造、S造
事業主上海環球金融中心有限公司
設計・監修森ビル株式会社一級建築士事務所
建築設計コーン・ペダーセン・フォックス・アソシエイツP.C.(KPF)
入江三宅設計事務所
構造設計 レスリー・イー・ロバートソン・アソシエイツR.L.L.P(LERA)
顧問設計 上海現代建築設計(集団)有限公司、華東建築設計研究院有限公司
施工中国建築工程総公司、上海建工(集団)総公司

 続いて、商業用として世界で初めて実用化された上海リニアモーターカーの視察を行いました。

 まず、事業についての説明を受け、実際に乗車体験しました。

 このリニアモーターカーは上海浦東国際空港と上海市内の約30キロメートルの区間を最高時速431キロメートル、約8分で走行するといもので、世界で最も早い陸上交通としてギネスにも登録されています。

 日本においても、JR東海のリニア中央新幹線や羽田―成田間のリニアの計画が検討されている中、その実用性を視察できたことは貴重な経験となりました。

 引き続き、上海万博展示センター及び上海万博会場の準備状況を視察しました。

 まず、上海万博展示センターで、写真、模型、コンピュータなどを使って、万博の歴史、発展、上海万博の概要についての説明を受けました。展示物も豊富で内容もわかりやすく、上海万博の概要と同時に、上海万博への上海市の意気込みや期待を改めて理解できました。

 上海万博会場では、外観が出来上がっているパビリオンもいくつかあり、着々と準備が進んでいる様子を視察することができました。

 翌9日には上海市人民代表大会常務委員会の楊定華副主任を表敬訪問しました。

 まず、楊副主任から上海万博に向けて急速に進む地下鉄などのインフラ整備の状況や金融危機の克服に向けた取り組みなどについて伺いました。

 これを受け、田中団長から日本が東京オリンピックや大阪万博を契機に急速に都市開発を行った結果、多くの歪みが生まれたことに言及しました。東京の都市政策は、その歪みの回復、特に公害対策が課題となってきたこと、そして、東京は車の排気ガス対策、下水の整備、公共交通機関の整備などを進めてきたことを説明しました。

 最後に、大都市特有の様々な課題を克服するための経験や英知を共有し、世界へ発信していくことの大切さを確認し合いました。

地下鉄などのインフラ整備の状況
上海市の地下鉄の現在の運行距離は280キロメートルだが、来春の万博開催時には400キロメートルまで開通予定である。
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