上海市

 11月10日から12日までは上海市を訪問しました。移動するバスの車内から急速に経済発展をしている上海市の様子を目の当たりにしました。渋滞緩和などの交通基盤整備のため、市内のあちこちで地下鉄工事が進められており、平成22(2010)年の万博開催もあいまって上海市の経済発展が加速している印象を強く受けました。

 広大な万博会場の予定地は、まだほとんどが更地の状況でしたが、2年後には風景が一変し、内外から多くの訪問客を集めることは確実であり、上海の新しい姿を予感させました。

上海市の概要
 上海市は直轄市であり18区と1県を管轄している。
  • 人口:1845万人【平成19(2007)年12月現在】
  • 面積:6340.5平方キロメートル(東京都の面積の約3倍)
上海市人民代表大会常務委員会の仕組みや機能等は北京市人民代表大会常務委員会と同じである。
上海市の地下鉄路線図(平成19(2007)年12月現在)
平成19(2007)年現在で9路線開通。平成22(2010)年までに11路線開通させる予定。

 11日には上海浦東国際空港から実用化されたリニアモーターカーに乗車して、時速430キロメートルの世界を体験しました。

 全長約30キロメートルを7分15秒で走行しましたが、発車後、瞬く間に加速され約3分程度で最高時速431キロメートルが車内に表示されました。

 今後、市内中心部への延伸が計画されていますが、日本でもJR東海によるリニア実用化の計画もあり、参考になると考えられます。

上海リニアモーターカー《上海磁浮列車(Shanghai Maglev Train)》
  • 区間:上海浦東国際空港⇔上海市内(龍陽路駅)約30キロメートル
  • 所要時間:約8分
  • 速度:平均時速300キロメートル 最高時速430キロメートル
  • 開業年度:平成16(2004)年1月
  • タイプ:磁気浮上式リニアモーターカー
  • 運行時間:6時45分から21時15分
<上海磁浮交通発展有限公司ウェブサイト参照>

 リニア大国のドイツの技術で開発された。常設実用線の磁気浮上式リニアとしては、イギリス・ドイツに続いて世界で3番目。商業用リニアモーターカーとしては、世界初である。

 磁気浮上式リニアとは、電磁力を利用して車体を浮かせる列車。浮上式リニアは高速走行という点で注目されているが、建設コストが高いのが難点。愛知万博で活躍したリニモも磁気浮上式で同じタイプ。(ただし、最高速度100キロ)

 また、時速500キロと超高速が可能な山梨リニア実験線は磁気浮上式の中の一つである、超電導磁気浮上式である。

 鉄道で最も普及しているのは、車体は車輪で支え、推進方式のみリニアモーターカーを使う鉄車輪式で、車体がコンパクトですむ、登坂能力が向上するなどの利点がある。都営地下鉄大江戸線はこのタイプ。

 このようにリニアモーターカーには様々なタイプがある。

 次に、上海都市計画展示館を視察しました。

 上海市の歴史から、浦東空港の拡張工事万博会場予定地、さらには臨港新都市開発の構想などの説明を受け、意見交換を行いました。

 ここでは360度のスクリーンで、何かの乗り物で空を飛びながら上海市内を見ているような、疑似体験ができる映像により都市を案内する展示や、大きなジオラマの模型など多様な技法を用いて、テーマパークのように来訪者を飽きさせない工夫が随所にみられました。

 北京市の都市計画展覧館の展示と同様、都市をアピールする広報のあり方として大いに参考になりました。

 続いて、平成20(2008)年の竣工時には492メートルでアンテナ部分を除くと世界一の高さになる上海世界金融センターを視察しました。

 建設中のビルや建設地の浦東新区(面積は千代田区と港区をあわせたぐらい)の再開発について詳しく説明を受け、活発な意見交換も行い、上海の都市づくりについて理解を深めました。

 超高層ビルが林立する状況を建設中の上海世界金融センターの工事現場からも視察しましたが、上海市では50メートルを超える高層建築が5000棟を超えているということであり、その発展の速さに驚かされました。

上海世界金融センター(上海環球金融中心)
 上海市浦東新区に建設中の超高層ビルである。平成20(2008)年完成予定。高さ492メートルで完成すれば、アンテナを含んだ台湾の台北101(508メートル)の高さに次いで世界第2位、中華人民共和国では第1位の高さになる。
 しかし、UAEのブルジュ・ドバイ(高さ808メートル以上)やアメリカのフリーダムタワー(高さ541メートル)が完成すると世界2位の座は短期間で終わることになるが、完成時にはアンテナを含まない軒高では世界で最高の高さになる予定。
建物概要
  • 所在地:上海市浦東新区陸家嘴金融貿易区中心区Z4-1街区
  • 高さ:タワー部492メートル(地上101階、地下3階)
  • 延床面積:37万7300平方メートル
  • 建築面積:1万4400平方メートル
  • 敷地面積:3万平方メートル
<上海環球金融中心ウェブサイト参照>
浦東新区の開発
 浦東新区の開発とは、従来の市街地の東側、黄浦江と揚子江に挟まれた、518平方キロメートルという広大な未開発地域を外資導入により開発するプロジェクトで、いわば「新上海」づくりである。浦東新区を中核として上海を21世紀初頭に国際的な金融・貿易・経済センターとし、揚子江沿岸部の経済発展を牽引していこうとの戦略として開発されている。
 平成2(1990)年4月に国家プロジェクトとして開始され、平成4(1992)年の鄧小平の改革・開放の意志を示したいわゆる「南巡講和」が発表されたころより開発が加速した。外資導入に対し税制等種々の優遇措置が与えられている。浦東新区は急速に発展しつつあり、その経済成長率は上海市全体のそれを大きく上回っている。
 浦東新区はビジネス街であり、中国発展の姿を最も実感できる場所である。
<浦東新区人民政府ウェブサイト参照>

 12日には、上海市人民代表大会常務委員会の胡煒(コ イ)副主任を表敬訪問しました。

 上海市の発展に向けては環境等にも十分配慮しているという話をうかがい、上海市の都市づくりが、経済最優先から転換期にあるという印象を持ちました。

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