東京都議会友好代表団が北京市・ソウル特別市を訪問

訪問の目的

 北京市及びソウル特別市との友好都市提携に基づく交流事業の一環として、北京市人民代表大会常務委員会及びソウル特別市議会の招請を受け、両都市を訪問する。併せて、北京市の提案により上海市を訪問する。交流を通じて、東京都と北京市及びソウル特別市との友好・親善の増進に寄与するとともに、これらの都市に共通する都市問題などに関して、調査及び意見交換を行い、都議会における政策立案に資することを目的とする。

テーマ

  • 友好交流の増進
  • オリンピック施設の整備状況
  • 環境施策
  • 都市の再開発
  • 産業振興

訪問都市

 北京市(北京市の案内による上海市を含む。)及びソウル特別市

期間

 平成17年11月13日(日曜日)から11月19日(土曜日)7日間

代表団

団長木内 良明都議会副議長(都議会公明党)
副団長高島 なおき都議会議員(東京都議会自由民主党)
団員松原 忠義都議会議員(東京都議会自由民主党)
団員野島 善司都議会議員(東京都議会自由民主党)
団員高橋 信博都議会議員(東京都議会自由民主党)
団員中村 明彦都議会議員(都議会民主党)
団員相川 博都議会議員(都議会民主党)
団員大塚たかあき都議会議員(都議会民主党)
団員中嶋 義雄都議会議員(都議会公明党)
団員渡辺 康信都議会議員(日本共産党東京都議会議員団)

日程概要

月日 時間 内容
11月13日(日曜日) 10時20分 成田空港発
13時25分 北京空港着
16時30分から17時30分 北京市人民代表大会常務委員会表敬訪問
(北京泊)
11月14日(月曜日) 午前 オリンピック施設展示センター及びメイン会場工事現場視察
午後 北京市内視察
17時00分から17時30分 北京市人民政府表敬訪問
(北京泊)
11月15日(火曜日) 午前 北京市都市計画展示館視察
15時20分 北京空港発
17時15分 虹橋空港着(上海)
(上海泊)
11月16日(水曜日) 午前 上海索広映像有限公司視察
11時30分から12時30分 上海市人民代表大会常務委員会表敬訪問
午後 上海市都市計画展示館及び市内視察
(上海泊)
11月17日(木曜日) 午前 上海リニアモーターカー乗車
12時10分 浦東国際空港発(上海)
14時50分 仁川空港着(ソウル)
(ソウル泊)
11月18日(金曜日) 9時00分から10時00分 ソウル特別市議会表敬訪問及び議事堂見学
10時00分から11時00分 ソウル特別市政務副市長表敬訪問 ソウル広報館視察
11時00分から12時00分 DMC(デジタルメディアシティ)視察
13時30分から15時00分 清渓川文化館訪問及び清渓川視察
17時00分から18時00分 ワールドカップ競技場視察
(ソウル泊)
11月19日(土曜日) 午前 市内視察
16時40分 金浦空港発(ソウル)
18時40分 羽田空港着

報告

北京市

 11月13日、最初に、北京市人民代表大会常務委員会の金生官(きん せいかん)副主任を表敬訪問し、翌日、北京市人民政府の張茅(ちょう ぼう)副市長をそれぞれ表敬訪問しました。

 そこで、東京、北京両都市が1979年に友好都市提携を結んで以来、26年間にわたる文化、経済、教育など、広範な分野における交流の成果を確認しあうとともに、急速な発展と拡大を続ける両都市が抱える様々な課題について、意見交換を行いました。

北京市人民代表大会の仕組み
 北京市人民代表大会は、地方国家権力機関として憲法に定められており、立法権、予算や経済計画の決定権、人事権(人民政府の長の選出など)、監督権(人民政府、人民裁判所、人民検察庁の監督)などを有する。
 人民代表大会の開催は年に1回程度のため、常設機関として常務委員会が設置され、閉会中の業務にあたっている。
北京市人民代表大会
  • 代表数 677名
  • 任期 5年
  • 会議 年1回程度
北京市人民大会常務委員会
  • 構成 主任(議長にあたる)1名 副主任(副議長にあたる)8名 秘書長、委員(53名)
  • 任期 5年
  • 会議 主任が召集、少なくとも2ヶ月に1回開催

 北京市は2008年に初のオリンピック開催を控えており、オリンピック施設や道路などの都市基盤の整備が急ピッチで進んでいるところです。

 ちょうど、オリンピックのマスコットが発売された直後でもあり、オリンピックに沸く市民の熱気に直に触れることができ、また、「鳥の巣」と呼ばれる斬新なデザインのメインスタジアムなどの建設現場を視察し、施設の整備状況について説明を聞くなど、時宜を得たプログラムとなりました。


(参考)2008年北京オリンピックの概要
  • 開催期間:2008年8月8日から8月24日
  • 競技種目:28競技302種目
  • オリンピック競技施設 全37施設中31施設が北京市内に建設(うち新規建設11施設、既存施設の改修など20施設)
主な新規建設施設

メインスタジアム《鳥の巣》
  • 座席数 10万(うち固定座席8万、臨時座席2万)
  • コンペにより、スイスと中国の建築事務所の作品が選ばれた。斬新なデザインが特徴で、外見から「鳥の巣」と呼ばれている。(2007年夏完成予定)

水泳センター《水立方》
  • 水泳競技を行う。1万7000人を収容できる。
  • 試合の後に一般市民に開放予定。
  • 斬新なデザインが特徴で、10の設計案から中国とマカオの建築家のデザインが選ばれた。半透明の箱型、表面は泡で包まれ、上部の水の分子を表現している。
  • 自然通風と水循環システムの採用など環境にも配慮している。
上海市

 15日からは、2010年の万博開催に向け著しい経済発展をとげている上海市へと移動し、翌16日、上海市人民代表大会常務委員会の朱暁明(しゅ ぎょうめい)副主任を表敬訪問しました。

 同主任からは、強い歓迎の意が表明され、その後、上海市都市計画展示館を訪れ、浦東(ほとう)空港の拡張計画など上海市の都市計画について具体的な説明を受けました。

 北京市及び上海市は、ともに都市計画展示館を建設し、先進的な技術による模型や映像などを駆使して、都市計画の全体像を視覚的に示し、幅広い市民が理解できるよう工夫を凝らしていました。

 また、上海では、日中合弁会社である上海索広(ソニー)映像有限公司の工場を視察しました。

上海索広映像有限公司の概要
 ソニーと上海の日中合弁企業。テレビ、プロジェクターなどの電子製品を生産している工場で、水のリサイクルなど環境対策にも取り組んでいる。
  • 資本金 1億250万ドル(ソニー70% 上海30%)
  • 工場の規模 敷地面積106208平方メートル 床面積3万9417平方メートル
  • 開業年度 1996年
  • 従業員 1800名程度(うち半分は正社員)

 上海では、浦東空港への移動に際して、上海リニアモーターカーを利用し、世界最速を体感しました。

 上海リニアモーターカーは、最高速度430キロメートルで、約8分で上海市内と空港を結んでおり、交通渋滞の解決の一方策として注目されています。

上海リニアモーターカー
  • 区間 上海浦東国際空港⇔上海市内 約30キロメートル
  • 所要時間 約8分
  • 速度 平均時速300キロメートル 最高時速430キロメートル
  • 開業年度 2004年1月
  • タイプ 磁気浮上式リニアモーターカー
 磁気浮上式リニアとは、電磁力を利用して車体を浮かせる列車。浮上式リニアは高速走行という点で注目されているが、建設コストが高いのが難点。愛知万博で活躍したリニモも磁気浮上式で同じタイプ(但し、最高速度100キロ)
 鉄道で最も普及しているのは、車体は車輪で支え、推進方式のみリニアモーターカーを使う鉄輪式で、車体がコンパクトですむ、登坂能力が向上するなどの利点がある。都営地下鉄大江戸線はこのタイプ。
 また、時速500キロと超高速が可能な山梨リニア実験線は超電導磁気浮上式である。このようにリニアモーターカーには様々なタイプがある。
ソウル特別市

 次に友好代表団は、17日からソウル特別市を訪問いたしました。翌18日、ソウル特別市議会の林東奎(リム ドンキュ)議長を表敬訪問し、両都市の17年間にわたる友好関係のさらなる推進を確認するとともに、首都移転問題などについて活発な意見交換を行いました。

 また、市議会では、最近導入された電子投票システムの視察も行いました。

市議会の概要

 市議会の権能、組織は日本の地方自治制度と類似点が多い。

  • 議員 102名 任期4年
  • 議長 1名 副議長2名 任期2年
  • 議会運営 本会議(年2回) 常任委員会(9委員会)特別委員会(必要に応じて)
  • 議会の権能 条例の制定、改廃、予算案の決定、決算承認、請願の審査など

 その後、ソウル特別市の鄭 泰根(チョン テグン)政務副市長を訪問し、都心部に清流を復活させる清渓川(チョンゲチョン)復元事業が、2005年10月に完成したことをお祝いするなど、和やかな雰囲気で意見交換を行いました。

 その清渓川(チョンゲチョン)については、実際に視察しました。清渓川(チョンゲチョン)復元事業は、川だけでなく朝鮮王朝時代の橋も復元するなど、観光、文化政策の一面もあわせ持っています。

清渓川復元事業の概要

 ソウルの中心を流れる清渓川が2005年10月1日、半世紀ぶりに復元された。

 清渓川は汚染問題などからコンクリートと高架道路で覆われていたが、環境改善と歴史文化施設の復元を目的に、川に復元する工事が行われ、工期2年というスピードで完成した。復元にあたっては、朝鮮時代からの橋の復元など特徴ある橋をかけ、観光スポットとしても整備した。

  • 復元区間 約10キロメートル
  • 工事期間 2003年7月から2005年9月
  • 事業費 約3867億ウオン(約390億円)

 ソウル特別市が投資誘致プロジェクトとして力を入れているDMC(デジタルメディアシティ)が造成中であることから、その現地を訪れました。DMCは、文化産業とITに強い韓国経済の強みを生かしたプロジェクトであり、今後の開発が大いに期待されています。

 7日間で三都市の訪問という極めて多忙な日程でありましたが、各都市における充実した意見交換などを通じて、都市間相互の友好関係を一層推進するという当初の目的を達成することができました。

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