委員外の出席者
東京都議会情報公開推進委員会学識経験者 藤原 静雄君
本日の会議に付した事件
委員の辞任及び選任について
議席について
公文書開示等の実施状況について
「情報公開の最近の動き」について
・東京都議会情報公開推進委員会学識経験者
意見聴取
〇こいそ委員長 ただいまから東京都議会情報公開推進委員会を開会いたします。
初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。
議長から、去る二月十日付をもって、塩村あやか委員の辞任を許可し、新たに、おときた駿議員を選任した旨の通知がありました。ご報告申し上げます。
〇こいそ委員長 次に、議席について申し上げます。
議席につきましては、お手元配布の議席表のとおりといたしますので、ご了承願います。
〇こいそ委員長 次に、本委員会に常時出席する議会局の幹部職員に人事異動がございましたので、ご紹介いたします。
議会局担当部長で総務課長事務取扱の小林あかねさんでございます。管理部広報課長の大平裕己君です。調査部調整担当課長で図書館長兼務の冨樫誉君です。
〔職員挨拶〕
〇こいそ委員長 紹介は以上でございます。紹介を終わります。
〇こいそ委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取の後に、本委員会の学識経験者である中央大学法科大学院の藤原静雄教授から、情報公開の最近の動きについてご意見を聴取したいと思います。
それでは、まず、公文書開示等の実施状況について、小林総務課長から報告をいたさせます。
〇小林議会局総務課長 それでは、公文書開示等の実施状況についてご報告させていただきます。
初めに、お手元の資料1をごらんください。
平成二十六年度東京都議会の公文書開示実施状況でございますが、請求件数は二ページ目にわたりまして十一件で、該当する公文書二十八件のうち、開示が八件、一部開示が九件、非開示が一件、不存在が六件、却下が四件で、不服申し立てはございませんでした。
続きまして、資料2をごらんください。
都議会では、条例に基づく開示請求を待つことなく、都議会ホームページや都議会図書館による都議会情報の公表に努めております。都議会図書館における番号1から20までの資料の平成二十六年度の複写サービス実績は、資料に記載のとおりでございます。
最後に、資料3をごらんください。
平成二十六年度中に議会局で作成した刊行物等についてまとめたものでございます。
なお、これらの実施状況等につきましては、東京都議会情報公開条例に基づき、毎年度取りまとめの上、公表しております。
報告は以上でございます。
〇こいそ委員長 報告は終わりました。
ただいまの報告について、ご質問等はございますでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇こいそ委員長 それでは、本件については、以上のとおりとさせていただきます。
〇こいそ委員長 それでは、これから学識経験者からの意見聴取を行います。
藤原教授の入室をお願いいたします。
〔藤原学識経験者出席〕
〇こいそ委員長 平成十一年に、東京都議会情報公開条例が施行され、都議会は積極的に情報公開の推進に努めてきたところであります。
本日は、長年にわたり本委員会の学識経験者を務めていただいております中央大学法科大学院の藤原静雄教授においでいただき、今般の行政不服審査法の改正等を踏まえた情報公開の最近の動きについて、ご意見を聴取いたしたいと思います。
藤原先生、本日は大変お忙しいところ本委員会へご出席いただきまして、ありがとうございます。
限られました時間ではございますけれども、専門的なお立場からのご意見をお伺いいたしたいと思います。
なお、藤原先生には、どうぞご着席のままでご説明いただきたいと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
〇藤原学識経験者 ありがとうございます。ただいまご紹介いただきました藤原と申します。本日はお話をする機会を与えていただきまして、大変光栄に存じております。
それでは、与えられた時間は二十分程度ということでございますので、早速話に移らせていただきます。
お手元のレジュメをごらんいただきますと、情報公開の最近の動き、行政不服審査法改正に関連してというタイトルでございまして、情報公開との関係で最近最も重要かつ大きな動きであるところの不服審査法の改正と情報公開条例の関係についてお話をさせていただきます。
お手元の四ページ物のレジュメに番号が1から8まで振ってございますけれども、1から6までが行政不服審査法がどういうふうに改正されたのかというお話でございます。最後の7と8が、それではその行政不服審査法の改正を受けて情報公開条例にどのような影響があるかと、そういうお話でございます。大きく二つの部分から成っているということでございます。
それでは、早速中身ですけれども、まず1のところをごらんいただきますと、行政不服審査と行政訴訟ということでございます。これ、先生方には周知のことと思っておるところでございますけれども、簡単におさらいをしておきたいと思います。
不服申し立てと訴訟の違いと申しますのは、ここのレジュメにございますように、不服申し立てというのは審理をするのは行政府に属する機関であると、行政であるということでございます。行政訴訟はもちろん裁判所が審理をするということでございます。
根拠法となっている法律は、今度改正されました行政不服申し立ての場合には、一般法としての行政不服審査法、それと個別の法律がたくさんある。整理されましたけれども、なお一定の数があるということです。福祉に関するものなら福祉、建築に関するものなら建築というふうにです。行政訴訟の方は行政事件訴訟法が根拠法規であるということです。
最も大きな違いは審査の対象で、不服申し立てというのは不当性の判断までできるという--裁判所は、物事の違法を判断する、行政の処分の違法性を判断するところでございますけれども、行政不服申し立ての方は当不当、妥当か否かまで踏み込んで、いわゆる行政の裁量にも踏み込んで審査をするというところが最も大きな違いがあります。
審理の形態としても、不服申し立ての方は簡易迅速性、簡易であり早い。訴訟の方は、丁寧にやるということになっております。これが、いわゆる理念型でございます。理念型なんですけれども、次に運用実態をごらんいただきますと、平成二十三年のものですけれども、国で大体年間約三万件、地方公共団体で年間約一万八千件の不服申し立てがございまして、国の方で認容率が一〇・六%、地方ですと認容率二・八%、つまり百分の、約三%弱が不服を申し立てて認められるという、そういう数字でございます。
その認容率が低いのは適切に行政活動が行われているからという、そういう推測もできますし、あるいは逆に、行政活動が必ずしも適切に行われているわけではないのですけれども、不服申し立て制度にそもそも欠陥があるから認容されていないのではないかという二つの推測が成り立つということです。
こういった事情を受けまして、2でございますけれども、行政不服審査法がなぜ今回改正されたかと申しますと、今申し上げたように、行政不服審査法に対する消極的な評価というものがございまして、公平性に疑問が残るのではないかと。あるいは使い勝手が悪いんじゃないかと、一般の国民、都民、市民にとってです。あるいは簡易迅速とはいいながら時間がかかり過ぎるのではないかと。そうすると、国民の権利救済が十分ではないのではないかという議論があったわけです。
これはもう一方から見ますと、(2)に書いてございますように、行政活動の手続に関する重要な法律の制定と改正ということでございますけれども、行政が何らかの処分をすると。許認可であっても、その許認可を取り消すという処分でも結構なんですけれども、処分がされるという時点を基準点として考えまして、行政手続法が事前、処分より事前を切り捨てる法律。不服審査法と行政事件訴訟法は事後、処分の後に救済をする法律でございますけれども、一九九三年、平成五年には行政手続法が制定されまして、平成十七年には意見公募手続、いわゆるパブリックコメントもその中に追加されているということです。さらに二〇〇四年には、行政事件訴訟法の半世紀ぶりといわれた大改正があったと。その中で、行政不服審査法がひとり取り残されていたというのが一ページ目のお話です。
続いて3、行政不服審査法の改正の経緯をごらんいただきますと、今申し上げましたように、行政不服審査法という法律は、行政事件訴訟法、それともう一つ重要な法律としては、実は国税通則法という法律がありますけれども、この国税通則法、行政事件訴訟法、行政不服審査法というのが一九六二年、昭和三十七年の法律でございます。その中で五十年以上たって不服審査法だけ改正されずに残っていたということでございます。
そこで、二〇〇七年以降、ここに書いてございますように、検討会が最終報告を出して、福田内閣のときでございますけれども、法案提出されたんですけれども、衆議院が解散されて、政権交代がございまして、今度は救済制度検討チームで取りまとめて、野田内閣のときに政権交代があって法案が提出されず、その結果、二〇一四年にようやく新法案が提出されて、これが六月に成立いたしまして、二年以内の施行ということになっているという、こういう状況でございます。
そこで、4の不服審査法の改正のポイントでございますけれども、まず最初の狙いは使いやすさの向上ということでございまして、これは、審査請求への一元化と書いてありますのは異議申し立ての廃止ということでもあるんですけれども、不服申し立ての中には処分をした当該行政庁にいわゆる文句をいうという異議申し立てと、第三者がいるのであれば第三者に文句をいって、そこで審査してもらうという審査請求があったわけですけれども、それは上級行政庁、上級庁があるかどうかで分けていたわけです。それを、もうとにかく審査請求に一本化して、第三者がやる審査請求に一本化しようということになった。これが原則であるというのがまず今回の改正のポイントであります。
それから、使いやすさという面では、請求も長くなりまして、審査請求の場合には処分があったことを知った日の翌日から起算して三カ月ということで、六十日などという期間よりはるかに長くなったということでございます。
それから、三番目が使い勝手の悪かったところでございますけれども、不服申し立て前置の見直しということでございまして、下に具体例が括弧の中に書いてございますけれども、例えば建築基準法という法律の中では、何らかの処分が取り消されると。その取り消しで訴訟で争おうと思うと、当該処分についての審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ提起することができないということが個別の法律に書いてある、建築基準法の九十六条に書いてあるわけでございます。
つまり、法の建前は行政事件訴訟法で、まずは自由選択主義ということで不服申し立てという、行政に考え直してもらったり、文句をいっていってもいいし、あるいは裁判所に直ちに訴訟を起こしてもいいと。原則はそうなっているものの、ところが、個別の法律で不服申し立て前置主義、つまり処分があったら必ず不服申し立てで行政の側から答えをもらってこないと訴訟には行けないというシステムが置いてあると。
これは例外なんですけれども、二ページのレジュメの下の米印に書いてございますように、原則は自由選択主義で、例外が不服申し立て前置主義のはずなんですけれども、実は我が国の制度の大きな問題の一つは、例外を定めた個別の法律が非常にたくさんあったということでございます。それを今度の法律で非常にたくさん整理して、やはり、自由に選択できるのが原則であるべきだということにされたわけです。いまだ残っておりますけれども、大幅にこれが少なくなった、縮減されたということでございます。
それから二番目のポイントは5でございますけれども、行政不服審査法の改正のポイント2ということで、迅速な救済ということで、まず最初に標準処理期間の設定、公表ということがございます。これは三ページ目の冒頭に書いておきましたけれども、行政手続法、あるいは都でありますと手続条例の中に出てくる考え方でございまして、標準処理期間というのは、審査請求が事務所に到達してから当該審査請求に対する裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間、これは手続法の中では、何らかの申請をしたら申請に対する答えを出すまでに通常の仕事であれば何十日ぐらいでできるはずだという標準的な処理期間が定められるはずだという、その考え方がここにも導入されたということでございます。
あとは事前整理手続等も入っているということですけれども、このあたりは略させていただきます。
それから、改正のポイントの三つ目ですけれども、公平性の向上というので、三ページのところに図を、ちょっとポンチ絵を描いておきましたけれども、まず役所、処分庁から処分がされる。これが〔1〕のところです。それに対して不満があれば審査請求をすると。審査請求をするんですけれども、その際、今後は必ず審査請求が上がってきた審査庁は審理員という者を導入して指名しなければならない。それを審理して、〔4〕です。それで、審理員が審査庁に意見書というものを提出して、審査庁は改めて、これからご説明します第三者機関であるところの行政不服審査会というところに諮問をすると、〔6〕。それで、不服審査会は答申をして、最後に、その答申を受けて、審査庁はみずから審査請求人に対して裁決という最終的な答えを与えるという、そういう手続の流れになっております。これが〔1〕から〔8〕までです。
その中で審理員制度と申しますのは、三枚目の(1)に書いてあることでございますけれども、審査庁に属する職員の中から審理手続を行う者を指名するんだと。これは大体、総務系の、総務課とか総務系の、余り利害関係のないところから選ぶということに普通はなっているわけです。この者が大きく関与をすることになると。
(2)ですけれども、第三者機関、不服審査会制度の導入と。これは、国の場合は九人の委員から成る行政不服審査会というのを総務省に設置することになっております。原則は、審理員意見書の提出を受けたら、不服審査会に諮問しなければならないという原則で、そこから答申をもらって審査庁は考えるという、そういう話になっているわけでございます。
これを前提としまして、もう一つ、これが制度として大きく変わったところです。四ページ目をごく簡単に説明しておきますと、審査請求人の手続的権利も拡大したということで、口頭意見陳述において質問権などというものも、質問を発することができるようにもなったと、明文で認められるという、そういうことになっております。
さて、ここまでが行政不服審査法の改正の概要でございまして、それでは、これが皆様方の委員会とも関係する情報公開条例とどういう関係を持つかですけれども、不服申し立て手続を審査請求に一元化し、審理員を置いて行政不服審査会を設けると。
そうしますと、この制度をそのまま、行政の情報公開も条例に基づいて処分をするわけなので、議会でも議会が条例をつくって、それに不服があるということで多分処分をすると、議会の場合は議長決定ということですけれども、通常、地方公共団体が処分をするということになると、そうすると、先ほどの三ページ目の図をごらんいただくと、不服審査会の役割というのは、実はこの真ん中に書いてある審理員という人が実質的審理を行うと。審査会では、じゃあ、何をやるのかというと、この審理員が行った審理手続の適正性とか、あるいは法令解釈を含めた審査庁の審査請求についての判断の妥当性をチェックするんだということになるわけです。
ところが、情報公開の場合は、我が国は、情報公開制度は、東京都もそうですけれども、行政の中では非常に進んだ分野でありまして、情報公開に対する不服申し立ても不服審査法で処理してきたという実績があるわけです。
各自治体では情報公開審査会、あるいは情報公開・個人情報保護審査会が審査請求等を処理してきた実績があると。しかも、不服申し立て事件の大体八〇%、八〇%は実は開示請求等であると。情報公開条例に基づく開示請求であったり、個人情報保護条例に基づく自己情報開示であったりしますけれども、八割は情報公開関係の事件なんだと、事案なんだということです。二割が社会保険といったような一般的な不服審査にのるような話だということになります。
そうしますと、不服審査法が改正されたことで、いずれにせよ、情報公開条例も改正はしなきゃいけないんです。どういう改正かというと、例えば、不服申し立てという文言は審査請求に統一しなきゃいけませんし、不作為事件なんかは審査会に諮問するんだというようなことを追加、対象の追加もいるでしょうし、手続的な手直しはしなきゃいけないんですけれども、最も大きいことは、情報公開の場合は情報公開審査会というものがあって大きな役割を果たしてきたと。それをどう評価するかということで、四ページ目の真ん中ごろに書いてありますように、不服審査法の条文の中にも、条例に基づく処分について、条例に特別の定めがある場合には、この審理員制度を適用除外にできるということが書いてあります。
総務省の見直し方針におきましても、行政不服審査法に基づく手続の特例等を定める個別法については、行政不服審査法と同等以上の手続保障の水準を確保することを基本として、各個別法の趣旨を踏まえ、必要な規定の整備を行うことが適当であるという書き方をしてございます。
それから、改正法の定める手続保障の水準を確保し、そうしたならば、逆に、条例の改正法、第九条第一項の本文の適用除外をする、特別の定めをする条件があるんじゃないかと。これを前提にしますと、〔1〕とここに書いてございますように、処分に関与しない者が審理することにより公平性を確保できて、第三者機関による点検を行うことで、その後の裁決の客観性を担保できると。こういうことが保障できるのならば、情報公開の場合には情報公開審査会というものがあって、インカメラ審理、つまり現物を見て、インカメラレビューということでインカメラ審理をして、妥当な解釈をして、地方公共団体における住民の権利利益の保護を図ってきたと。そしたら、まさしくこの条例に基づく処分で、条例に特別の定めがある場合として適用除外にして、審理員制度ではなくて、審査会が行政不服審査会にかわって情報公開、個人情報保護の審査会が議論をすればいいんじゃないかということになってきているわけでございます。
そこで、最後の8でございますけれども、そういうわけで、ここのところは議会自身の決定になるところですけれども、総務省の平成二十一年度の調査ですと、千七百八十二の団体が議会を情報公開の対象にはしていると。そのうち、いわゆる執行機関の条例で議会を対象とする、執行機関の条例の実施機関の中に議会が載っているものが千七百五十団体、議会を情報公開の対象とした議会独自の条例を持っているものは三十一団体、東京都もそこに入るわけです。
そうしますと、今度の行政不服審査法で、第三者性を担保しつつ、その事案をどのように処理するかということにつきましても、執行機関の設けた条例の実施機関に改めて載るという手法もありますし、そうでなくて、やはり議会が独自の条例を持って独自の展開をしてきたのだから、それは議会としての仕組みを考えて処理をすれば足りるんだと。どちらの考え方も成り立つと思います。このあたりは、それぞれの議会がお決めになることかと思っております。
以上のようなわけで、議会は情報公開の行政不服審査会から適用除外になるという条例をつくった場合に、次は、じゃあ、どういうふうに第三者性を担保した仕組みをつくるかというのが、今後議会等に求められている課題であるというのが今日の状況であろうかと思います。
ちょうど二十分たちましたので、私の話はこれで終わらせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました。
〇こいそ委員長 藤原先生、大変貴重なご意見をありがとうございました。大変興味深く聞かせていただいた次第でございます。
それでは、ただいまのご説明につきまして、このような機会でございますので、広く情報公開に関することでご質問のある方は発言を願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
〇かち委員 どうもありがとうございました。
日常的になかなか聞きなれない言葉で全部消化し切れてはいないんですけれども、この法律はまだ施行されていないということですね。
〇藤原学識経験者 はい、二年以内ですから、来年の四月、普通来年の四月一日ぐらいかなという。
〇かち委員 施行する段になった場合に、都としての条例制定が必要となる段階だと。
〇藤原学識経験者 いえいえ、もう多くの地方公共団体が既に条例を定めておりますので、施行と同時では、先生ご存じのように間に合いませんので、審理員の仕組みをつくるとか、条例を抜いて、例えば東京都独自の議会の条例の不服申し立ての処理をつくるということをあらかじめ準備を……。
〇かち委員 じゃあ、もう今からやっていく段階に来ているという。
〇藤原学識経験者 どの段階かは、ちょっとつまびらかにしませんけれども、多くの自治体はそろそろスタートをしているということでございます。
〇かち委員 その場合に、その審理員制度をつくるかつくらないかも含めて検討するということなんですね。
〇藤原学識経験者 そうです。そのとおりです。多くの自治体は、情報公開については審理員制度は導入せずに、情報公開に関する当該自治体の持っている独自の仕組みで対応するということになっているところが多いということでございます。
〇かち委員 それでもう一つ、ちょっとこの件には直接関係はないんですけれども、今、情報公開を含めていろいろ手法がありますよね。東京都の場合は、情報公開を請求する場合に、直接か郵送かファクスかということなんですけれども、インターネットを使っても情報公開請求をできるようにしてもいいんじゃないかなと思うんですけれども、ちょっと見たところ、神奈川とかは川崎とか、千葉とか、いろいろもうそういう段階でやっているようなんですけれども、全国的な動きというか、はどうなんでしょうか。
〇藤原学識経験者 オンライン請求は、関西の自治体でかなり前から始まったんですけれども、請求だけをオンラインで受け付けるのか、その後、返すときもオンラインかによりますけれども、請求のレベルであれば相当多くの自治体が導入していると思います。
〇かち委員 それから、返す場合もプリントだけではなくてCDとか、そういうようなものでやるという手法もあるとは思うんですけれども。
〇藤原学識経験者 電磁媒体で返す手法もありますし、それは、これまた多くの自治体で導入してますけれども、一つは、その場合に不開示にする部分でありますとか、新たに加工するのにまた多大なコストがかからない限りという条件はつくとは思いますけれども、そうでなければ電磁媒体というところは、これもそんなに珍しいことではありません。
〇かち委員 今の時代に合ったやり方というのも考えてみる必要はあるということですね。
〇藤原学識経験者 そうだと思いますが。
〇かち委員 ありがとうございました。
〇早坂委員 議会における情報公開の不服審査において審理員を置かないということもできますよというお話だったと思いますが、審理員を置くことのメリット、デメリット、置かないことのメリット、デメリットを改めてご教示いただければと思います。
〇藤原学識経験者 要するに、それは議会に限定としてという意味でしょうか。議会の場合は、また、ご存じのように一般の知事部局とは違いまして、議長というものを中心に仕組みがなされているので、同様のことが妥当するかどうかは、またひとつ検討しなきゃいけないと思いますけれども、一般的には審理員がやって、さらに第三者機関を置いておいても、それは審理員のやった判断をもう一回後追いでレビューすることになりますけれども、そもそも情報公開制度の場合は第三者でありますとか、そこに入る有識者等が実際に物をインカメラで見て、それなりに権利救済は上がってきたという実態がありますので、わざわざ審理員制度を導入する必要はないというのが、先ほど申し上げたほとんどの自治体の感覚であり実際で、そのため、先ほどの総務省の答弁なんかも、それを意識した答弁になっているという、そういうわけです。
〇早坂委員 審理員を置くことによって屋上屋を重ねることになりかねないというお話をいただきましたと理解しましたが、逆に置くことのメリットということも何かありますか、考えられないですか。
〇藤原学識経験者 それは、どこにポイントを置くかということになると思う--第三者性ということを考えたときに、審理員は結局のところ、当該部局の、先ほども申し上げたように総務課なら総務課の職員の方にやっていただいてということで、第三者性ということになると外部に置いた方が、さらに一日の長があるというか、客観性が担保されるのかなという、そういう議論だと思います。
内部に置くと、行政不服審査において、もちろん、今までよりははるかに公平性が担保されているんですけれども、やはり行政のやったことを行政にかかわる方がチェックするよりは、もう一つ外に出た人がチェックした方がいいのかという、そういう議論であろうかと思いますが。
〇早坂委員 ただ、審理員は職員さんですよね。
〇藤原学識経験者 はい、そうです。この九条に書いてございましたように、審査庁に所属する職員のうちから第三節に規定する審理手続を行う者を指名するとともに、その旨をということでございますから、審査庁に所属する職員ということになります。
〇早坂委員 審理員を置くことに余りメリットは、今の先生の話を聞くと、私は感じられないというのが印象でございます。
以上、意見表明。
〇こいそ委員長 よろしいですか。ありがとうございました。
それでは、藤原先生、本日は貴重なご意見をありがとうございました。今後のより適切な情報公開制度の運営に生かしてまいりたいと思います。
以上をもちまして学識経験者からの意見聴取を終わります。
本日予定をいたしておりました議題は以上でございますが、この際、何かございましたら、発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇こいそ委員長 それでは、これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時三十五分散会
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