委員外の出席者
東京都議会情報公開推進委員会学識経験者 藤原 静雄君
本日の会議に付した事件
公文書開示の実施状況について
「情報公開の最近の動き」について
・東京都議会情報公開推進委員会学識経験者意見聴取
〇こいそ委員長 ただいまから東京都議会情報公開推進委員会を開会いたします。
本日は、総務課長からの報告事項の後に、本委員会の学識経験者でございます中央大学法科大学院の藤原静雄教授から、情報公開の最近の動きについてご意見を聴取させていただきたいと思います。
それでは、まず、公文書開示等の実施状況につきまして、総務課長から報告をしていただきます。
〇清水議会局総務課長 それでは、今年度の公文書開示等の実施状況について報告させていただきます。
お手元の平成二十五年度東京都議会の公文書開示実施状況をごらんください。
本資料は、平成二十五年四月から平成二十六年一月末時点の状況をまとめたものでございます。
請求件数は五件で、該当する公文書八件のうち、開示が二件、一部開示が四件、非開示が一件、不存在が一件で、不服申し立てはございませんでした。
請求整理番号2の都議会のあり方検討会に提出された資料等については、東京都議会情報公開条例第七条第四項、都議会の内部または相互間における審議、検討または協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換または意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるものに該当する情報であるため、非開示の決定をしております。
なお、これらの実施状況等につきましては、東京都議会情報公開条例に基づき、毎年度取りまとめの上、公表をしております。
以上で報告を終わります。
〇こいそ委員長 ただいまの報告につきまして、ご質問等はございますでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇こいそ委員長 ないようでございますので、質問は、そのようにさせていただきます。
〇こいそ委員長 それでは、これから学識経験者の意見聴取を行わせていただきたいと思います。
藤原教授の入室をお願いいたします。
〔藤原学識経験者出席〕
〇こいそ委員長 東京都議会情報公開条例が平成十一年に施行されてから、ことしで十五年が経過をいたしました。
そこで、本日は、本委員会の学識経験者を長年務めていただいております中央大学法科大学院の藤原静雄教授から、情報公開の最近の動きについて、ご意見を聴取させていただきたいと思います。
藤原先生、本日はお忙しいところご出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、限られた時間で大変恐縮でございますが、専門的なお立場からのご意見を伺いたいと思います。
なお、藤原先生には、ご着席のままでご説明をいただきたいと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
〇藤原学識経験者 では、着席のままで失礼いたします。
ただいまご紹介にあずかりました中央大学の藤原と申します。このような席にお招きいただき、意見を開陳する機会を与えていただき、大変光栄に存じております。
それでは、時間が限られておりますので、早速お話をさせていただきたいと思います。
お話のご依頼は、情報公開の最近の動きについて、簡潔に二十分程度でお話をしろという、そういうお申し出でした。それで、お手元に情報公開の最近の動きという、二枚組ですけれども、レジュメをお配りしてあります。
きょうの話の概要は、国の動きをお話しさせていただき、それから二番目に、地方全体の動きをお話しさせていただき、最後に、最近の特色ある議会あるいは会派が関連する裁判例をご紹介して、議会の情報公開について裁判所がどのように考えているかということをお話し申し上げたいと思っております。
それでは最初に、まず、1の国の動きというところをお話ししたいと思います。
ご存じのように、国につきましては、ここに書いてございますように、文書の存在、不存在ということに大きくかかわります公文書管理法が二〇〇九年の六月に成立しております。その後、これは先生方の方がお詳しいわけですけれども、政権の交代が九月にございまして、直後二〇一〇年に、行政透明化チームによる改正案、当時の枝野大臣ですけれども、大臣試案という形で示され、それをその検討チームというところで検討するという形の立法作業がなされたわけです。これはこれまでと違って、大臣が改正案を示して、それについて議論をしていくという形でございました。
そのような議論を経まして、二〇一一年に行政情報公開法の一部改正案が提出されたわけでございます。これは百七十七回国会です。
その特色は、現行の、つまり一九九九年の現行の情報公開法の制定のときに議論のございました知る権利という言葉が、法案で明記されたということでございます。それと、きょうのお話の中心になりますインカメラ審理、インカメラレビューというものが導入されているというところです。あと、手数料等もございますけれども、インカメラ審理の導入、あるいは知る権利を明記したという、そういう特色を持つ法案であったわけでございます。
しかしながら、ご存じのように、行政情報公開法の一部改正案は、衆議院の解散により二〇一二年の十一月に廃案となったということでございます。ですから、現在妥当しておるのは、一九九九年からの現行の情報公開法であるということになります。
そして、情報公開と密接に関連する形で、ことしの一月には、特定秘密の保護に関する法律が成立したわけでございます。
これらの中でよく議論がされましたのが、やはりインカメラという言葉ですので、トピックとして、もうご存じだとは思いますけれども、なお念のためにご紹介しておきたいと思います。
インカメラという言葉は、カメラというのは裁判官の私室でという意味ですけれども、インカメラというのは非公開、アメリカの映画などで、裁判官が何かあると自分の部屋に呼んで交渉事をやるという、ああいうイメージのところから来ているものでございます。
このインカメラ審理というのは、要するに裁判官だけが文書を見て、原告は見ないということでございます。これはまた先生方ご承知のように、情報公開というのは文書を見せる、見せないが争いでございますので、そうしますと、一番その被告である行政の側にとって簡単な方法は、こういうことが書いてある重要な文書だから見せられないんだといって裁判官を説得することでございます。
しかしながら、民事訴訟法の大原則で、証拠として出したものは相手方も当然吟味できなければならないということになっておりますので、こういう文書だから見せられないということで、訴訟の相手方に、結局裁判官に見せたところ、書証ですから、書面での証拠ですから、裁判官は、非常に簡易にいってしまえば、相手方原告に対して、行政の側はこういう文書だから見せられないといっているよといって見せることになりますので、そこで何もかも終わってしまうと。こういうことはできないと。
そこで、訴訟の段階では、結局のところ我が国では、裁判官が推認に推認を重ねて、つまり現物を見ずに、こういう文書であるという推認をしてですね、それで結論を出しているわけでございます。これは、地方公共団体や国の情報公開審査会、不服審査の段階では現物を見ております。インカメラをしております。しかし、裁判の段階では、していないということです。
そこで、我が国でも、やはり裁判官が見て判断すると。そのかわり原告は、自分は見られないかもしれないけれども、誰も見ないよりは、やっぱり裁判官が見て審理してほしいという、先進諸国、先行した国々で採用されている制度を入れてほしいという、そういう議論が長くあったわけでございます。
そういったところに、最高裁判所が平成二十一年の一月十五日、これはどういう案件かといいますと、沖縄でヘリコプターが墜落したという、あの案件でございます。あれが福岡の高裁でかなり思い切った判断を示して、それが最高裁に上がってきたわけでございますけれども、ここに書いてございますように、先ほど私、申し上げましたように、訴訟で用いられる証拠は、当事者の吟味、弾劾の機会を経たものに限られるという民事訴訟の基本原則のゆえに認められないと。
しかし、これは逆にいいますと、これまでは法廷の公開、裁判というのは公開でやるべきだという憲法の要請として、インカメラというのはできないのではないかというような議論で、現行法の制定当時は、法制局等も入れて議論を闘わせていたわけなんですけれども、それから十数年たって、最高裁は、憲法上のことというよりは民事訴訟の大原則だから、相手方がチェックできるということはということで、やはり認められないと。逆にいうと、立法によって明文の規定を置けば、やっぱりインカメラ審理は認められるというところまでは来たというのが、この判例であります。
この判例を受けて、議論として、上に書いてあります行政情報公開法の改正のときにインカメラを入れたらどうだということになり、案までできたのですけれども、そこでとまっているというのが現状でございます。これは秘密保護法案のときにも、インカメラ、誰かは見てチェックすべきではないかという議論があったのは、この点と関連しているわけでございます。
トピックを申し上げると、国の動きというのは、こういった制度が入っている法案が廃案になったので、現行法で今動いておりますということでございます。
それから二番目でございますけれども、地方の動きですが、先ほど委員長の方から十五年、都議会情報公開条例も十五年というお話があったのですけれども、この年表をごらんいただきますと、我が国で、地方で情報公開条例ができたのが、もう三十二年も前のことになりまして山形県の金山町、実質的に先導したのは、地方の時代をうたいました当時の神奈川県の長洲知事で、神奈川県情報公開条例が十月にできていると。で、直後にできた川崎市等とともに、先行団体といわれております東京都も先行しておりまして、ちょうど三十年前の十月に東京都公文書の開示等に関する条例、今の都の条例の前のものができて、ちょうど節目の三十年目であるということです。議会十五年、都は三十年という、そういう節目であるということでございます。
そこで、情報公開と申しますのは、官庁革命といって導入されたわけでございますけれども、自治体は独自の展開を見せまして、そしてこれは国より先に情報公開という制度を正式に導入したという点が高く評価されているわけです。そして国の制度は、地方自治体の条例の蓄積をもとに、各地方公共団体での経験をもとに国が制度をつくり、その国がバージョンアップした制度をまた地方が取り入れるという形で、いいフィードバックがされてきたものであるといわれている制度でございます。
その中で、我が国の情報公開制度は、再び数年前から、少しですけれども、小規模な見直しがされているところがございまして、それが地方の動きの米印で三つ書いておきましたような点でございます。
まず最初は何かと申しますと、情報公開というのは、何人でも、その目的、つまり動機を問わずに無料でという、そういう自治体が多いわけです。これは理念型でございます。
しかしながら、この何人を問わない、あるいは無料、そういう動きをやや見直そうという自治体が出てきているというのが今日でございます。この問題は、いわゆる大量請求、これは都なんかでもあるんですけども、大量請求の問題と切っても切れないという関係にあるわけです。
もちろん大量請求といいましても、文書の性質とか請求の仕方で自然に大量になるというものはあるのですけれども、そうではありませんでして、許認可に文句があるとか、監査の結果に文句があるとか、あるいは行政監視の名目のもとに、反復して全庁にわたって、あるいは特定の室や課をある意味で狙い撃ちするような形で請求する、あるいは職員に対する脅迫的な言動が見られるでありますとか、人事異動をするとその人事異動先に今度は情報公開をするとか、せっかく情報公開課の方々が整理をして開示、不開示の決定をして墨塗りをしても、実際には閲覧に来ないとかといったような事例を濫用的だといっているわけです。
これについて、やっぱり現場あるいは現課の負担を重んじて、これは権利濫用ではないかという、それで権利濫用の条文を置けとか、あるいは一般法理に従って不服審査の段階で却下した方がいいんじゃないかとか、そういう議論が出てきているというのが一つの特色です。
もちろん全体ではありません。何人にも使えるという制度をつくって、動機のいかんを問わないといっておいて、濫用だとはいいにくいという、そういう立場もございますので、そういう議論があるということでございます。
それからもう一つは、これはまた難しい問題なのですけれども、営利の目的、つまり請求の理由を問わないわけですから、自分のためでもいいし、世の中の人のためでもいいし、しかし自分のためというのは、自分が裁判に利用したいからでもいいし、あるいはビジネスに利用したいからでもいいということになります。
これは、アメリカでは何十年も前から問題になっていたところなのですけれども、営利の目的が禁止されていないとはいえ、多くの自治体では請求全体の五割、六割、七割と、物すごい分量を占めるということになってきたわけです。
そうしますと、幾ら無料の制度とはいえ、営利目的のためにこの制度を一方的に使わせていていいのかという議論は出てくるわけです。もちろん、ここのところは難しいところでして、法人も立派に税も納めておりますし、社会的存在として活躍しているわけですから、そう簡単に、議論をせずに、営利はけしからぬというわけにもいかないと。
しかしながら、一方で、情報公開をして、みずからデータベースをつくって、それを高く販売してというような、そういう事業者、いわゆる情報公開ビジネス、アメリカではフリーダム・オブ・インフォメーション・アクト、FOIA--フォイアといいますけど、FOIAビジネスとよく呼ばれるものですけれども、そういうことについては、確かに民主主義のコストはただなんだけれども、特定の人がたくさん使っていたら、その方には一定の負担をしてもらっていいのではないかという議論もあり、ここも議論になっているということでございます。これは手数料等なんかとも、もちろん絡む議論でございます。
それから、その次は情報提供施策のあり方ということで、情報の提供手法としては、インターネットというものがますます重要になってきている、そういう時代でございますけれども、そういう中で最近の地方公共団体での議論の多くは、やっぱり双方向でなければならないと。行政も発信するけれども、住民、都民、県民からの情報もやっぱり発信されたものを受けとめなければならないという双方向の重要性がいわれているわけです。
それについては、情報提供施策の中でいろんな工夫がされているんですけれども、例えばウエブページのデザインをわかりやすくするとか、議会であれ行政であれ、少ないクリックの数で自分の欲しい情報にたどり着けるのが当然ではないかと。民間部門などでは、それが利用者の反応調査、ユーザビリティーテストといって、利用者の反応調査で検証されているところですけれども、行政の側でもそういうことも重要ではないかという、そういった議論があったりして、インターネットの時代で双方向をどう担保するかというような議論です。
ここで情報提供と申し上げましたのは、情報公開をまつまでもなく、情報公開の請求を受けるんじゃなくて、行政なり議会なりがこちらから情報を出すという、それが情報提供施策という意味でございます。それにはインターネットが有効なんだけれども、その使い勝手が悪くては、やはり親切ではないという、そういう議論でございます。
これが地方の動きの論点、トピックのようなものの一部でございます。
それから、時間の関係がございますので、三番目の議会に関する裁判例で、最近、比較的注目を集めたものを二つほどご紹介をしておきます。
一つは、最高裁判所の平成二十一年の十二月十七日という判例でございます。
これは、先生方の中にはご存じの方も多いことかと拝察いたしますけれども、品川の区議会で、会派が交付を受けて視察旅行等の経費に充てた政務調査に係る政務調査費の使途、その使途制限違反を問題とする方がいて、住民監査請求をしたんですね。情報公開と住民監査請求というのはなかなか密接な関係があるものなんですけれども、住民監査請求をしたと。
その監査に際して、監査委員の方々が、その会派の先生方から任意で、強制ではなくて任意で提出を受けた文書、その任意で提供を受けた文書の中には、政務調査活動の目的とか内容等に係る情報がかなり詳細に書かれているんです。その情報の開示、不開示、見せる、見せないが問題となったという、そういう事例であります。
これは領収書とかそういうものではございませんで、区の監査委員は、視察調査に充てられたものについて、必要項目、支出の年月日とか支出の相手方とか相手方の業態、支出金額、領収書の宛名等々はわかっているんですけれども、問題となった政務調査活動の目的と性格、政務調査活動の詳細な内容、それから区議会議員参加者及び同行者の人数、そういったものが争いになったということです。既に収支報告書とか領収書等は証拠として提出されているという事案でございます。
これについて、最高裁は何といったかと申しますと、政務調査費の交付について定めた品川区の条例及びこれを受けて区議会議長が定めた規定には、会派が政務調査活動の目的や内容等を、監査委員を含め執行機関に具体的に報告しなければならないことを定めた条項は見当たらず、区議会の議員等が監査委員に対して、上記目的や内容等を逐一回答すべき義務を負っているとまではいいがたい、品川区議会の議員等が政務調査活動の具体的な目的や内容等を監査委員に任意に回答する場合、監査委員限りで当該情報が活用されるものと信頼し、監査委員においてもそのような保障のもとにこれを入手するものであるということで、非公開妥当という、そういう判断を示したわけです。
これを自治法とか情報の関連の立場から分析をしておきますと、要するに監査の事務については、監査委員は確かに関係人の出頭を求めたり、調査したり、帳簿、書類その他の記録の提出を求め、学識経験を有する者から意見を徴することはできると。できるのですけれども、これは釈迦に説法でございますけれども、これは任意でございます。つまり拒否された場合に、監査委員がそれ以上の権限を行使することはできないと解されているわけです。これは、いわゆる百条委員会とは違うところです。自治法の百条委員会とは違うところでございます。こういう制度を前提にしているんだと。だから、任意の信頼関係というのを前提にしているではないかというのが最高裁の一つの柱です。
もう一つの柱は、議員が行う調査研究というのは、議会の調査権と密接にかかわり、その作用を十全に発揮させるための基礎となるものであると。そうすると、議会は、長その他の執行機関を監視する責務を負っているから、議員の調査研究も、執行機関あるいは与党に対する批判や監視という性格を帯びたものになることもあると。
であるとすれば、議員の行う調査研究そのものを執行機関が審査したり監視したりすることは、地方自治法その他の法制上予定されておらず、むしろ執行機関が調査研究の内容に干渉する道を開くことは、地方自治法が議会に調査権を付与した趣旨を損なうものといえると。だから、調査研究が執行機関や与党に対する健全な批判という役割を十分に果たすためには、議員、会派の独立性、自主性が尊重されるべきである、こういう価値判断を含んでいるという、これがそういうことをいった裁判例でございます。
だから、調査研究の内容自体への干渉になりかねないような監視、関与等を当該議員とか会派に及ぼすことは容認されていないんだという、そういう立場でございます。そういう背景がある裁判例がこれでございます。
もう一つは、今度は平成二十三年の三月十六日という横浜地方裁判所の裁判例でございます。
これは県議会の議長と副議長による海外訪問に関する文書の公開請求が求められた、公開決定の義務づけもあわせて求められた事案であります。
どういう文書であったかというと、アメリカ訪問に関して作成されました訪問先の対応者の名前、通訳者の名前、搭乗飛行機の便名、宿泊先ホテルなどの記載がある、それの詳細な電磁的記録ファイルであったわけです。
これはもちろん事例判断と申しまして、この事案の事実関係ではこうであったという、一般論というよりは、当該--横浜神奈川県議会の事案ではこうでありましたという、そういう事例的判断なんですけれども、これは訪問日程表というものが公的に支配されて、いわゆる組織的に利用可能な状態に置かれていないと。要するに情報公開の対象は、議会の条例にも行政の条例にも書いてございますように、組織共用であって、組織として共用していて実施機関で管理している、そういう文書でなきゃいけないんですけれども、この電磁ファイルというのは、そういう行政文書の定義には当たらないから文書不存在であると、解釈上文書はないんだということで、これは適法、ないといったことが適法であるという、そういう裁判例でございます。
これは、要するにどういう形態で管理していて、どういうふうに使っていたかという認定の問題なんですけれども、この横浜の事件では、訪問の日程表の作成というのは、一言でいってしまえば、本件では随行者の備忘録のような性格であったと、随行者が個人的に使う備忘録のような性格の文書であったので、それは行政文書の定義には当たらないということで、情報公開の対象の文書ではないと、そういうふうになったわけです。
ただ、これは使われ方でありますとか管理の仕方によって、もちろん結論は変わってくる可能性はあるという、そういうお話でございます。
最近の動きとトピックをというご依頼でしたので、国の動き、地方の動き、議会に関する近時の裁判例をご紹介しました。
大体最初にお約束した時間になりましたので、私のお話は一応これで終わらせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました。
〇こいそ委員長 藤原先生、貴重なご意見をありがとうございました。
大変興味深くお聞かせいただきまして、それでは、ただいまのご説明、もしくは広く情報公開に関することでご質問のある方は発言を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。せっかくですから、どうですか。
〇かち委員 地方の動きの中で、米印が三つあるんですけれど、何人、目的を問わない、無料の理念と見直しの動きという、もう東京都の場合は既に有料になっていると思うんですけれど(「既にというか、最初から有料でございます」と呼ぶ者あり)既にではなく最初から--いろいろあるわけですよね。
それと、先ほど双方向の情報提供というのが重要だというふうにいわれました。だから、情報がもっと公開的にオープンになっていると、それほど情報公開という行動をとらなくても、一般の都民にわかりやすい状況があるのかなと。窓口を狭めるほど、情報公開という行為がふえるんじゃないかなというふうに思うんです。
もう一つは、営利目的というものはね、もちろんそれはよくないと思うんですけれど、営利目的かどうかということの判断というのは裏腹みたいなところがあるんですけれど、どういうふうにそれをチェックするというか、どういうふうになっているんでしょうか。
〇藤原学識経験者 二つ、ご意見とご質問をいただいて、前者のご意見の方は先生のおっしゃるとおりで、情報公開法制定の当初から、いわゆる開示請求権、都民が議会であるとか行政に権利を行使して見せろといってくるまでもなく、議会あるいは行政の側が見せてやれば請求も減ると。請求も減れば、不服申し立ても減ると。恐らく不服申し立てが減れば、いわゆる訴訟も減るのではないかということはいわれておりまして、おっしゃるとおり情報提供は非常に大事なものだと位置づけられております。
それから、後者の方ですけれども、何をもって営利と認定するかというのは大変難しいのですけれども、文書の性格で、例えば建築計画の概要書でありますとか、簡単な図面とか間取りが描いてあるようなものとか、それは後で種々の会社が工事をするときに図面があれば便利なんですね。
そういうものとか、入札関係の図書でありますとか、恐らく一般の方がそれほど必要としないであろうとか、あるいは情報公開の制定当初にありましたのは、食品の許認可に係る台帳とか犬の登録とか、それが東京都全体でどのくらいあるかというのは、恐らく一般的には、それを売って訪問したりダイレクトメールを送ったりというのに利用しているんじゃないかということがわかるということで、それともう一つ、日本人はやっぱり非常に善良で正直で、強制するものではないんですけれども、任意で書いていただくと、ちゃんと企業の名前を書いたりして、正直にビジネスだという方が多いという、そういう事情はあるんですね。それが微妙なときに、外形でどうやって判断するかというのは、常に、先生のおっしゃるように最後には問題になろうかとは思います。
〇こいそ委員長 ほかによろしいですか。--それでは、藤原先生、本当に貴重なご意見をありがとうございました。今後の情報公開の運営に生かしてまいりたいと思います。
以上をもちまして学識経験者の意見聴取を終わります。
本委員会といたしましては、今後視察を実施するなど幅広く活動をしていくことといたしたいと思います。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後一時三十七分散会
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