平成二十五年東京都議会会議録第四号

   午後三時十五分開議

〇副議長(ともとし春久君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十一番林田武君。
   〔七十一番林田武君登壇〕

〇七十一番(林田武君) 多摩市町村の振興に向けた取り組みについて伺います。
 石原前知事は都知事在任中、事あるごとに東京から日本を変えると発言され、知事を引き継いだ猪瀬知事も、ニュアンスは少し違うと思いますが、東京から日本を改革すると申されました。一般会計、特別会計を含めて十二兆円もの予算を抱える東京都です。知事として、東京から国へ目を向け、政策を展開していくことは当然だと思います。
 しかし、一方で、多摩都民の声は、東京から国を変える政策も大切だが、知事の力で、おくれた多摩の振興を図ってほしいという声が大きいということもご認識いただきたいと思います。
 私ども都議会議員の重要な仕事の一つが、住民の声をいかに都政に反映させるかということであります。日ごろから選挙区で市町村長や議員と接する中で、都はもっと多摩に目を向けてもらいたいという願いがあります。各市町村は、地域が抱えるさまざまな行政課題の解決に取り組んでおり、このような市町村の取り組みを支えるためにも、都の財政支援の充実強化を図っていただきたいと思います。
 また、多摩地域は、都市部から山間部まであり、地域ごとにさまざまな特性を有しております。多摩の振興といっても、多摩都市モノレールの延伸や鉄道の連続立体交差化、幹線道路の早期実現など道路ネットワークの整備、森林の保全、再生に向けた取り組みなど、地域の抱える課題は大小山積しており、これらの課題の解決は急務であります。
 こうした多摩地域を取り巻くさまざまな課題を踏まえ、都は新たな多摩のビジョンを策定したところですが、このビジョンに基づく多摩振興の方向性と今後の取り組みについて伺います。
 次に、米軍横田基地の軍民共用化について伺います。
 横田基地の軍民共用化については、猪瀬知事は、この一定での施政方針表明の中で、たったの一言、実現すれば地域の航空利便性が増す横田基地の軍民共用化にも引き続き取り組んでまいりますと述べられました。
 そもそも横田基地を軍民共用化にという施策は、石原知事の東京から日本を変える大きな目玉であると思っております。さきの二月十二日、衆議院予算委員会で石原代議士として質問に立ち、横田基地の軍民共用化について質問されておりました。まさに立場を変え、都知事としてではなく国会議員としての質問でありました。
 石原前知事は、平成十九年の知事選挙で軍民共用化実現を公約に掲げ、街頭演説では、近々に横田に民間機が飛びますよと具体的な便数まで挙げました。石原前知事は、その思いを今度は国会で実現することが本懐であろうと考えます。
 一方、東京都や横田基地周辺五市一町は、防衛大臣などに対して、騒音問題などの取り組みについて要請を続けております。これらは、基地周辺自治体に対して、国は、より一層、周辺住民の生活環境の向上に寄与してもらいたいというものであります。
 軍民共用化が実現すれば、地域の航空利便性の向上や産業の振興とあわせ、交通インフラの整備が図られるなど、多摩振興の起爆剤になるだろうとは思います。
 しかし、一方、基地周辺の環境も当然に変わり、住民生活環境への影響も考慮しなければなりません。
 猪瀬知事は、こうした点を踏まえて、今後、横田基地の問題にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、木質バイオマスエネルギーの活用について伺います。
 東京都は、太陽光発電や八丈島における地熱発電など、多角的に再生可能エネルギーの活用に向けた取り組みを実施しております。加えて、再生可能エネルギーの一つとして、木質バイオマスエネルギーの活用は、熱利用や発電といった多様な用途に活用できる貴重なエネルギー源であると思います。
 以前、実際に稼働している秋田県能代市のバイオマス施設を視察いたしました。そのときは、費用対効果の面で大変というのが実感でありました。
 しかし、今は状況が変わりました。東日本大震災以降、電力の確保が大きな社会問題となり、発電の利用は重要性を増しております。昨年七月に開始された固定価格買収制度では、バイオマス発電についても、事業採算性を考慮した買収価格の設定がなされており、今後の普及の後押しが期待されております。
 しかし、一方、バイオマス発電の事業化は課題があることも事実であります。本年一月時点で、固定価格買い取り制度の適用を受けた新規運転開始実績は、全国でたった一件にとどまると聞いております。
 発電事業者によると、バイオマス発電の事業採算が成り立つには、一定規模の発電設備の導入を要し、その規模を賄うため、原料となる木材を大量かつ安定的に確保するのが必要であります。
 このような課題もありますが、私の地元西多摩地域を中心に、バイオマスの活用可能性は十分にあり、森林再生とあわせて、ぜひ活用に向けた取り組みを積極的に進めてもらいたいと考えます。
 東京都は、バイオマスの活用について、これまでどのように取り組み、また、今後どのように進めていくのか伺います。
 次に、観光振興について伺います。
 特に、私の地元多摩地域を中心に伺っていきたいと思います。
 昨年は、東京スカイツリーの開業、東京駅の復元など、都心部に新たな観光スポットが次々に誕生いたしました。
 ことしは多摩国体が開催され、多摩地域に全国の注目が集まります。多摩地域を全国にPRし、観光振興の起爆剤とする絶好の機会だと思います。
 私の地元ですが、多摩地域には日原鍾乳洞や払沢の滝などに代表される豊かな自然や、毎年四十万人の人出でにぎわう福生七夕祭りなど、魅力のある資源にあふれております。しかし、地域資源がありながら観光振興に生かすことができないものも少なからず見受けられます。地域が魅力ある資源を十分に生かし、主体的に旅行者の誘致に取り組むことは、観光振興のみならず地域の活性化につながり、ひいては東京全体の活力の向上を促します。
 そこで、都としても、観光資源の掘り起こしや活用に努める地域の取り組みを積極的に支援していくべきだと考えますが、見解を伺います。
 また、こうした中、地産地消として、市町村の食文化を観光に活用する取り組みが全国的に進んでおります。
 その典型的な取り組みであるB級グルメ大会は、今や全国的に盛んに行われており、例えば、静岡県の富士宮市で行われたB級ご当地グルメでは、出店数二十一、来場者は二十五万人、富士宮焼きそばが優勝し、その経済効果は何と二百億円といわれております。
 実は昨年五月、私ども西多摩四市三町一村と、都の水源林としてお世話になっている山梨県丹波山村、小菅村を加えた大多摩観光連盟が主催し、西多摩で、多摩げた食の祭典大多摩B級グルメを始めました。
 大多摩B級グルメの開催の目的は、大多摩地区はたくさんの自然と歴史に恵まれたすばらしいところだということを知ってもらう、そして、各市町村の特産物をベースに新しい商品開発をして全国へPRする、観光イコールグルメを一つのパッケージとして、今までと違った観光スポットとして観光客を呼び込み、活気あるまちづくりを目指すとしております。二日間の開催で三万七千人の参加者があり、盛大に実施することができました。
 このような地元の食文化を活用した取り組みは、観光振興に大変有効だと考えますが、都の見解を伺います。
 また、一方、まだ風評被害に苦しんでいる福島県の復興を観光振興の側面から後押しし、福島県を訪れる被災地応援ツアーについて、日帰り旅行を含め、我が党の強い要望を踏まえて、平成二十五年度も引き続き予算計上されたことを高く評価いたします。ことしは、福島県を舞台としたNHK大河ドラマ「八重の桜」の放映が始まるなど、福島県への注目が集まっており、このような中、都としても桜の季節である年度当初から着実に事業を開始していただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。
 次に、多摩山間部の防災力を高める道路整備について伺います。
 私の地元であります西多摩地域の奥多摩町、檜原村では、多摩川と秋川に沿って走る幹線道路は一路線しかなく、土砂崩れなどによって通行不能となった場合、避難や救急活動など大きな支障を来すことになり、まことに命綱ともいえる道路であります。いつ旧山古志村のような危険な状況になるかもしれません。
 この一月に発表された「二〇二〇年の東京」アクションプログラム二〇一三では、多摩山間部の防災性を高めるため、多摩川南岸道路、秋川南岸道路などの整備を進めるとしております。
 多摩川南岸道路は着々と進行中でありますが、秋川南岸道路は、新たな区間で事業化の準備を進めていると聞いております。
 現在整備を進めているこの二路線について、整備状況と今後の取り組みについて伺います。
 以上、よろしくお願いいたします。(拍手)
   〔知事猪瀬直樹君登壇〕

〇知事(猪瀬直樹君) 林田武議員の一般質問にお答えします。
 横田基地の軍民共用化についてでありますが、共用化は、今後十年程度で満杯になると見込まれる首都圏の空港容量を拡大するとともに、企業活動がグローバル化する中で急速に需要が拡大しているビジネスジェットの受け入れに効果があると、そういうふうに思っています。
 ちょっと前に、僕の友人でアメリカのNGOにいる人が、今、横田から来たんですよねというふうに、ちょっと自慢げにいうんですね。だから、自分たちで割とそういう軍人の家族とかコネのある人は、横田で着陸しているんですね。そういうことで、ビジネスジェットをまず入れるということが一番大事だと、こういうふうに思っています。
 ただ、これは石原前知事もずっとやっていたし、今も国会議員で、おっしゃるとおりやっているんだが、なかなか実現していない。空域の返還は一部できたわけですけれども、だから、それを引き続き、もちろん石原前知事と同じ、僕はそこは考え方一致していますから、やりたいと思っています。そうじゃないと、ジャパンパッシングになっちゃうんです。東京の競争力が弱くなってしまう。
 当然、羽田、成田だけじゃなくて、東京の西部にそういう空港が必要だと、そういう認識ですが、首都圏西部の航空利便性の向上はもとより、基地周辺の産業が活性化して、雇用増加につながり、地域振興にも大きな効果をもたらします。まず地元の名前が有名になります。
 こうしたことから、東京都としては、国に対して、その都度、政権に対して、日米協議で促進させるよう働きかけ、そして、地元の活性化につながるよう、周辺住民の生活環境や地域振興の観点を踏まえながら、横田基地軍民共用化の実現に引き続き取り組んでまいります。
 なお、その他の質問については、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
   〔東京都技監村尾公一君登壇〕

〇東京都技監(村尾公一君) 多摩川及び秋川の南岸道路の整備についてでございますが、これら道路は、地域の生活を支え、観光振興に資するとともに、災害時に集落の孤立化解消などを図るため、対岸を通る幹線道路の代替路としても重要な道路でございます。
 このうち、多摩川南岸道路では、来月に、延長約一・九キロメートルの仮称城山トンネルが貫通し、仮称新一付橋が完成いたします。引き続き整備中の区間の早期完成を目指し、残るトンネル設備などの工事を実施してまいります。
 また、秋川南岸道路は、未整備区間のうち、あきる野市戸倉から檜原村本宿までの区間と、あきる野市牛沼から網代までの区間におきまして、急峻な地形等を踏まえた道路線形の検討などを進めております。平成二十五年度には、路線測量や地質調査などを早期事業化に向け実施してまいります。
 今後とも、地元関係者の理解と協力を得て、多摩山間部の防災性を高めるため、命綱ともなる都道の整備に全力で取り組んでまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 多摩振興についてでございますが、多摩地域は、議員ご指摘のように、地域ごとにさまざまな特性があり、多様な課題が山積していることは十分認識をしております。このような状況を踏まえ、今般、新たな多摩のビジョンの作成を進めているところでございます。
 本ビジョンでは、地域の特性を最大限に活用し、農産物の地産地消の推進や再生可能エネルギーの普及促進、地域の発展を支える交通インフラの着実な整備など、今後重要となる八つの方向性を示しました。
 今後は、魅力にあふれ、活力に満ち、安全・安心が確保された多摩の実現に向け、全庁を挙げて取り組むとともに、多摩の市町村や民間企業など、さまざまな主体と一体となって、多摩振興を強力に推進してまいります。
 あわせて、多摩地域が有するさまざまな魅力を広く内外に発信するイベントの開催などにより、多摩地域への関心を高め、多摩振興のさらなる促進につなげてまいります。
   〔環境局長大野輝之君登壇〕

〇環境局長(大野輝之君) 木質バイオマスの活用促進についてでございますが、バイオマスの利用は、太陽光発電や風力発電のように天候に左右されることがないというメリットがございます。
 また、特に、間伐材を木質バイオマスとして活用できれば、間伐の促進にもつながり、森林保全という別の効果を生み出すという点からも、その活用を促進することは有効と考えております。
 都はこれまでも、都内では特に森林資源に恵まれております西多摩地域において、間伐材などを公共温浴施設で木質チップなどの燃料として活用する市町村の取り組みを支援するなど、その活用促進に取り組んでまいりました。
 都内の木質バイオマスのさらなる活用を図るには、西多摩地域の山間部の急峻な地形という特性も踏まえ、安定的な供給体制の構築や効率的な搬出方法の考案が必要でございます。
 今後、引き続き西多摩地域の市町村を支援しながら、木質バイオマスのさらなる活用に努めてまいります。
   〔産業労働局長中西充君登壇〕

〇産業労働局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域の観光振興についてでございます。
 観光を振興し、地域を活性化するためには、特色ある資源を地域みずからが主体的に活用することが重要でございます。
 そこで、都は新年度、魅力ある資源を特産品や旅行商品として活用する観光協会等のアイデアと、民間事業者の商品化ノウハウを結びつける事業により、旅行者の誘致につながる地域の取り組みを支援いたします。
 また、観光資源として注目を集めているアニメや映画の舞台などを訪れる観光ルートの開発に対しても支援を行ってまいります。さらに都は、多摩地域の豊かな森林を生かした林道における散策ルートやビューポイントの整備等も支援してまいります。
 今後とも、埋もれている魅力ある資源を旅行者の誘致に活用いたします地域の取り組みを、積極的に支援いたします。
 次に、食文化を活用した観光振興の取り組みについてでございます。
 ご当地グルメなど、地域の食文化を活用する取り組みは、観光振興に寄与するだけでなく、地域の農産品の消費拡大にもつながるなど、幅広い効果が期待できます。
 このため、都内各地で地域の食文化を活用したイベントが開かれております。具体的には、西多摩のB級グルメ大会を初め、狛江市、東大和市、武蔵村山市の三市共同で、うまいものフェアが開催されるほか、品川区の商店街では、各店舗の味を試食するつまみ食いウオークが行われています。
 都としては、こうした取り組みについて、さまざまな機会を通じて情報発信を行うとともに、効果的な取り組みが各地で活発に実施されるよう、成功事例について、他の地域への普及啓発を推進してまいります。

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