平成二十五年東京都議会会議録第四号

〇副議長(ともとし春久君) 百三番石毛しげる君。
   〔百三番石毛しげる君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇百三番(石毛しげる君) 初めに、都立中学及び中等教育学校前期課程における給食時間の違いの実情と食育についてお伺いいたします。
 まず最初でありますが──こちらは、ちょっと見えづらいですが、三食の、朝、昼、晩を足した時間でありますが、やはり何といっても、食通のフランスが堂々一位で百三十五分、ニュージーランド、そして日本は、イタリアを抜いて三番目で百十七分と、割に、一番時間が短いのはメキシコの六十六分、そして、カナダ、アメリカ、この三カ国は、やはりファーストフードの北アメリカでございます。この食事の時間でありますけれども、一方こちらは給食の時間であります。
 私の父は、昼によく水戸黄門を見ておりまして、悪代官が出てきて、はらはらどきどき、そんな場面を、いつ出てくるのか、いつあの場面が来る──控えおろう、頭が高い、ここに見えるは、イチョウの紋どころが見えぬか、ここにおわす方をどなたと心得よう、さきの副知事、恐れ多くも江戸、内藤新宿、猪瀬直樹都知事でござる、この場面が来ますと私の父はやっと食事が終わるわけでありますが、延々と一時間ぐらいこれにかかるわけであります。私の父は、それを見まして、若干入れ歯を外しまして、こう最後飲んでしまうと。こんな場面で終わるわけでありますけれども、延々と、この時間はそうした場面で過ぎてまいります。夜の晩酌をされる方は、二時間、三時間、使うのではないでしょうか。
 それでは、こちらの時間でありますけれども、先ほど申し上げたように、海外の食事の給食の時間であります。アメリカでは十二時二十五分から十三時五分と四十分間、あるいはイギリスは一時間十五分、オーストラリア一時間、フィンランド四十五分、韓国五十分、そしてフランスは二時間という時間になっております。日本においては二十分から四十分間、こんな時間でございます。ケニアは、ギゼリというトウモロコシと豆を煮たものを毎日食べているそうでありますが、これは一時間二十分であります。
 食事が長い分、実は学校で押されぎみでございまして、この絵では、これはフランスの学校でございますけれども、エコール・グループ・サン・トーマスという学校であります。夜六時ごろも子どもたちを迎えにくる、こんな、時間帯が押しております。これが学校の全体であります。
 日本でも同じように、ゆっくり時間を給食にかける学校がございます。福岡市南当仁小学校です。ここは、給食に五十分、それと別に昼休みを四十五分とっております。登下校の時間を決められていて、その中で給食時間が決まるというものでなく、しっかりとどちらも給食時間をとっている。
 私は、給食をゆっくりとることが心と体を養う食につながると考えます。よくそしゃくすることは胃の負担を軽減し、脳に刺激を与え、健康に寄与いたします。そして何より友情をはぐくむ、子どもたちのコミュニケーションの時間をとれるということです。
 そこで、都立中学校及び中等教育学校前期課程、全十校における平成二十三年度給食時間の実態は、区市町村の小中学校においても同じ傾向が見られるわけですが、配膳して、食事して、片づけてとなると、実質食事に二十分ぐらいでしょうか。二十から四十までと若干ばらつきがあります。
 さて本日は、都立中高一貫教育校の給食時間の違いの実情と食育における給食の役割についてお伺いいたします。
 次に、都立高校改革推進計画についてお伺いいたします。
 猪瀬知事の「言葉の力」の著書には、日本人の言語技術に対する危機感や言語力を重視した人材発掘、人材育成に触れておられます。東京都が目指す都立高校改革推進計画の中には、世界で活躍できる人材育成を目指す国際バカロレア認定の取得がございます。
 さて、私は、今月の九日から十五日までフランスとドイツに行き、国際バカロレア認定を受けた高校を訪問いたしました。こちらがフランスのビクトリアユーゴーというインターナショナルな学校であります。こちらがドイツのフランクフルト、インターナショナルスクールでございます。
 国際バカロレアは、世界の各国のインターナショナルや現地国の卒業生に国際的に通用する大学進学資格を付与する仕組みです。国際バカロレア認定校になるためには、ジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構から認定を受ける必要があります。国際バカロレアは、異なる文化を理解し世界の平和に貢献する等を教育理念としており、その教育プログラムは世界的に高い評価を得ております。
 都立高校でも将来的に国際バカロレアの認定を目指すということですが、まず、都立高校における国際バカロレア認定の取得を目指す目的についてお伺いいたします。
 また、パリにある国際バカロレア認定高校では、教員からお話を伺いました。こちらですね。ラファイ律子さんという先生でございますが、認定を取得することも、また、認定を受けてからの維持も大変であるとのことでした。
 認定校では、数学や歴史など科目について、英語、フランス語、スペイン語のいずれかの言語で授業をすることが義務づけられております。認定の取得に向けては、多くの課題があると思います。どのような課題があり、その解決に向けてどのような取り組みを進めていくのか、お伺いいたします。
 お隣の大西議員は私に質問をいたしまして、頭のいい生徒が集まっているのになぜバカロレアなんだというお話を聞きましたけれども、私はわかりません。
 次に、小学校における動物飼育についてお伺いいたします。
 昨今、子どものいじめや自殺が大きな問題となっております。大津市の男子生徒の自殺問題や昨年の十二月八日に、いじめにより自殺した世田谷の女子中学生徒事件は記憶に新しいところであります。
 後者は、スカートをめくられ追いかけられたり、二十分の給食中ずっと、きもい、うざい、暴言を浴びせられ続け、失意のうちに特急電車に飛び込み自殺をしました。とまらない自殺に深い悲しみを覚えます。
 さて、私は、小学校における動物飼育を学ぶことが、いじめ、自殺の特効薬と考えます。知事の家にも愛犬がいると聞いております。私の家にも十六年いた愛犬ラッキーが昨年暮れに亡くなりました。家族はもとより近所の犬仲間もとても悲しみました。同じように、終末看護をした動物に立ち会った子どもたちは、あれが悪くて死んだのか、これが悪かったかと、自分たちの行った看護について嘆きます。ある動物の死を体験した子は、今まで簡単に死ねといっていったけれども、こんなに悲しいとわかって、もういえないと作文に書いております。
 世話をする動物の死に会うことも、また命の大切さに気づかされる大事な機会と考えます。子どもたちは、動物に愛情を抱き、いやされ、世話の楽しさを知り、責任を持ち、笑い、涙します。子どもたちが動物と直接触れ合うことは、どんな高い教材よりも心と命を学ぶことができるでしょう。
 大阪府寝屋川市では、市内に十二中学の生徒役員が集まり、いじめの実態を調査、それを参考にストーリーをつくり、生徒が出演し、いじめ撲滅劇を二〇〇八年夏から上演しております。以後、いろんないじめを、いじめられる側、いじめる側を演じ、毎年新しい劇が生まれ、後輩たちに受け継がれております。また、劇はDVDとして市内の全小中学校に配布されています。まだ頭のやわらかい十代のうちに、いじめや自殺問題に関心を持つことは重要だと考えます。
 東京都内の小中学校で毎年数人の児童や生徒が自殺しています。動物の触れ合いやDVDなどを生かして、東京都の小中学校の自殺者ゼロの目標を掲げてはいかがでしょうか。東京都の中長期的における自殺者をなくしていく道筋になると確信いたします。
 そこで、東京都教育委員会は、平成二十三年度から獣医師会の協力を得て動物ふれあい教室を実施しておりますが、子どもたちが動物と直接触れ合う機会として大変よい取り組みだと思います。
 しかし、動物ふれあい教室は、一校につき年一回、二十校で実施しております。この取り組みについて、各学校が家庭や地域の力をかりて子どもたちに動物と触れ合う機会をたくさんつくることも重要ではないでしょうか。
 そこで、小学校における動物飼育活動を、教職員共通理解や協力はもとより、家庭や地域と連携した取り組みを進めることが大変大切だと考えます。教育長の見解をお伺いします。
 また、私は、これまでも小動物の飼育を通して、子どもたちが命の大切さを学ぶ教育が重要だと述べてまいりました。小学校における小動物の飼育など、体験活動を通した心の教育が重要であると考えます。教育長の見解を伺います。
 次に、首都大学東京国際化への取り組みについてお伺いいたします。
 首都大学東京は、イギリスのタイムズ社が発表している国際的な大学ランキングでは、世界で一万を超える大学があるといわれる中、世界で二百六十六位、国内では七位と国際的にも高い評価を得ております。
 しかし、その一方で、国際化の指標の一つである留学生の受け入れ数、海外への派遣数については、首都大学東京は増加傾向にあるものの、昨年の受け入れは三百五十五名、派遣数に至っては一昨年四十四名、交換留学協定締結校においても世界には二百ありますが、八カ国、そして、地域十一大学にとどまっております。
 首都大学東京を一層発展させていくためにも国際化の推進が不可欠と思います。所見を伺います。
 最後になりました。私はこんな場面に遭遇いたしました。小さなひつぎ、小さな亡きがら、泣き叫ぶ声もかれ、それでも我が子の名を叫ぶ。自殺を救えなかった自責の念。一輪一輪、花を手向ける姿に胸をえぐられます。都知事殿、どのように感じられるでしょうか。
 ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 石毛しげる議員の一般質問にお答えいたします。
 五点のご質問ですが、まず、給食時間の違いの実情と給食の役割についてでございます。
 都立中高一貫教育校の給食時間は、お話のように学校により異なりますが、これは、自校調理の方式か、配膳、下膳に余り時間を要しないランチボックス形式かという給食方法の違いなどによるものでございます。
 学校給食は、健康の保持増進、望ましい食習慣や好ましい人間関係を習得することをねらいとしており、食に関する指導を効果的に進めるために重要でございます。
 引き続き適切な給食時間を確保するとともに、地場産物の活用や栄養士による使用食材の説明などにより質の充実を図り、食育の推進に努めてまいります。
 次に、国際バカロレアの認定を目指す目的でございますが、都教育委員会は、世界を舞台に活躍し、日本や東京の未来を担う次代のリーダーを育成するため、都立高校生を海外に送り出す取り組みを推進しております。今年度、次世代リーダー育成道場を開設し、第一陣の五十人の都立高校生が既にオーストラリアに留学をしております。
 さらに、卒業後、海外大学で学ぶためには、諸外国の学生と言葉の壁を乗り越え、みずからの意見を的確に相手に伝える能力が重要であります。そのため、授業での活発なディスカッションなどを通じて、これらの能力を育成する教育を主な特色とし、海外大学への進学資格が取得可能となる国際バカロレアについて、都立高校での認定の取得を目指す取り組みを進めてまいります。
 次に、認定の取得に向けた課題についてでありますが、都立高校において認定を取得するためには、国際バカロレア機構から求められる教育プログラムを実施するとともに、日本の高等学校の卒業資格も同時に得られるよう、学習指導要領にも沿った教育課程を独自に編成する必要がございます。
 また、認定校では、数学や物理、歴史などの科目について、英語等で授業を行うこととされており、ディスカッションなどを取り入れた授業を英語で行える教育スタッフを確保する必要があります。
 今後、認定の取得に向け、学校現場の代表を含めた検討委員会において、これらの課題への対応策について幅広い観点から検討を進めてまいります。
 次に、動物飼育の家庭や地域との連携についてでございます。
 小学校における動物飼育活動をより一層充実するためには、保護者や地域の協力を得るなど、学校が家庭や地域との連携を図ることが大切でございます。これまでにも休日や長期休業中に児童と保護者が、えさやりや飼育小屋の掃除などをともに行ったり、地域の方の協力を得ながら飼育小屋の防寒対策を行ったりするなどの事例が報告されております。
 今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携を図り、各学校が家庭や地域の協力を得て児童が動物と触れ合える多様な機会を設定できるよう、具体的な取り組み例を参考資料等に新たに掲載して、都内の公立小学校に周知するとともに、保護者向けの資料の配布も行ってまいります。
 最後に、動物飼育を通した心の教育の充実についてでありますが、児童が学校生活の中で、小動物と触れ合い飼育に直接かかわることは、生命の尊重や思いやりの心を育成する上で重要でございます。
 現在、都内のほとんどの公立小学校では、ウサギや鶏などの小動物を初め、さまざまな生き物を飼育しており、こうした生き物とかかわる体験を通して児童は生命の誕生や死などを経験し、命のとうとさを実感しております。
 また、都教育委員会が実施しております動物ふれあい教室においても、児童は小動物と実際に触れ合う活動を行い、命の大切さや思いやりの心を学んでおります。
 今後とも、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携を図り、各小学校における動物飼育等を通した心の教育を推進してまいります。
   〔総務局長笠井謙一君登壇〕

〇総務局長(笠井謙一君) 首都大学東京の国際化への取り組みについてでございますが、公立大学法人首都大学東京が策定いたしました第二期中期計画では、留学生への支援や海外の大学との交流機会拡大など、国際性豊かな人材の育成環境を整備していくこととしております。
 これまで、平成二十一年度に国際センターを設置し、学生交換留学協定の拡大などに取り組んできたほか、国際社会で活躍している方を講師としたグローバルキャリア講座を開催してまいりました。また、首都大学東京の魅力を発信するため、各国の大学が集まる海外での交流の場に参加するなどの取り組みを行っております。
 今後も、海外の大学との交流拡大や留学に向けたさまざまなプログラムの開発など、首都大学東京の国際化推進への取り組みを都として支援してまいります。

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