東京23区の大学における定員規制に関する意見書

 AIの進化が急速に進み、国際情勢が混迷を極めるなど、世界は激動のただ中にある中、我が国が持続的な発展を遂げていくための鍵は「人」に他ならない。大学は「知の拠点」として次代を担う人材の育成のみならず、イノベーションの創出に極めて重要な役割を担っている。
 こうした中、国は、地方大学・産業創生法の下、平成30年から10年間の時限措置として、場所だけを理由に東京23区の大学の定員増を抑制する不合理な規制を講じている。しかし、規制開始後も地方大学への進学状況に変化はないなど、規制の効果は見られない。むしろ、この規制により、定員増や学部・学科の新設、キャンパスの移転・再編が制限され、学生の学びの機会が制約されるとともに、大学改革にも大きな支障が生じており、その弊害は極めて大きい。現に、東京23区内の大学からは「規制によってデジタルなどの成長分野の学部設置を断念した」、若者からは「進学先や将来の選択肢が狭まる」など、多くの切実な声が上がっている。
 令和9年度末に本規制の時限を迎えるに当たり、現在、国は有識者会議を設置し、規制の今後の在り方について検討を行っている。有識者会議においては、こうした事実や当事者の声を踏まえた議論を行うべきである。
 もとより、大学全入時代(少子化)における定員の適正化並びに人材育成に向けた大学改革及び産業の振興は日本全体で取り組む課題であり、今こそ東京を抑制すれば地方の課題が解決するという発想から脱却するべきである。
 東京23区を含む全国の大学が、時代の変化に応じて教育・研究体制を不断に改革し、学生の学びの機会を豊かにするとともに、次代を担う人材を育成することこそが、日本の持続的な成長に向けて求められている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、東京23区の大学における学部・学科の新増設及び定員増の抑制に係る規制を確実に撤廃するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。  令和8年10月8日
東京都議会議長 増子博樹
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 文部科学大臣 地域未来戦略担当大臣 宛て