新たな過疎対策法の制定に関する意見書

 過疎対策については、昭和45年の「過疎地域対策緊急措置法」制定以来、4次にわたる過疎対策法の制定により、総合的な過疎対策事業が実施され、過疎地域における生活環境の整備や産業の振興など一定の成果を上げたところである。
 しかしながら、依然として多くの集落が消滅の危機にひんし、また、森林管理の放置による森林の荒廃や度重なる豪雨、地震等の発生による林地崩壊、河川の氾濫など、極めて深刻な状況に直面している。
 過疎地域は、我が国の国土の過半を占め、豊かな自然や歴史・文化を有するふるさとの地域であり、都市に対する食料・水・エネルギーの供給、国土や自然環境の保全、癒やしの場の提供、災害の防止、森林による地球温暖化の防止などに多大な貢献をしている。
 過疎地域が果たしているこのような多面的・公益的機能は国民共有の財産であり、それは過疎地域の住民によって支えられてきたものである。
 現行の「過疎地域自立促進特別措置法」は令和3年3月末をもって失効することとなるが、過疎地域が果たしている機能を今後も維持し、過疎地域が直面する更なる人口減少、高齢化の進展などの課題の解決を図るためには、過疎対策事業債による支援、国庫補助金の補助率のかさ上げ、事業者に対する税制特例措置など総合的かつ積極的な支援を充実・強化するとともに、住民の暮らしを支えていく政策を確立し、推進することが重要である。
 過疎地域が、そこに住み続ける住民にとって安心・安全に暮らせる地域として健全に維持されることは、同時に、都民や国民全体の安心・安全な生活に寄与するものであることから、引き続き、総合的な過疎対策を充実・強化することが必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、新たな過疎対策法を制定するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 令和2年3月27日
東京都議会議長 石川良一
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 農林水産大臣 国土交通大臣 宛て
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