児童虐待防止対策の強化及び充実に関する意見書

 児童虐待事案の深刻化と相談件数の急激な増加などを背景に、平成12年11月に児童虐待の防止等に関する法律(以下「児童虐待防止法」という。)が施行され、平成16年4月以降、数次の改正もなされ、更に平成23年には民法の親権規定の改正も行われてきた。
 このような中、本年3月に東京都目黒区において香川県から転居してきた5歳の女児が児童虐待によって死亡する事案が発生した。
 児童虐待は一つの機関だけで対応できる問題ではない。関係機関の密接な連携及び協力が不可欠であるばかりでなく、自治体間の連携や全国統一のルールの策定が喫緊の課題となっている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、速やかに次の事項を実現するよう強く要請する。
1児童相談所の職員体制を強化するため、必要な財源措置を講ずるとともに、職員の専門性向上と弁護士、医師等の配置基準を定めるなど、人材確保のための措置を講ずること。
2児童虐待や経済的な事情等を理由に親元で暮らせない子供の社会的養護に関して、児童養護施設等の充実を図るとともに、家庭的養護を推進すること。
3現在、虐待により相談対応を行っている家庭が転居した場合、他の児童相談所へのケース移管や情報提供等を行うルールについて、技術的助言である厚生労働省通知に規定されているが、児童の安全を最優先に確保するという観点から見直しを行い、徹底を図ること。また、児童相談所、地方自治体及び警察の間で迅速に必要な情報が共有できる仕組みを構築すること。
4平成28年度に改正された児童虐待防止法では、児童相談所長や区市町村長から児童虐待の防止等に関する資料等の提供を求められた場合、従来の地方公共団体の機関に加え、医療機関、児童福祉施設、学校等が当該資料等を提供できる旨が規定されたが、児童相談所の調査がより的確にできるよう、様々な機関等に対して、関係資料等の提供を要求できるようにするとともに、要求を受けた当該機関等に応諾義務を課すよう法改正を行うこと。
5要保護児童の保護を第一に、迅速かつ柔軟な対応が可能となるよう必要に応じて法改正や通達を行うこと。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成30年6月27日
東京都議会議長 尾崎大介
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 厚生労働大臣 少子化対策担当大臣 宛て
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