下水道施設の改築に係る国庫補助の継続に関する意見書

 東京都の下水道は、高度経済成長期以降に整備した膨大な量の下水道施設が今後一斉に耐用年数を迎えることから、施設の老朽化対策として、下水道管や水再生センターなどを計画的に改築していく必要がある。
 下水道は、極めて公共性の高い社会資本であり、その国庫補助金は地方財政法上、国が義務的に支出する負担金として整理されている。また、下水道法においては、施設の設置に加えて改築も国庫補助の対象としている。
 しかし、国の財政制度等審議会において、下水道事業は主要な施設の改築費用の約半分を国庫補助金で賄っていることが受益者負担の観点から課題とされ、未普及の解消と雨水対策に重点化する方針が平成29年度に示された。これを踏まえ、この度、国庫補助の対象を未普及の解消と雨水対策に重点化する平成30年度予算案が国会に提出された。
 これにより、下水道管や雨水貯留施設の新たな整備等に重点的に予算が配分されることとなり、老朽化した施設の改築に係る国庫補助金の削減が懸念される。
 首都東京は、政治、経済、文化、情報等あらゆる面で極めて重要かつ高度な機能が集積し、都民の暮らしの向上のみならず、我が国の発展に重要な役割を担っている。今後も首都機能を発揮していくためには、都市インフラとしての下水道の計画的な改築が不可欠であり、引き続き、我が国の発展をけん引し、安全で衛生的な都民の生活を実現していく上で、国の果たす役割は大きい。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、下水道使用者の負担を増加させることなく下水道事業を継続的かつ計画的に遂行するために、下水道施設の改築に係る国庫補助を継続するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成30年3月29日
東京都議会議長 尾崎大介
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 国土交通大臣 宛て
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