高齢者・若年成人・障害者等の消費者被害を防止・救済する実効的な消費者契約法改正に関する意見書

 近年の消費者を取り巻く社会経済情勢の変化等もあり、高齢者のみならず、若年者を含めた幅広い年代において消費者被害は依然生じており、その中には、消費者の合理的な判断をすることができない事情を利用されて契約を締結させられたという事例もある。
 しかし、平成29年8月の消費者委員会の答申(以下「答申」という。)では、「合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させるいわゆる「つけ込み型」勧誘の類型につき、特に高齢者・若年成人・障害者等の知識・経験・判断力の不足を不当に利用し過大な不利益をもたらす契約の勧誘が行われた場合における消費者の取消権」等について、法改正を行うべき事項とはされず、早急に検討し明らかにすべき喫緊の課題として付言されるにとどまった。
 また、成年年齢の引下げを盛り込んだ民法改正が実現した場合、新たに成年となる者の消費者被害の更なる増大が懸念される。
 高齢者・若年成人・障害者等の消費者被害を防止・救済する上では、実効的な消費者契約法の改正が必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、答申において法改正を行うべきとされた事項について、今国会で確実に成立させるとともに、消費者の判断力の不足等を不当に利用し、不必要な契約や過大な不利益をも
たらす契約の勧誘が行われた場合等における消費者の取消権の付与についても、法改正に向け、早急に検討するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成30年3月29日
東京都議会議長 尾崎大介
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 消費者及び食品安全担当大臣 宛て
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