次期介護保険制度改正における福祉用具貸与等の給付の見直しに関する意見書

 平成27年6月30日に、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太の方針)が閣議決定され、次期介護保険制度改正に向け、軽度者に対する福祉用具貸与等の給付の見直しを検討することが盛り込まれた。
 現行の介護保険制度における、軽度者向けの歩行器など福祉用具の貸与や住宅改修費の給付は、転倒・骨折を予防し、安全な外出機会を保障することで、高齢者の閉じこもりを防ぎ、自立した生活の維持を実現している。このことは、介護の重度化を遅らせることに役立つとともに、介護者の負担軽減を図るという極めて重要な役割も果たしている。
 介護人材の需要に対し、供給が大きく不足している東京においては、このように自立を維持することで、人材不足の急増を押しとどめ需要を適度に抑制する効果が期待される。
 仮に、軽度者に対する福祉用具貸与等の費用が原則自己負担になれば、特に低所得世帯など弱者の切捨てになりかねない。また、利用が抑制されることで重度化が進み、高齢者の自立的な生活が阻害され、結果として介護保険給付の適正化という目的に反し、給付費が増大するおそれがある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次期介護保険制度改正における福祉用具貸与等の給付の見直しにおいては、高齢者の自立を支援し介護の重度化を防ぐという、介護保険の理念に沿って、介護が必要な方の生活を支える観点から検討するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成28年10月13日
東京都議会議長 川井しげお
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 宛て
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