地方法人課税の不合理な偏在是正措置の撤廃及び地方税財源の拡充に関する意見書

 真の地方自治は、地方自治体が自らの権限と財源に基づき、主体的に行財政運営を行うことで実現できるものであり、そのためには、国から地方への権限と財源の移譲が不可欠である。
 しかしながら、国は、平成26年度税制改正で、消費税率10パーセント段階においては、地方法人特別税・地方法人特別譲与税を廃止するとしたものの、地方税への復元に言及しないばかりか、これに代わるほかの偏在是正措置の導入を検討し、併せて地方の貴重な自主財源である法人住民税の国税化を更に進めるとした。これらの措置は、地方分権の流れに逆行するものであり、地方税の拡充につながらないばかりか、地方の自立そのものを妨げるものである。
 また、平成27年度から予定される法人実効税率の引下げに関連し、地方自治体が行う法人二税の超過課税について、自主的な取りやめを求める動きもある。超過課税は、憲法で保障された地方の課税自主権に基づくもので、地域の実情に応じた行政運営を行う上で必要不可欠な財源であり、地方自治体の判断が尊重されるべきものである。
 現在、地方自治体は、教育や産業振興、社会資本の整備や維持更新等、幅広い行政サービスを担っており、都においても、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた万全の準備や、少子高齢化への対応、防災力の強化、産業振興など膨大な財政需要が存在している。こうした中、地方財政が抱える巨額の財源不足という問題を根本的に解決するには、限られた地方財源を地方間で奪い合うのではなく、地方税財源全体の充実・強化を図ることが重要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、不合理な偏在是正措置である地方法人特別税・地方法人特別譲与税と法人住民税の国税化を直ちに撤廃し、地方税として復元するとともに、真の地方自治の実現に向け、地方が担う権限と責任に見合った、総体としての地方税財源の拡充に取り組むよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成26年9月17日
東京都議会議長 吉野利明
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 社会保障・税一体改革担当大臣 経済財政政策担当大臣 宛て
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