私立幼稚園における子ども・子育て支援新制度の施行に関する意見書

 東京の私立幼稚園は、それぞれの建学の精神や教育理念に基づき、個性的で特色ある幼児教育を積極的に展開しており、東京都ひいては我が国における幼児教育の進展に寄与している。現在、都内の3歳から5歳までの就学前児童の約6割が幼稚園に就園し、幼稚園児のうち、私立幼稚園に在園する園児の割合は約9割を占めるなど、私立幼稚園が東京の幼児教育に果たす役割は極めて大きい。
 子ども・子育て支援新制度は、幼稚園、保育所、認定こども園を通じた共通の給付を創設し、実施主体が区市町村になるなど、新しい大きな仕組みを作るものであり、新制度への移行は私立幼稚園にとって重大な判断を伴うものである。
 国は、平成27年4月から施行する方針を明確にしたものの、私立幼稚園設置者が新制度への移行を判断する上で必要な情報をいまだ十分に提供しておらず、私立幼稚園の現場では混乱が生じている。とりわけ、新制度への移行が施行時にのみ可能とされている個人立幼稚園は、より強い危機感を抱いている。
 新制度施行後も、未来を担う子供達の健やかな育ちを保障し、発達段階に応じた質の高い幼児教育を提供するためには、実態を踏まえた現場の検討と準備が必要であるが、国は、私立幼稚園が必要としている情報を十分に提供しないまま、新制度の施行に向けた作業を進めており、その動きは容認できるものではない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、幼児教育の一層の充実のため、国の責任において必要な財源を確保するとともに、全ての関係者が、十分な検討の下に適切に判断し、混乱なく準備を行うため、私立幼稚園に対する支援の全体像及びその具体的な内容を直ちに示すよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成26年6月25日
東京都議会議長 吉野利明
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 文部科学大臣 女性活力・子育て支援担当大臣 宛て
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