北朝鮮による日本人拉致問題の全面解決に関する意見書

 本年5月26日から同月28日までストックホルムで開催された日朝政府間協議において、両国政府は、日本人拉致問題の全面調査と制裁解除について合意に至った。
 これまで「拉致問題は解決済み」と主張してきた北朝鮮が、拉致被害者の再調査を認めたことは大きな前進であり、全面解決に向けた第一歩となることを期待するものである。
 一方、日本政府は、再調査の実施に当たり制裁の一部を解除することとしている。かつて北朝鮮は、合意した再調査を反故にしてきた経緯もあり、政府は今回の調査結果をしっかりと見極め、実効性が担保されるよう北朝鮮に求めていく必要がある。
 日本人拉致問題については、平成14年に北朝鮮が拉致を認め、5人の拉致被害者が帰国して以降、具体的な進展が見られない。高齢となった家族は、長年にわたり一日千秋の思いで肉親との再会を待ち望んできた。政府はこの機会を逃すことなく、全ての拉致被害者の帰国という成果が得られるよう全力で取り組むべきである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、日本人拉致問題の全面解決に向けて、次の事項を実現するよう強く要請する。
1拉致被害者全員の一刻も早い帰国に向けて精力的に協議を行い、政府一丸となって全力で北朝鮮との交渉に当たること。
2拉致被害者や特定失踪者など、全ての日本人に関する再調査を北朝鮮に確実に実施させるとともに、調査結果について科学的な根拠も含めたしっかりとした検証を行うこと。
3制裁解除に当たっては、行動対行動の原則に基づき、北朝鮮による再調査の進展を慎重に見極めた上で実施すること。
4拉致被害者の帰国が実現した場合には、被害者やその家族の生活基盤や雇用、教育の機会の確保を図るなど、生活再建が円滑に進むよう地方自治体と連携しつつ万全の支援を行うこと。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成26年6月25日
東京都議会議長 吉野利明
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 外務大臣 拉致問題担当大臣 宛て
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