大気汚染による健康被害に対する総合的な対策に関する意見書
都は、平成19年8月の東京大気汚染訴訟に対する和解を受け、気管支ぜん息患者への早期救済を最優先にすべく、都、国及び関係者による財源拠出を基に医療費助成制度を創設し、平成20年8月から実施している。
また、都は、東京の大気汚染の改善に向け、九都県市が連携したディーゼル車規制や、三環状道路の整備による渋滞解消等の取組を推進してきた。その結果、平成24年度においては、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の濃度は都内のほぼ全ての大気測定局で環境基準を達成するなど、東京の大気汚染は大幅に改善している。
そうした状況の下、本医療費助成制度は、和解条項に基づく創設後5年経過時点の見直し時期を迎えたが、都は、本制度創設の趣旨を踏まえ、現に助成を受けている患者に対し、引き続き都の応分の負担による助成を実施することを表明した。
しかしながら、大気汚染の根本的な原因は、国の自動車排出ガス規制の遅れにあり、患者救済の一義的な責任は国にあることから、国の責任として、健康被害防止のための有効な対策や健康被害を受けた者への救済策を講じていく必要がある。
よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、国の責任において、大気汚染による健康被害に対する総合的な救済策を検討し、実効性ある対策を講ずるよう強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年12月13日
東京都議会議長 吉野利明
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