予防接種制度の充実並びに情報提供及び普及啓発の強化に関する意見書

 予防接種による感染症予防は、乳幼児や高齢者を始め国民の健康と生命を守るための重要な施策として、一層の充実が図られるべきであり、感染症対策上重要度の高いワクチンの定期接種化や副反応による健康被害対策の拡充など、安定的かつ継続的に実施し得る制度構築が進められるべきである。
 平成24年5月、厚生科学審議会予防接種部会が取りまとめた「予防接種制度の見直しについて(第二次提言)」の中で、子宮頸がん予防等の7ワクチンについて、広く接種を促進していくことが望ましいとされたことを踏まえ、本年4月に施行された予防接種法の改正では、このうち3ワクチンが定期接種化された。衆参両院の厚生労働委員会で付された附帯決議では、残る4ワクチン(水痘、おたふくかぜ、成人用肺炎球菌及びB型肝炎)を定期接種の対象とすることについて検討し、本年度末までに結論を得ることが求められている。
 しかし、これまでの厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会等での検討においては、4ワクチンの定期接種化の見通しが明らかになる状況とは言い難い。
 一方、予防接種を国民の理解と協力の下に推進していくためには、副反応による健康被害への不安の訴えや、ワクチンの有効性・安全性に関する十分な情報提供を求める国民の声に適切に応えていくとともに、感染症のまん延防止のための予防接種の重要性について、より一層国民の理解を得ていくため、情報提供及び普及啓発を強化していくことが必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要請する。
1予防接種基本計画の策定に当たり、水痘等の4ワクチンを定期接種の対象とすることについて早期に結論を得るとともに、具体的な目標年度を定めるなど、定期接種ワクチンの追加を計画的に進め、ワクチン・ギャップの解消を着実に推進すること。
2ワクチンの有効性・安全性についての十分な検証と、国民に分かりやすい情報提供を行うとともに、副反応による健康被害の救済の充実や、重い副反応が生じた場合の医療体制の整備など、国民が不安なく予防接種を受けられる環境を整備すること。
3社会における感染症のまん延防止の観点から、予防接種の重要性について、国民のより一層の理解が得られるよう、予防接種に関する情報提供及び普及啓発の強化に取り組むこと。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成25年12月13日
東京都議会議長 吉野利明
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 宛て
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