軽度外傷性脳損傷(MTBI)患者に係る労災認定基準に関する意見書

 軽度外傷性脳損傷(MTBI)は、交通事故やスポーツ外傷などにより、頭部に衝撃を受けた際に脳が損傷し、その結果として、持続する頭痛、記憶障害、けん怠感や睡眠リズムの変化等の症状が現れる疾病であり、重症の場合は寝たきりの生活となることもある。
 平成19年の世界保健機関(WHO)の報告から推測すると、MTBI患者の発生は年間約900万人に上るとされ、我が国においてもその対策が求められているところである。
 この疾病は、磁気共鳴画像法(MRI)などの画像検査では異常が見つかりにくいため、労働者災害補償保険(労災)や自動車損害賠償責任保険の補償対象にならないケースが多い。働くことができない上に補償も十分に受けられない患者は、経済的に追い込まれて苦しんでおり、その救済が必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、MTBI患者に係る労災認定基準に関し、次の事項を実現するよう強く要請する。
1MTBIのため働くことができない患者に対し、労災の障害(補償)年金が支給できるようにすること。
2MTBIの判定方法として、不正防止のため、画像検査に代わる他覚的・体系的な神経学的検査方法を導入すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成25年3月28日
東京都議会議長 中村明彦
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 宛て
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