放射性物質の検査体制の確立と適切な情報提供に関する意見書

 福島第一原子力発電所の事故による、放射性物質の環境中への降下及びその影響による農林水産物の汚染は、食品中の放射性物質による子どもたちの低線量内部被ばく、母体を介した胎児や乳児への影響など、様々な不安を都民に抱かせている。
 現在、放射性物質に係る検査は、野菜や米などの農産物、畜産物、水産物、加工食品、水道水など、多岐にわたっている。
 国は、必要な検査機器を食品衛生検査施設に有しない都道府県等に、研究所や大学等を紹介する仕組みを構築するとしているが、いまだ全体像は明らかにされておらず、子どもの低線量被ばくに関する安全基準も示されていない。
 また、都は、臨時のワンストップダイヤルを設置し、都民の放射能に関する疑問や日常生活に関する相談に対応しているが、国においては、直接国民が問い合わせできる相談体制が不十分である。
 未曽有の原子力災害に接し、多くの人々が不安や疑問を抱くのは当然であり、具体的で分かりやすい適切な情報を提供し、その解決を図ることは、本来、国の役割である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、国の責任において、次の事項を実現するよう強く要請する。
1安全な食品が確実に流通し、消費されるよう、食品検査体制を強化すること。
2福島第一原子力発電所の事故に関する迅速かつ正確な情報提供を徹底するとともに、直接国民が問い合わせできる相談窓口を充実させること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成23年10月18日
東京都議会議長 和田宗春
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 東日本大震災復興対策担当大臣 宛て
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