被災者生活再建支援制度の拡充に関する意見書

 東日本大震災では、都内においても、住家等に全壊、大規模半壊、半壊などの甚大な被害が発生した。とりわけ、液状化現象が予想を超える広がりで発生し、道路などの陥没、住宅の傾斜や沈下、建物のひび割れ、下水道管の破損などの被害が生じた。公益社団法人地盤工学会の調査によると、東京湾岸地域の被害面積はJR山手線の内側の面積の半分以上に相当する約42平方キロメートルで、世界最大ということである。
 東京を含む関東地方の広範囲で液状化による被害が発生したことを受け、国は本年5月2日、より多くの被災者が支援金を受給できるよう被災者生活再建支援制度の認定基準を緩和した。これは、支援金の支給対象に液状化による住宅被害を初めて加えた点で一歩前進である。
 しかし、当該制度は、都道府県では100世帯以上、市町村では10世帯以上の住宅が全壊と認定されなければ適用対象外となるため、都内で適用された自治体はない。
 適用対象外となった自治体の一部では、独自の制度を創設し被害住宅の改修や地盤改善への支援に乗り出しているが、被害者の健康への影響や経済的負担は依然大きく、国が支援対象の範囲や支援内容を更に拡充することが求められる。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、被災者の生活再建への支援をより実態に即したものとするため、被災者生活再建支援制度の適用要件を更に緩和し、支援対象の範囲等を拡充するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成23年7月1日
東京都議会議長 和田宗春
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 防災担当大臣 宛て
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