原爆症認定と被爆者の救済に関する意見書

 原爆症認定訴訟については、大阪、広島両地方裁判所において原告の訴えを認める判決が出され、名古屋地方裁判所においても一部原告の訴えを認める判決が出された。判決は、厚生労働省が審査に当たり採用している原因確率を形式的に適用するのではなく、被爆時の状況や、被爆後の急性症状などを総合的に判断し、救済を認める内容となっている。
 現在、国内には約26万人の被爆者がおり、人類史上体験したことのない原子爆弾が広島、長崎の両市に投下されてから今日まで、後遺症や健康不安に悩んでいる。その中には、がんなど原子爆弾による放射線が原因と思われる重い疾病を発病し、日々病気と闘いながら、不安な毎日を送っている被爆者もいる。
 しかし、厚生労働省は、こうした被爆者の原爆症認定申請を却下し、かかる裁判において原爆症と認定すべきとする判決を受けても、控訴し、結果として認定を拒んでいる。被爆から61年余が経過し被爆者も高齢となり、東京でも30人の被爆者が原爆症認定訴訟を提起しているが、原告が裁判中に亡くなるなど、救済には一刻の猶予も許されない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、司法判断等を踏まえ早期に原爆症の認定を行い、被爆者の救済について適切な対応を図るよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成19年3月9日
東京都議会議長 川島忠一
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 あて
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