ウイルス肝炎対策の充実・強化に関する意見書

 我が国において、B型・C型肝炎ウイルスの感染者は、200万人から300万人存在すると推測されている。ウイルス肝炎は、自覚症状がないままに慢性肝炎から肝硬変、肝がんへと進行する重大な病気である。
 先般、相次いで訴訟判決が出され、感染経路は、過去に行われた予防接種時の注射筒・針の不適切な使用法や血液製剤・輸血などによるものとされている。集団予防接種によるB型肝炎の感染について、最高裁判所は国の行政責任を認め、また、C型肝炎の感染については、血液製剤の投与によるとして、大阪地裁と福岡地裁で国や製薬会社の責任を認める判決があった。政府は、これらの判決を重く受け止め、患者の救済に早急に取り組むべきである。
 現在、国はウイルス肝炎対策として、肝炎ウイルス検診や普及啓発等を実施しているが、多くの検診未受診者が存在し、感染者の適切な治療につながっていない状況にある。
 一方、C型ウイルス肝炎患者に対する治療では、近年、より効果の高いインターフェロン治療などの抗ウイルス療法が進歩し、肝がんへの進行を防ぎ、治癒までも望めるものとなった。
 こうしたことから、肝炎ウイルス検診の拡充、確実に治療につなげる医療体制の整備、新たな医療費助成制度の創設など、総合的、抜本的な対策の充実・強化が求められている。
  よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実施するよう強く要請する。
1未受診者の検診機会を確保するため、肝炎ウイルス検診を拡充すること。
2感染者の適切な早期治療を促進するため、治療体制を充実すること。
3治療を促進するため、新たな医療費助成制度の創設や高額療養費制度の特例措置など、経済的負担の軽減策を講じること。
4ウイルス肝炎の効果的な治療法の研究・開発を強力に推進すること。
5感染者等に対する的確な情報提供や患者に対する相談支援体制の整備を推進すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
  平成18年12月15日
東京都議会議長 川島忠一
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 あて
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