道路特定財源の首都東京の道路整備への重点投資に関する意見書

 東京を中心とする首都圏は、人、物及び情報が高度に集積し、日本経済全体の牽引役を果たしている。しかしながら、物流ネットワークの大半を担う道路の整備は著しく立ち後れているため、自動車の平均走行速度は、東京都区部などでは全国平均時速35キロメートルの半分程度という現状となっている。この慢性的な交通渋滞は、都市環境の悪化を招き、都民生活に多大な負荷を与えているばかりでなく、経済の高コスト化をもたらし、日本の国際競争力の低下と持続的な経済成長の障害となることが懸念される。
 一方、人口の都心回帰の動向が強まる中で、都心及びその周辺での都市再生が進み、多摩地域においても郊外型の大規模商業施設の進出などが盛んに行われ、街づくりや地域生活を支えるための道路整備が求められている。
 また、首都圏3環状道路を中心とする高速道路や骨格幹線道路の未接続区間等の道路ネットワーク整備、鉄道の連続立体交差化を中心とする踏切対策や都市景観の形成に資する電線類地中化などの整備は、首都東京の経済活動を支え、都市環境の改善にも大きな効果が期待できることから、特に重点的に推進すべきである。
 さらに、歴史的にも大きな意味をもつ、東京への2度目のオリンピック招致に向けて、円滑な交通の確保とともに優れた都市景観を形成し、成熟した都市東京の姿を国内外にアピールすることは極めて重要である。
 このような状況にもかかわらず、国は道路整備を進めるための財源である道路特定財源について、一般財源化を前提とした議論を進め、具体化しようとしているが、道路整備の必要性の議論や、納税者である自動車利用者への説明などはいまだ十分に行われているとはいえない状況にある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、首都東京の道路整備を重点的に進め、豊かな都民生活を確立する観点から、次の事項を実現するよう強く要請する。
1納税者の理解を得られていない中で、道路特定財源は、安易に一般財源化するのではなく、「道路整備のための財源」という本来の目的にのっとり、真に必要な道路や道路関係の施策へ重点的に投資すること。
2道路特定財源は、日本の国際競争力を高めるため、東京を中心とする首都圏の道路ネットワーク整備へ重点的に配分すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成18年10月5日
東京都議会議長 川島忠一
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 国土交通大臣 行政改革担当大臣 あて
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