飲酒運転等交通事故・交通法規違反に対する刑罰の引上げ及び運転者教育の強化等に関する意見書

 道路交通法では、飲酒運転の禁止や事故を起こした場合の救護義務、運転者の安全操作義務、安全確認義務など、運転者が遵守すべきルールを定めている。しかし、飲酒運転を始め、ルールを守らない無責任な運転による重大な交通事故の発生が全国各地で相次ぎ、都民、国民の安全と安心を脅かしている。
 自動車を運転する者は、一歩間違えれば自動車が他人に大きな危害を及ぼす凶器になることを十分自覚し、交通ルールを確実に守ることが必要である。しかし、車を運転して歩行者等を死傷させたとしても、飲酒運転などで危険運転致死傷罪が適用される場合は懲役20年、業務上過失致死傷罪であれば懲役5年が最も重い刑であることから、安易な気持ちで自動車を運転し、重大な事故を起こす場合が多く見られる。
 また、交通人身事故を起こした場合の救護義務違反についても、最高で懲役5年、刑法と道路交通法を併合して適用しても7年6箇月に過ぎないことから、いわゆるひき逃げ事件が多発し、大きな社会問題となっている。
 運転者の自覚に欠ける行為は、都民、国民に著しい不安をもたらしており、交通人身事故を起こした者や交通法規違反を行った者に対する罰則を強化することが求められる。あわせて、運転免許を有する者に対する実効性ある教育を行うよう、講習内容を見直すことも必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、運転者に自己責任を自覚させ、交通ルールを遵守して自動車を運転することを徹底するため、危険運転致死傷罪及び業務上過失致死傷罪の最高刑期の引上げや、交通法規違反に対する罰則の引上げ、飲食店・同乗者の責任の明確化を行うとともに、運転免許の交付時及び更新時の運転者教育の強化や飲酒運転のできない自動車の実用化の促進など抜本的な対策を講ずることを強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成18年10月5日
東京都議会議長 川島忠一
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 経済産業大臣 国家公安委員会委員長 警察庁長官 あて
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