PCB廃棄物の安全・確実な処理体制の確保に関する意見書

 PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、昭和49年に製造や新たな使用が禁止されて以来、約30年にも及ぶ長期保管のため紛失や漏えいのおそれがあり、環境汚染が心配されていたが、平成13年に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が制定され、PCB廃棄物は平成28年までに処理することが義務付けられた。
 都は、平成14年4月に、国からPCB廃棄物の広域処理施設の整備について要請を受け、安全性の確保などの都の受入条件を遵守することを前提に、地元江東区の理解と協力を得ながら東京臨海部での施設整備を受け入れた。
 平成16年4月には、政府の100%出資によって日本環境安全事業株式会社が設立され、PCB廃棄物の処理を行う事業が開始されたところである。
 東京PCB廃棄物処理施設は、一都三県分のPCB廃棄物を処理する施設として、平成17年11月に操業を開始したところであるが、本年3月に廃水の流出事故を発生させた。そのため施設の稼動を停止していたが、5月に は排気の排出事故を重ねて発生させた。
 都や江東区は、同社に対し、施設の再点検や更なる改善を指示し、再発防止に向けた抜本的な安全対策を講じるよう指導を徹底しているところであるが、PCB廃棄物という負の遺産を適正に処理するために施設を再開させることが必要であり、そのためには、何より安全性や信頼性の確保が求められる。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要請する。
1「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に基づき、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理が確保されるよう必要な措置を講じること。
2施設整備に当たっての都の受入条件の遵守、安全管理体制の強化や施設の信頼性の確保などについて、日本環境安全事業株式会社を指導すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成18年6月21日
東京都議会議長 川島忠一
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 環境大臣 あて
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