警視庁警察官の増員に関する意見書

 昨年は、一昨年に引き続き、警視庁が総力を挙げて推進した「街頭・侵入犯罪抑止総合対策」の諸施策を始め、東京都議会、東京都、地域住民等が一体となって安全で安心なまちづくりに取り組んだ結果、都内の刑法犯認知件数は、2年連続して減少するとともに、検挙件数は増加し、犯罪の抑止について一定の効果が認められたところである。
 しかしながら、昨年の都内の刑法犯認知件数は約28万3,000件と依然として高い水準にあり、「振り込め詐欺」を始めとした、新たな手口の悪質な犯罪が多発するなど、都内の治安情勢は依然として厳しい状況にある。
 警視庁は、都内の治安回復に向け、来日外国人犯罪対策、非行少年対策、大規模テロ対策、新宿歌舞伎町・池袋・六本木に代表される盛り場の環境浄化対策等のほか、検挙人数の増加に伴う留置管理体制の強化など、様々な課題を抱えており、その業務負担は著しく増加している。
 また、事件・事故処理その他各種業務量の急増に伴い、勤務員が不在がちになっている「空き交番」の解消を含めた交番機能の強化は、都民の安全と安心を確保する上で不可欠なものである。
 さらに、警視庁は、皇居、国会及び総理官邸等、国の重要施設の警備並びに皇室及び政府・外国人要人等の警衛・警護など、首都特有の業務に、恒常的に警察力を投入すべき特殊事情を有している。
 一方、警察官の増員については、警察庁の地方警察官の増員計画の下で、平成14年度から平成17年度までの4年間に、全国で増員された1万5150人のうち、警視庁には880人の増員が認められたものの、警視庁の業務負担を考えると到底十分とは言えない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、政治、経済、文化の中心である首都東京の治安を維持し、都民生活の安全と安心を確保していくため、緊急に現場警察官を中心とした警視庁警察官の増員を図るとともに、首都警備も含めた必要な財源措置を講ずるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成17年10月6日
東京都議会議長 川島忠一
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 国家公安委員会委員長 警察庁長官 あて提出
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