私立高等学校等の教育水準の堅持に関する意見書

 現在、政府が進めている国と地方の税財政の三位一体の改革について、平成15年6月に閣議決定した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」では、平成15年度予算ベースで約20兆円に達する国庫補助負担金のうち、平成18年度までに約4兆円を廃止・縮減し、引き続き地方が事業主体となって実施する必要があるものについては税源移譲するとしている。
 この方針を受けて、平成16年度予算においては約1兆円の国庫補助負担金が廃止されているが、残りの3兆円をめぐっては、既に一部では廃止が予想される補助事業名が具体的に挙げられており、「私立高等学校等経常費助成費補助金」についても昨年度に引き続き廃止・縮減の対象として厳しい状況に直面することが予想される。
 私立高等学校等の助成については、私立学校振興助成法に基づき、都道府県の私学助成が全国的に一定の水準を維持できるように、国が国庫補助金と地方交付税措置を併せて都道府県に財源措置を行っている。
 東京の私学教育は、建学の精神と独自の教育理念の下に、公教育の一翼を担うものとして、これまで大きな成果を上げてきた。しかし、このまま私学助成の「一般財源化」が行われた場合には、地方交付税の不交付団体である東京都にとっては、他の道府県とは異なり国庫補助金全額が削除となり、教育水準の維持も困難になるなど多大な影響が生じることは明らかである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、私立高等学校等経常費助成費補助金制度の見直しに当たっては、その前提として十分な税財源の移譲を行うよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成16年6月16日
東京都議会議長 内田茂
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 あて提出
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