犯罪被害者の救済と被害回復制度等の拡充に関する意見書

 我が国では、年々犯罪件数が増加し、その内容も凶悪化、低年齢化の一途をたどっている。こうした中で、犯罪被害者やその家族は、大きな痛手を受けながら、社会から偏見と好奇にさらされ、正当な援助を受けることもなく、精神的、経済的苦痛を強いられてきた。
 平成12年に犯罪被害者保護関連二法が制定され、犯罪被害者にも意見陳述の機会や公判記録の閲覧などが認められるようになったが、依然として刑事手続からは排除され、証人への尋問、証拠の提出、被告人への質問や反論などの犯罪被害者にとって切実な関与手段が全く認められていない。
 また、犯罪加害者に対し損害賠償請求を行うためには、刑事裁判とは別に民事裁判を提起しなければならず、このことは、犯罪被害者やその家族に対し、犯罪による直接的な被害に加え、更に多大な負担を強いている。
 以上のことは、司法制度上、被疑者や被告人に認められている人権保障と比べると著しく公平を失するものであり、早急に是正されなければならない。
 さらに、現行の破産法では悪意で加えた不法行為に基づく債務のみが免責されないこととなっており、このことが犯罪被害者の被害回復に大きな妨げとなっている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、犯罪被害者の救済と被害回復制度等の拡充のため、次の事項を早急に実現するよう強く要請する。
1犯罪被害者が刑事手続に参加できるよう訴訟参加の制度を創設すること。
2犯罪被害者が刑事手続に附帯して民事上の損害賠償請求を行うことができるよう附帯私訴の制度を確立すること。
3故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく債務についても破産によって免責されないよう法整備を図ること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成16年3月30日
東京都議会議長 内田茂
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 法務大臣 国家公安委員会委員長 警察庁長官 あて提出
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