電力の安定供給に関する意見書

 東京への電力の供給については、原子力発電所が立地する新潟県及び福島県を始め、電源が立地する他県の長年にわたる理解と協力によって確保されてきている。
 東京電力株式会社は、原子力発電所を新潟県及び福島県内に17基(約1730万キロワット)設置し、電力を首都圏へ供給してきた。原子力発電は、長期的、安定的なエネルギーの確保と地球環境の保全という観点からも、その重要性は認識されているところである。
 しかし、今回の東京電力株式会社による不祥事は、電源立地地域の住民に対し、原子力発電への不安と不信を呼び起こしている。安心・安全が何よりも求められている原子力発電所において、点検・補修等におけるもろもろの不正問題が発生し、事業者の信頼は失墜し、ついには全プラントの停止という最悪の事態に至ったことによるものである。
 その後、地元の理解を得て、新潟県の柏崎刈羽6号機及び7号機は運転を再開しているが、この2基のみで夏場の電力供給が間に合うかどうか危惧されるところである。仮に、供給不足による停電というような事態になれば、国民生活にとっても、我が国の社会経済全体にとっても深刻な影響を及ぼすことは明らかである。
 本来、この問題を引き起こした最大の原因は、東京電力株式会社の隠ぺい体質にある。東京電力株式会社がこの体質を改革し、失われた信頼を取り戻すことが最重要課題である。一方、東京電力株式会社を監督する国は、原子力発電の安全の確保に万全を期すとともに、東京電力株式会社の体質改革の実現のため監督責任を果たさなければならない。
 当然、このような事態を迎え、都民・企業・行政も、一層省エネルギーに取り組まなければならないことは言うまでもない。
 このため、関係当事者は、引き続き電源立地地域の住民と同じ目線に立ち、何よりも地元住民の安心・安全の確保を最優先に考え、信頼回復に向けた早急な取組が必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、東京電力株式会社に対する指導、監督の徹底を図り、一日も早く、電力の安定供給に向けて運転が再開できるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成15年6月24日
東京都議会議長 三田敏哉
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 経済産業大臣 環境大臣 あて提出
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