精神障害者の保健福祉施策の推進に関する意見書

 我が国における精神障害者施策は、医療保護に重点が置かれてきたため、いまだ入院医療中心の施策にとどまっており、身体・知的障害者の施策と比べ、地域におけるケアを中心とした体制に向けての整備が大きく遅れている状況にある。
 また、精神科医療の現場では、社会的入院患者や療養環境の改善などの課題を抱えている。これらの課題を解決するためには、地域での生活の基盤である社会復帰施設の整備やこれを支える各種の在宅福祉サービスの拡充が急務であり、医療と福祉が一体となった総合的な施策展開が求められている。
 現在、国においては、社会保障審議会の場で、今後の精神障害者保健医療福祉施策の在り方等について検討を行い、「精神保健福祉総合計画(仮称)」を策定することとしている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、精神障害者の保健福祉施策について、次の事項を重点にその推進を図るよう強く要請する。
1精神障害者に対する理解を促進し、偏見や差別のない社会を実現するため、様々なメディア・広報媒体を用いた普及啓発活動を強化すること。
2長期入院患者のうち、地域でのケア体制が整えば退院可能な、いわゆる社会的入院患者の退院支援施策を推進すること。
3診療報酬の大幅な改善など、精神科入院医療の充実に向けた医療機関の取組を支援すること。
4精神障害者の社会復帰の基盤である各種社会復帰施設を計画的に整備すること。特に、居住の場の確保については、緊急に整備促進すること。
5精神障害者の地域療養を支えるホームヘルプ等の居宅生活支援事業の一層の普及を図るとともに、その実施主体である区市町村に対する財政支援を拡充すること。
6精神障害者の就労支援策として、現在の福祉的な就労支援対策にとどまらず、一般就労に向けた支援策を強化すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成14年12月18日
東京都議会議長 三田敏哉
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 あて提出
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