食品安全基本法(仮称)制定に関する意見書

 食の安全・安心への消費者の関心の高まりと、BSE(牛海綿状脳症)、O157(腸管出血性大腸菌)、ダイオキシン、無登録農薬、偽装表示などによる、食品にまつわる事故・事件が日本国内外で続発し社会問題化したことが相まって、消費者は、かつて無い程食品に対する不信・不安を募らせている。
 食品にまつわる事件・事故は、ときに消費者の健康のみならず生命にも取り返しのつかない被害を与えるものであり、故意、過失にかかわらず、決して許されるものではなく、実効性のある食品の安全・安心確保対策は、現在、最も対応を急がなければならない課題である。
 また、既に政府は、事件発生後の対応が中心であった我が国の食品安全行政を抜本的に改革し、リスク分析という予防と危機管理を重視する考え方を導入することや、食品安全基本法(仮称)を来年の通常国会に提案することを明らかにしている。
 こうした背景の下で同法が制定されようとしていることに鑑み、その内容は真に実効性のあるものとして行かなければならない。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、食品安全基本法(仮称)制定に当たり、次の事項を盛り込むよう強く要請する。
1食の安全確保において地方自治体が果たす役割を早期に明確にするとともに、施行に当たっては必要な技術的・財政的支援を行うこと。
2食品の安全性確保のために、実効性のあるリスク分析を実施すること。
3食の安全性を、生産から消費に至る各段階において確保すること。
4食品の安全性に関する行政への消費者の参加を確保すること。
5食の安全性の確保に関する施策の決定に際して、消費者、事業者その他関係者の意見を聴取し、その過程の公正性及び透明性を確保すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成14年12月18日
東京都議会議長 三田敏哉
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 厚生労働大臣 あて提出
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