東京都議会議員の政治倫理の確立に関する決議
中小企業向けの制度融資に係る出資法違反事件は、融資申込みの際に違法な仲介手数料を受け取ったブローカーに対する逮捕に始まり、次いで信用保証協会や関係行政機関に口利きを行った議員秘書が逮捕され、去る11月22日には、現職の都議会議員が逮捕されるという深刻な事態に至った。
現在、捜査中でもあり、事件の真相はいまだ明らかではないが、容疑が事実であれば、金融機関の貸し渋りに苦しんでいる中小企業の救済を目的とした制度の趣旨に反する許されない行為である。今回の事件に都議会議員がかかわっていたことは、これまで永々と築いてきた都議会に対する都民の信頼を著しく傷つけることになる。
これまで都議会は、不況に苦しむ中小企業を救済するために数々の具体的な施策を検討し、また厳しい都財政にあって景気対策が実現するよう積極的に努力してきたところである。こうした真摯な取組みにより築いてきた都議会への信頼を今回の事件によって損なうことがあってはならない。我々は、早期に事件の真相が明らかになることを望むとともに、今こそ、都議会の名誉にかけて、今回のような疑惑が再発することのないよう、議員自らの自覚と責任において襟を正していく必要がある。
よって、東京都議会は、中小企業向け制度融資に係る出資法違反事件を機に、都民の信頼を回復するために都議会議員の政治倫理の一層の確立に努めるものである。
以上、決議する。
平成12年12月15日
東京都議会