企業再編に伴う労働者保護のための法律制定に関する意見書

 平成12年3月10日、これまで我が国では認められていなかった企業分割の法制を整備するため、商法等の一部改正案と「会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案」が閣議決定された。
 企業分割は、雇用と労働条件に重大な影響を与えるものであるにもかかわらず、これらの法律案においては、労働組合との事前協議や解雇の禁止等が規定されておらず、また労働契約の承継措置についても、余りにも不十分な内容となっている。
 商法等の改正により、今後、企業組織の分割が行われるとともに、合併、営業譲渡などによる企業組織の再編が進展することが予想されるが、東京の経済を支える企業において、雇用の安定が十分に図られ、経済の活性化が円滑に推進されるためにも、労働者保護のための一層の法整備が求められる。
 よって、東京都議会は、政府に対し、企業の分割・譲渡・合併などによる再編に対応し、雇用関係、労働条件、労働契約、労働協約の承継等を規定する労働者保護のための法律を早期に制定することを強く要請する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
 平成12年3月30日
東京都議会議長 渋谷守生
内閣総理大臣 法務大臣 労働大臣 自治大臣 あて提出