じん肺根絶に関する意見書

 じん肺は、鉱山現場に限らず、トンネル建設、鋳物製造、造船・機械工業などの作業現場で多く発生しているもので、小さな土ぼこりや金属粒などの粉じんを長い年月にわたり多量に肺に吸い込むことにより、発生する病気である。肺は、吸入された粉じんを核にして反応し、繊維性組織の増加等の変化を起こし、機能を次第に低下させる。
 また、じん肺は、気管支炎や気胸、結核など様々な疾病を合併して発症することも多い。現在、じん肺そのものの治療法はなく、死に至ることもあることから、り患者とその家族を苦しめる悲惨な病気であり、早急に解決を図るべき重大な問題である。
 政府においても、じん肺法を制定し、作業環境の改善や健康管理の充実等各種の対策を講じてきたところである。しかし、法制定後約40年が経過しようとしている今日においても、年間千人以上のり患者が、じん肺として新たに労災保険の支給対象となっている。
 よって、東京都議会は、政府に対し、これらの産業に発生しているじん肺問題の解決のため、次の事項を実現するよう強く要請する。
1じん肺を早期かつ確実に根絶するため、法改正を含む対策を講じること。
2じん肺患者が発生している企業や業界に対し、適切な指導等を行うこと。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
 平成12年3月30日
東京都議会議長 渋谷守生
内閣総理大臣 厚生大臣 通商産業大臣 運輸大臣 あて提出
ページ先頭に戻る