歯科矯正への保険適用に関する意見書

 健康な身体を保つために、歯は重要な働きをしている。しかし、近年子どもたちの嗜好は、固いものより軟らかいものを好む傾向があり、噛むことが少なくなったこともあって、顎の発達が悪く歯並びの悪い子どもが多くなったと言われている。
 乱れた歯並びや不正咬合は、外見の悪さやそれによる心的な影響だけでなく、虫歯や歯周病、顎関節症などの原因にもなり、更には、脳の発達にまで悪い影響を与えると言われている。このような理由から、既に学校の歯科検診に歯並びの項目が設けられたところである。
 また、大人になってから歯並びが悪くなった場合でも、上手に噛めないことにより、食物の消化が悪いなど、健康に様々な影響が現れるため、中年からの歯科矯正の意義を認める歯科医もいる。
 不正咬合は、歯科矯正により、ほぼ 100%治るところである。しかし、歯科矯正で、健康保険が適用されるのは唇顎口蓋裂や顎変形症などの顎の手術を伴う特殊な場合だけで、それ以外の場合は、治療費が一般的に50万円から 100万円と余りにも高額で全額自己負担のため、治療を断念する人も少なくない。
 よって、東京都議会は、政府に対し、国民の健康増進に資するため、医療上の機能回復を目的とする歯科矯正を保険適用の対象とするよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
 平成12年3月30日
東京都議会議長 渋谷守生
内閣総理大臣 厚生大臣 自治大臣 あて提出
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