アレルギー性疾患対策の早期確立に関する意見書

 近年、アトピー性皮膚炎、気管支ぜん息、アレルギー性結膜炎及び花粉症等のアレルギー性疾患に悩む患者・国民の数は増加の一途をたどり、今や「国民病」となりつつある。平成7年度の厚生省の調査によれば、乳児の29%、幼児の39%、小児の35%、成人においては22%に上っている。
 その要因としては、大気汚染、食生活・住環境における多くの人工化学物質、ダニ・カビ等の細菌の繁殖、ストレスの増加など、様々なものが考えられ、相互に複雑に絡み合っていると言われている。これらの疾患に悩む患者・国民は、効果的な治療法や的確な情報のないまま、不快症状から深刻な苦痛に至る様々な症状に悩まされ、日常生活や社会生活にも大きな影響がもたらされている。
 こうした状況を打開するためには、アレルギー性疾患発生の仕組みの解明と、より効果的な治療法の確立が一層強く求められている。
 よって、東京都議会は、政府に対し、総合的なアレルギー性疾患対策の推進を図るため、次の事項を実現するよう強く要請する。
1乳幼児健診において、アレルギー検査が促進されるよう予算の充実を図ること。
2アレルギー性疾患の病態・原因の解明、効果的な治療法の開発推進のため、研究費の大幅増額を図ること。
3研究拠点として国立のアレルギー総合センターを設置するとともに、アレルギー専門医の養成を図り、主要医療機関の「アレルギー科」の設置を促進すること。
4アレルギー性疾患の発生を予防するため、食品中の抗原物質について、消費者にとって分かりやすい表示をさせること。
5人体に有害な作用をもたらす化学物質の住宅などへの使用を規制し、安全なものへの転換を促進させること。
6窒素酸化物や浮遊粒子状物質等の大気汚染物質の削減対策を強化すること。
7山林等において、花粉症の原因となる杉等の樹種から他の樹種への転換を進めること。

 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
 平成12年3月30日

東京都議会議長 渋谷守生
内閣総理大臣 厚生大臣 農林水産大臣 通商産業大臣 自治大臣 環境庁長官 あて提出
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