中小企業の事業承継円滑化のための税制改正に関する意見書

 我が国経済がグローバル化し、産業構造の転換が進むなど企業を取り巻く環境が激変している中で、開業率が廃業率を下回るなど中小企業数が減少し続けている。中小企業は、経済全体に絶えず活力を与える存在であり、経済活性化を図り、雇用を維持するためには、将来にわたってその活力を維持することが極めて重要である。
 しかしながら、中小企業の相続資産は、事業用の土地、建物、会社の株式など事業継続のためには売却不可能な「拘束性」の高い資産が多くを占めている。中小企業の若手経営者の中には、新しい分野への果敢なチャレンジを行っている者が少なくないが、相続の際に税が負担できずに廃業に追い込まれるなど、円滑な事業承継が困難になっている。
 したがって、事業用資産について、相続税制を改正することにより、中小企業の円滑な事業承継が行われ、若手経営者による新規分野へのチャレンジが容易に行えるようにしていく必要がある。
 よって、東京都議会は、政府に対し、次のことを実現するよう強く要請する。
1個人事業主等の事業用の固定資産及び自社株等の事業用資産について、一般の相続財産とは別枠とするなど、相続税制を改正すること。
2相続税の事業用資産について、税率の引下げ、基礎控除額の引上げなどを図ること。
3取引相場のない株式の評価方法について、類似業種比準価額方式又は純資産価額方式の選択適用、類似業種比準価額方式における減額率の拡大・計算方式の見直しなどの改善を図ること。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
 平成11年12月16日
東京都議会議長 渋谷守生
内閣総理大臣 大蔵大臣 通商産業大臣 自治大臣 あて提出
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