消費者契約法(仮称)の早期制定に関する意見書

 近年、我が国においては、消費者の自由な選択を基礎に自由な競争が行われる市場原理重視の経済・社会の実現を目指して、規制緩和・撤廃が推進されている。このように消費者を取り巻く環境が急速に多様化、複雑化しているにもかかわらず、消費者と事業者の間で情報や交渉力の大きな格差が存在しているため、消費者契約を巡るトラブルも急増している。そこで、「消費者のための新たなシステムづくり」として、消費者契約に係る民事ルールの整備が緊急の課題となっている。
 第16次国民生活審議会消費者政策部会は、平成11年1月、「消費者契約法(仮称)の制定に向けて」と題する報告書をまとめ、「具体的な民事ルールを規定する消費者契約法をできる限り速やかに制定すべきである」と総括し、立法に当たっての論点を指摘した。
 第17次国民生活審議会は、11月30日、消費者契約法検討委員会から消費者契約に関する重要事項等について最終報告を得た。さらに、同審議会は、これを踏まえ早期の立法化を実現するために、平成11年末を目途に取りまとめを行うこととしている。政府は、その報告を受け、できるだけ早期に法案を提出する方針といわれている。規制緩和の時代にふさわしい消費者保護を目的とした同法の導入は、国民の消費生活の安定及び向上にとって不可欠な措置である。
 よって、東京都議会は、政府に対し、消費者利益を守る観点から、被害者救済に実効性があり、同時に被害の未然防止にも有効となる、包括的かつ具体的な民事ルールを定める「消費者契約法(仮称)」を早期に制定するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
 平成11年12月16日
東京都議会議長 渋谷守生
内閣総理大臣 法務大臣 通商産業大臣 自治大臣 経済企画庁長官 あて提出
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