タクシーの安全輸送等の確保に関する意見書

 現在、政府は、行政改革委員会の自由化政策、本年4月の運輸政策審議会答申を踏まえ、タクシーの需給調整規制を廃止するとともに、上限運賃制とそれ以下の運賃自由化を図る道路運送法の改正作業を進めている。これまでの弾力化措置による増車の自由化政策は、東京の各ターミナルや繁華街に空車タクシーをはん濫させ、交通渋滞を激化させており、商店街の営業妨害ともなっている。このことは、都市構造を無視した規制緩和の名によるタクシー増車が、都市生活の重大な障害となっていることを明白に示している。
 一方でタクシー労働者の営業収入は、交通渋滞や増車などにより、10年以上も前に逆戻りしてしまっている。これでは、タクシー事業の健全な発展はもとより高齢者、身体障害者等利用者の安全を図ることは極めて困難である。
 よって、東京都議会は、政府に対し、道路運送法の改正に当たっては、都市生活に欠かせない安全かつ快適なタクシー輸送を維持するため、次のことを実現するよう強く要請する。
1規制緩和がタクシー輸送の安全を脅かし、都市機能に重大な障害をもたらすことがないよう適切な歯止めを行うこと。
2タクシーの供給過剰により、労働条件やサービスの低下を引き起こしている場合などには、減車も含む適正な事後的緊急調整措置を明確に規定すること。
3ダンピング競争による輸送秩序の混乱を防ぐとともに、利用者、とりわけ交通弱者の利便を考慮し、運賃の上下制限幅を設定すること。
4タクシーの輸送効率を高め、公共交通機関としての役割が果たせるようバスレーンへの実車タクシー乗り入れ、駅前広場等のタクシー乗場の整備など交通優先権の確立、拡充を図ること。
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。
 平成11年12月16日
東京都議会議長 渋谷守生
内閣総理大臣 大蔵大臣 運輸大臣 自治大臣 あて提出
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