五十人平地区に自然公園施設を
盛り土による災害防止の取組を

公園整備

質問1
 鬼滅の刃の主人公、竈門炭治郎は、奥多摩町の雲取山出身です。その都内最高峰の雲取山に至る奥多摩町の五十人平地区は、山頂まで約一時間の距離で、登山道のメインルート上に位置します。

 この場所には、かつて奥多摩町が整備し、管理してきた奥多摩小屋があり、多くの登山者が利用していましたが、老朽化などの理由で平成三十一年に閉鎖し、施設が取り壊されました。

 その後、都民を中心に、せめてテントスペースとして整備できないかという声が多く寄せられました。しかし、五十人平は国立公園であり、宿泊施設として利用するのであれば、国の公園計画を見直す必要がありました。

 そこで、我が党が環境省へ働きかけた結果、計画を見直すことが決まり、宿泊施設の設置が可能となりました。

 雲取山への登山やトレッキングを楽しむ都民に対して、五十人平地区に宿泊などができる自然公園施設を設置すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
環境局長
 奥多摩町の自然公園施設についてでございますが、自然公園施設は、利用者が自然の中で安全かつ快適に宿泊などを楽しみ、自然との触れ合いや自然への関心と理解を深めることができる施設として設置してございます。

 五十人平地区では、奥多摩小屋の閉鎖以降、登山者が野営場ではない小屋の跡地周辺や山岳救助のためのヘリポートにテントを張るなど、不適正な事例がございました。

 このため、不適正事例を解消し、登山者の安全確保や自然環境の保全の観点から、国や奥多摩町などと協議を重ねた結果、都が野営場を新設することで合意いたしました。

 今後、都は、野営場の設計などを行うとともに、奥多摩町と具体的な管理方法の検討を進め、快適な利用環境を整備し、登山者の安全を確保してまいります。

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防災対策

質問1
 奥多摩を含む西多摩は、都民が自然にじかに触れることができる貴重な地域です。その西多摩の日の出町などでは、近年の気候変動による自然災害のリスクだけでなく、残土処分などによる人的災害も発生し、住民が危険にさらされています。

 そのような中、国は、昨年七月に発生した熱海市での土石流災害を踏まえ、盛土等による災害から国民の生命、身体を守るため、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案を国会に提出し、危険な盛土等を包括的に規制する宅地造成及び特定盛土等規制法、通称盛土規制法が五月二十日に成立し、同月二十七日に公布されました。

 都は、盛土による災害防止に向け、昨年十二月に関係局から成る会議体を設置しておりますが、これまでどのような取組を行ってきたのか、また、国の法改正を踏まえて、今後どのように対応していくのか見解を伺います。

答弁1
都市整備局長
 盛土規制法への対応についてでございますが、都は、昨年十二月から、盛土による災害防止に向け、関係局と連携して、法令のはざまとなっている課題への対応の在り方などを検討してまいりました。

 今般成立した宅地造成及び特定盛土等規制法、通称盛土規制法は、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を包括的に規制するものとなっており、課題の解決に有効であると認識しております。

 法では、都道府県等の役割として、規制区域の指定や区域内の工事の許可などが規定されており、国は、今後、規制に関する具体的な考え方等を示す意向でございます。

 都といたしましては、これらの動向も踏まえつつ、新たな法の実効性を高める措置を国に提案要求していくとともに、運用に向けた準備を進めてまいります。

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多摩・島しょ振興

質問1
 西多摩地域には、登山、キャンプ、渓流釣りなど、自然を生かした観光スポットがあり、多くの人々が訪れます。また、西多摩地域の山間部の道路は、山と川に挟まれた地形を縫うように走り、道幅や歩道が狭い区間が存在しています。

 盛土対策と同様に、都は防災機能を目的として無電柱化を進めていますが、この地域における無電柱化は、防災の観点から重要な取組であるとともに、観光資源としての景観を創出することを可能にする極めて重要な施策です。

 そこで、西多摩地域の山間部における幅員の狭い道路の無電柱化をどのように進めていくのか伺います。

答弁1
東京都技監
 西多摩地域の無電柱化についてでございますが、幅員の狭い山間部の道路において無電柱化を進めるためには、現場状況に応じた整備手法を確立することが重要でございます。

 都はこれまで、電線管理者と連携して、特殊部のコンパクト化や変圧器と一体となった街路灯の開発などを進めてきております。

 これらの技術を活用し、西多摩地域の山間部において、歩行空間や良好な景観の創出にも配慮した無電柱化を進めるため、現在、先行的に整備する路線を選定中でございます。

 引き続き、安全・安心で魅力ある西多摩地域の実現に向けまして、無電柱化を着実に推進してまいります。

質問2
 次に、移住、定住の促進について伺います。

 西多摩地域の市町村の人口減少は、もはや危機的な状況にあります。西多摩地域の市町村で構成される西多摩地域広域行政圏協議会が昨年三月に公表した広域行政圏計画では、圏域の人口が、令和二十七年には現在の約四十万人から三十万人へと十万人減少すると推計されています。

 西多摩地域では、住居確保への支援、子育て世帯への支援、独自のガイドブック作成など、既に熱心に取り組んでいる自治体もあれば、これから庁内の連携体制を構築して取組を始める自治体もあります。

 そのような中、都は、移住、定住の相談窓口を開設しました。その効果を発揮するためには、受入れ側の市町村の体制整備が欠かせません。

 そこで、相談窓口の設置をきっかけに、市町村との連携をさらに推進するとともに、移住、定住の促進に向けた取組を支援していくことが重要であると考えますが、見解を伺います。

答弁2
総務局長
 移住、定住の促進に向けた取組についてですが、多摩・島しょ地域への移住、定住を促進するためには、地域の魅力や実情を把握し、主体的に様々な取組を行っている市町村への後押しが重要でございます。

 そのため、都は、先月、有楽町に新たに設置した移住、定住の相談窓口において、市町村の魅力を発信するとともに、移住希望者からの相談に対して市町村と連携し、きめ細かい対応を行っていくこととしております。

 また、今年度設置しました都と市町村の連絡会議などで情報共有や意見交換を緊密に行うほか、市町村職員を対象とした先進的な事例やノウハウを紹介するセミナーを開催するなど、移住、定住対策を支援してまいります。

 こうした取組を進めることで、多摩・島しょ地域への移住、定住を促進し、地域の持続的発展につなげてまいります。

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医療機関への迅速な救急搬送

質問1
 東京消防庁は、「未来の東京」戦略において、一一九番の受信後、現場到着までの時間を全国平均以下にすることを目標に掲げ、取り組んでいると聞いています。そのことは重要なことですが、肝腎なのは、一一九番の通報から病院へ搬送され、医師に診察されるまでの時間をいかに短くするかです。

 ところが、救急車が現場に到着してから応急処置をし、搬送先となる病院が決まるまでの時間が以前と比べて延びていると聞いています。

 コロナ禍により、医療体制のさらなる充実が重要であることはもちろんですが、そのような中でも、救急隊が現場から近い病院に効率よくアプローチできるなど、救急活動面での取組も必要であると考えます。

 そこで、救急隊が搬送先を決定するまでの仕組みと、あわせて、救急隊が現場に着いてから少しでも早く病院へ搬送するための救急活動面における今後の取組について伺います。

答弁1
消防総監
 医療機関への迅速な救急搬送についてでございますが、救急活動は、傷病者の容体観察に基づく救命処置を行いながら、診察可能な直近の医療機関へ迅速に搬送することを主眼としております。

 このため、病院実習等により救急隊員の技能向上を図るとともに、現場の状況に応じ、救急資格者が乗務するポンプ隊も出動して、活動の支援を行っております。

 また、医療機関の選定に当たりましては、傷病者の症状に応じた直近の医療機関が確認できるタブレット端末を活用し、速やかな搬送先の決定に努めております。

 今後とも、救急隊の活動能力の向上を図るとともに、タブレット端末などのICT機器をさらに有効に活用するなど、迅速かつ適切な救急活動に努めてまいります。

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病気等により登校できない子供への支援

質問1
 誰一人取り残さない、学びを止めない観点から、一人一台端末を活用し、病気などにより学校に行くことができない子供たちへの支援をすべきことは、令和四年予算特別委員会で質問いたしました。

 都では、長期欠席の児童のうち、不登校の児童に関しては、現状を把握し、オンライン授業などを積極的に行っていますが、病気などにより学校へ行けない子供たちは、その実態も把握できていないことをただし、教育委員会からは、各学校の支援の状況を調査する旨の答弁がありました。

 そこで、調査の結果と今後の取組について、教育委員会の見解を伺います。

答弁1
教育長
 病気等により登校できない子供への支援についてでございますが、様々な事情で長期に欠席している子供たちに対する学びの保障には、デジタルの活用も有効でございます。

 都教育委員会は、病気等により小中学校に登校できない子供に対するデジタルを活用した支援について、令和四年四月、実態把握を行いました。

 この結果、八割の区市町村で、こうした子供にも端末を配布し、オンラインでの授業やデジタル教材の活用により学力の定着を図っているほか、残る二割の区市町村では、プリントや面談などでの学習支援を行っていることが確認できました。

 今後は、子供たちの個々の状況に即した支援が一層行われるよう、デジタルを効果的に活用して学習を進めている事例を各学校に紹介してまいります。

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都市農業

質問1
 ロシアのウクライナ侵攻により、様々な輸入品に影響が出ています。そのうちの一つに、農産物の生産に当たって使用されている化学肥料があります。

 我が国は、その原料をロシアなど海外からの輸入に大きく依存しています。ウクライナ情勢の影響により、世界的な肥料価格の高騰が起こっており、農業者の経営に影響を及ぼしています。このような状況が継続すれば、原料の供給が滞ることも懸念されます。

 こうした状況においては、堆肥を積極的に使うなど、化学肥料を削減した農業を行うことにより、肥料の購入に伴うコストを低減し、環境にも優しい農業の実現を図るべきであると考えます。

 都は、化学肥料の削減を目指す農業者の取組をしっかりと後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
産業労働局長
 化学肥料の削減に向けた支援についてでございますが、化学肥料の価格高騰が続く中、その使用量の削減を図ることは、農業経営のコストを抑え、環境負荷の低減にもつながる重要な取組でございます。

 このため、都は、農業者に対し、農地の土壌に含まれる各種の養分の量を把握する診断を無料で実施し、適正な使用量などに関する助言を行ってまいりました。

 今年度は、農業者団体のJAと連携し、土壌の診断と、それを踏まえた助言の規模を拡充し、化学肥料の使用の削減に結びつけてまいります。

 また、化学肥料に代わる堆肥の効果的な活用に関し講習会を開催するほか、栽培品目に応じた利用ノウハウについて普及指導員が農家に助言をいたします。

 こうした取組によりまして、環境に配慮した持続可能な東京農業を推進してまいります。

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環境政策

質問1
 化学肥料を使わない農業では、その土に多様な微生物が生息し、生物多様性が保たれると聞いています。しかし、そのような土中環境の整備が進む前に、開発などの人間活動や、外来種など人によって持ち込まれたものの影響により、過去二十年でレッドリスト掲載種が約四割増加するなど、都内の生物多様性は劣化が進んでいます。

 先般公表された東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ)では、生物多様性の恵みを受け続けられる、自然と共生する豊かな社会の実現に向け、あらゆる主体が連携して生物多様性を回復軌道に乗せるという目標を示しています。

 都は、都民など様々な主体と積極的に連携して、生物多様性の保全に取り組むべきと考えます。

 そのためには、希少野生動植物の生息、生育状況について分かりやすく周知し、都民に東京の自然の実態を知ってもらうことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
環境局長
 希少種情報の都民への周知についてでございますが、生物多様性の保全と回復を図る上で、希少な野生動植物の生息、生育状況を把握し、こうした情報を広く都民に伝え、関心を高めていくことは重要でございます。

 都は、希少な野生生物種等の一覧であるレッドリストや、解説版であるレッドデータブックを定期的に改定しており、今年度は本土分のレッドデータブックを改定いたします。

 新たな解説として、外来種防除に都民が参加し希少種が回復した事例や、希少種を実際に見ることができる施設の情報等を掲載し、広く発信することで、都民が生物多様性への理解を深め、自然に触れるきっかけをつくってまいります。

 今後とも、レッドリストを定期的に見直しまして、希少野生動植物の情報把握や都民への周知を積極的に進め、生物多様性保全に係る施策を推進してまいります。

質問2
 さて、東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ)のメインのテーマは、何といっても二〇五〇年ゼロエミッションへ向けた取組です。そして、目標達成には、再エネ導入拡大が大きなポイントになります。

 その施策の一つである新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化について、昨日の代表質問で伺いましたが、仮に制度が導入されたとしても、二〇三〇年の再エネ利用割合の数%にしかならないと聞いています。

 都が掲げる再エネ割合五〇%の目標の達成に向けては、地産地消の推進だけではなく、都外からの再エネ利用を一層進めていくことが重要です。

 そこで、二〇三〇年の目標達成に向けた道筋と、そのための施策展開を示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 再エネ電力割合五〇%の達成に向けた展開についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現に向けましては、省エネの一層の推進とともに、脱炭素エネルギーであります再エネの利用を拡大していくことが重要です。

 都は、二〇三〇年までに再エネ電力割合を五〇%程度に高める目標の達成をより確実なものにするために、二〇二六年に三〇%程度と定めるロードマップをお示しいたしました。

 都内への再エネ設備の設置に向けた取組に加えまして、今般、都外の設置について、都内に環境価値を還元することを条件に、新たな支援を開始いたします。

 また、都民向けには、再エネ電力のグループ購入を促す取組等を実施するなど、再エネの利用を拡大してまいります。

 今後とも、あらゆる施策を総動員いたしまして、二〇三〇年カーボンハーフを実現してまいります。

質問3
 都は、二〇五〇年までに、ゼロエミッション東京の実現に向けて、あらゆる分野の多様な取組を進めています。現在、太陽光パネルの導入義務化の検討が進んでおり、仮に実現した場合、設置や廃棄の量も増加し、処理施設の不足を懸念する声もあります。

 また、都はこれまで、廃棄される太陽光パネルのリユース、リサイクルに取り組んできていますが、全てがリユース、リサイクルされるわけではなく、埋立処分されるものもあります。

 さらに、太陽光パネルは、種類によっては鉛等の有害物質を含み、流出のおそれがあり、解体撤去時には感電や破損等によるけがの問題があります。住宅用パネルの解体撤去は、十分な情報や知識を持たない中小企業が実施することもあり、技術的なサポートが不可欠です。

 こうした様々な問題を克服することはもとより、安全かつ適切なリユース、リサイクル処分ができる仕組みづくりは最低限必要です。都は、こうした技術的な支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3
環境局長
 太陽光パネルのリサイクルへの支援についてでございますが、太陽光発電の普及を進める際、廃棄時の安全かつ適切なリユース、リサイクル、処分の仕組みが必要でございます。

 近年、事業用パネルにつきましてはリサイクルが進んでございますが、今後は、都内で約七割を占める住宅用への拡大を図っていく必要がございます。

 住宅用では、取り外し作業等に不慣れな事業者が携わることも想定され、遮光用シートで覆う等の感電防止、ガラス破損に備えた安全保護具の着用等、作業員への安全対策が不可欠でございます。

 都は今年度、解体業者、収集運搬業者等で構成する協議会を設置しまして、住宅用のリサイクルを行うとともに、使用済みパネルの取扱いマニュアルを作成するなど、安全、適切なリユース、リサイクルや適正処理を着実に進めてまいります。

質問4
 次に、アスベスト対策について伺います。

 今般のアスベスト規制で事業者の負担は増大しており、事業者の声を聞きながら、規制の運用に対応する必要があると考えます。

 我が会派は、事業者の意見を吸い上げるため、建設業界等との意見交換の場を設けました。そこでは、発注者となる戸建て住宅のオーナーが、アスベストの規制をしっかりと理解できるよう周知してほしいとの要望がありました。

 戸建てオーナー等の発注者がアスベストの規制をしっかりと理解できるよう、都は今後、発注者への周知をどのように取り組むのか伺い、質問を終わります。

答弁4
環境局長
 アスベストの規制に係る周知についてでございますが、建物の解体や改修工事におけるアスベストの規制が強化される中、その飛散防止を徹底するためには、アスベストの規制について発注者の理解と協力が必要でございます。

 このため、都は、解体や改修時に事前調査が必要になること等を示した発注者向けのチラシを作成し、業界団体等を通じて配布したほか、アスベストの規制内容を解説する動画の配信等に取り組んでまいりました。

 今後、戸建て住宅のオーナーが断熱改修に関する都の支援制度等を利用する機会を捉えて周知を図ってまいります。また、デジタルサイネージやSNS等の様々な媒体も活用するなど、発注者に規制内容が浸透するよう取組を進めてまいります。

 こうした取組によりまして、アスベスト対策への発注者の理解を高め、飛散防止に向けた取組を一層推進してまいります。


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