交通不便地域における高齢者等の移動支援の充実に関する意見書

 75歳以上の運転者による死亡事故件数は、全国的に10年間ほぼ横ばいで推移しているものの、死亡事故全体に対する構成比は上昇傾向にあり、平成30年は全体の14.8%を占め、また、75歳未満の運転者による場合と比較すると、免許人口10万人当たりで2倍以上多く発生している。
 高齢運転者による交通事故が相次ぐ中、高齢者の運転免許の自主返納への理解を促進する視点を含めた、公共交通施策の充実が必要である。
 東京都市圏パーソントリップ調査によると、都内において、公共交通と徒歩を手段とする合計割合が7割以上を占める区市町村は、11区にすぎない。
 地域における広域的な移動を担うバス路線を維持するためには、地域公共交通確保維持改善事業により、引き続き必要な財源を確保する必要がある。
 また、交通不便地域を抱える一部の自治体では、買物難民などの課題の解消を図るため、コミュニティバスやオンデマンドバス等を運行しているものの、財政支援は限定的なものとなっている。
 高齢運転者の交通事故対策は、超高齢社会を迎えた我が国の重要な課題であり、高齢者等の移動手段の確保という観点も含め、関係機関が連携し、迅速にその解決の道筋を付けるべきである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、地域社会のつながりを維持し、高齢者等が生き生きと暮らすことができる持続可能な社会を形成していくため、交通不便地域における移動支援を充実させるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 令和元年6月19日
東京都議会議長 尾崎大介
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 国土交通大臣 宛て
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