地方法人課税の見直しに関する意見書

 現在、都には、首都直下地震への備えや、我が国の経済活動を支えるインフラの整備・更新、急速に進む少子高齢化への対応など、直面する行政課題に着実に取り組むとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向けた準備など、日本の成長につながる施策を積極的に展開することが求められている。
 このような膨大な財政需要を抱えているにもかかわらず、これまで法人事業税の暫定措置や地方消費税の清算基準の見直しにより、都は本来都民のために活用すべき貴重な財源の国への拠出を余儀なくされてきた。
 首都東京は、我が国の成長戦略をけん引し、日本全体の活力を底上げするといった地方創生に寄与すべき重要な役割を担っている。その目的達成のためには、東京の自主財源を維持・拡充していくことが不可欠であり、地方自治体間の財源の水平調整では、日本全体の成長にはつながらないことは明らかである。
 現在、国においては「地方法人課税に関する検討会」が設置され、新たな偏在是正措置についての議論が進められている。
 しかしながら、地方法人課税は、受益と負担とを一致させるという地方税の原則にのっとり運用が図られるべきものであり、本来、地方交付税制度が担うべき財政力格差の是正という観点から、税制度の見直しが議論されることは適切でない。
 地方税制度の本旨にもとる見直しが行われれば、企業誘致の努力が報われなくなるなど、真の地方の活性化が遠のくばかりか、都税の巨額の減収により都民生活が大きく脅かされることが危惧される。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、地方法人課税の見直しに当たっては、東京都の実情を理解し、都民にとって真に理解や納得を得られる税制度とするよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成30年9月19日
東京都議会議長 尾崎大介
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 社会保障・税一体改革担当大臣 経済財政政策担当大臣 地方創生担当大臣 宛て
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