「パリ協定」の早期批准に関する意見書

 世界では、熱波や干ばつなどの異常気象や海面水位の上昇、氷河の後退といった地球温暖化による気候変動の危機に対する不安が、かつてないほど高まっている。
 こうした中、平成27年12月、パリ市において開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、2020年以降の気候変動対策の新たな国際枠組みである「パリ協定」が採択された。
 パリ協定は、都市などが行う気候変動対策を歓迎し、国と自治体とによる一層の協力を奨励している。国連事務総長の声明やCOP21開催中のサイドイベントにおいても、都市や自治体などによる取組に対して大きな期待が表明されている。今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロとする目標を掲げているパリ協定の実効性を高めるためには、各批准国における対策の強化はもとより、世界人口の約6割が集中していると言われている都市が大きな役割を果たすことで、世界的な気候変動対策の推進に貢献していかなければならない。
 都は、これまでも国と連携しながら、気候変動対策を推進してきた。また、都市としては世界で初めて実施したキャップ・アンド・トレード制度など、東京の特性に合わせた先進的な気候変動対策にも取り組んできた。加えて、COP21の開催に先駆け、2030年までに、東京の温室効果ガス排出量を、30%削減するという明確な目標を掲げており、国とも協働し、エネルギー消費量の削減と経済成長とが両立した先進的な気候変動対策を実施していくこととしている。
 2010年時点で、世界の二酸化炭素排出量の3.8%を占める日本が、早期にパリ協定を批准し、東京都を始め国内の自治体と連携協力した具体的な気候変動対策を実施していくことが求められている。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、速やかに手続を進め、早期にパリ協定を批准するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成28年10月13日
東京都議会議長 川井しげお
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 外務大臣 環境大臣 宛て
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