ほう素、ふっ素等及び亜鉛に係る排水基準への対応に関する意見書

 水質汚濁防止法に基づく排水基準のうち、ほう素、ふっ素等については平成13年7月に、亜鉛については平成18年12月に一律の排水基準が設定されたが、一部の業種の排水処理技術が開発途上にあることから暫定の排水基準が設定され、これまで暫定基準の適用期限が延長されてきた。この間に、製造工程の見直し等により対応が可能となった業種については、順次、基準値の強化や一律の排水基準への移行が行われてきたが、その一方でいまだ技術的な対応の難しい業種も存在する。
 ほう素、ふっ素等については平成25年、亜鉛については平成23年に暫定基準の適用期限が延長されたが、いずれについても今日までに、廉価で導入できる排水処理技術に関し、大きな進歩があったとは言えないまま、ほう素、ふっ素等は平成28年6月、亜鉛は同年12月に現行の暫定基準の適用期限を迎える。
 このような状況のまま、厳しい一律の排水基準が適用されることになれば、都内における多数の中小零細企業の事業場では、その対応に苦慮することが予測される。
 例えば、都内23区には約350の電気めっき事業場が集積しているが、節水型の施設が多いため、排水濃度が高くなる傾向にある。また、これらの事業場は市街地に立地し、狭あいな敷地で事業が営まれており、排水処理施設の設置スペースを確保しにくい実情がある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、大都市に立地する中小零細企業の現状を十分考慮の上、次の事項を実現するよう強く要請する。
1中小零細企業が導入可能な排水処理技術が開発されるまで、暫定排水基準の適用期限を再度延長すること。
2国が主体となって、排水処理技術の調査、研究・開発を早期に推進し、その普及・実用化に努めるとともに、大手メーカー等に対し、新たなめっき加工技術及び排水処理技術の普及を積極的に働き掛けること。
3中小零細企業が新たな排水処理技術の導入を図る場合には、財政援助を行うこと。
4地方自治体が行っている排水処理技術の研究・開発等に対し、必要な財政措置等を講ずること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成28年3月25日
東京都議会議長 川井しげお
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 経済産業大臣 環境大臣 宛て
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