地方税財源の確保及び不合理な偏在是正措置の撤廃等に関する意見書

 現在、国では、2020年度(平成32年度)の国・地方のプライマリーバランス黒字化の達成に向け、財政健全化計画の策定を目指し、議論が進んでいる。この中で、地方財政の歳出改革が不可欠との方針から、地方交付税制度改革や補助金の統廃合などが示されており、地方財政への影響が懸念される。
 加えて、地方法人課税の偏在是正については、「経済財政運営と改革の基本方針2015」の素案において、「「税制抜本改革法」を踏まえ、地域間の税源の偏在を是正する方策を講ずる」との方針が示されており、今後、東京から財源を奪う不合理な偏在是正措置を国が更に拡大することが危惧される。
 これまで、地方自治体は、職員数や給与関係経費の削減などの取組により、自ら歳出削減を図ってきており、中でも、都は、国や他の自治体に先んじて、二次にわたる財政再建推進プランを実行するなど、総人件費の削減を始めとした行財政改革に積極的に取り組むことにより、将来の施策展開を支える財政基盤の確保に努力してきた。
 こうした中、地方自治体は、多岐にわたる行政サービスを担っており、今後も社会保障関係費の増加や社会インフラの更新への対応等、更なる財政需要の増加は避けられない状況にある。
 とりわけ、都においては、少子高齢化への対応、防災対策の推進など、都民の安全・安心の確保に向けた課題が山積していると同時に、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を起爆剤として、日本の成長を牽引していくことが求められている。
 真の地方自治とは、地方自治体が自らの権限と財源に基づいて行財政運営を行うことにより初めて実現できるものであり、そのためには、国から地方への権限の移譲と、その権限に見合った財源を確保できる税財政制度を構築することが不可欠である。限られた財源を地方間で奪い合うという従来どおりの発想では、地方が直面している課題の本質的な解決にはつながらず、我が国の明るい展望を描くことはできない。都市と地方が共に栄える真の地方創生の実現に向け、地方税財源全体の充実・強化を図ることが必要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要請する。
1国の財政健全化計画及び「経済財政運営と改革の基本方針2015」の策定に当たっては、地方のこれまでの取組や地方が担う役割を踏まえ、地方自治体の財政運営に影響を及ぼすことのないよう、地方の税財源を確保すること。
2地方法人課税の不合理な偏在是正措置を直ちに撤廃して地方税に復元するとともに、新たな偏在是正措置を導入することなく、総体としての地方税財源の充実・強化に取り組むこと。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成27年6月24日
東京都議会議長 高島なおき
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 社会保障・税一体改革担当大臣 地方創生担当大臣 経済財政政策担当大臣 宛て
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