地方法人課税の不合理な偏在是正措置の撤廃及び地方税財源の拡充等に関する意見書

 地方が自立し、地域の課題を主体的に解決していくためには、更なる地方分権の推進と財政自主権の確立により、自らの権限と財源に基づいて行財政運営を行うことが不可欠である。
 しかしながら、地方法人特別税・地方法人特別譲与税や今年度新たに導入された地方法人税は、受益と負担という地方税の原則に反し、地方分権の流れに逆行するものであり、地方自治の本旨にもとるものである。
 さらに、来年度から予定されている法人実効税率の引下げにおいては、全ての地方自治体の歳入に影響を与えないことが大前提であり、また、地方自治体が行う超過課税は、憲法で保障された課税自主権に基づくもので、地域の実情に応じた行財政運営を行う上で必要不可欠な財源であり、地方自治体の判断が尊重されるべきものである。
 現在、国や地方において東京一極集中の是正が議論になっているが、「地方創生」という旗印の下、東京から財源を奪うことは、日本経済を牽引する東京の活力を削ぐことであり、日本の国際競争力の低下にもつながりかねない。日本の将来を考えれば、大都市である東京と、元気で豊かな地方がそれぞれの強みを発揮し、その相乗効果により、より多くの付加価値を生み出していくことが重要である。
 地方自治体は、教育や産業振興、少子高齢化への対応など様々な行政サービスを担っており、都においても、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた万全の準備を始め、社会保障関係費の増加や社会資本ストックの維持更新への対応など、膨大な財政需要が存在している。こうした中、地方財政が抱える巨額の財源不足を根本的に解決するためには、地方間で限られた財源を奪い合うのではなく、国と地方の役割分担に見合う税財源が必要であり、地方税財源全体の充実・強化を図ることが重要である。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、法人実効税率の引下げに当たっては、確実な代替財源を確保するとともに、不合理な偏在是正措置である地方法人特別税・地方法人特別譲与税と地方法人税を直ちに撤廃して地方税に復元し、日本再興を支える地方税財政制度を確立すべく、総体としての地方税財源の拡充に取り組むよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成26年11月28日
東京都議会議長 高島なおき
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 社会保障・税一体改革担当大臣 経済財政政策担当大臣 地方創生担当大臣 宛て
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