都市農業の振興及び農地の保全に関する意見書

 東京では、施設栽培など限られた農地を最大限に活用した収益性の高い農業が展開され、都民に新鮮で安全・安心な農産物が提供されている。また、その生産基盤である農地は、都民生活に潤いと安らぎをもたらし、防災や環境保全等の面からも大きく貢献している。
 しかし、近年、農産物価格の低迷が続き、収益性が悪化するなど、都市農業を取り巻く環境は厳しさを増していることに加え、農家の相続時における高額な税負担などにより、都内の農地は、年々、減少を続けている。特に市街化区域内の農地の減少は著しく、平成14年からの10年間で967ヘクタール減少し、歯止めが掛からない状況である。
 こうした状況を踏まえ、都においては、市街化区域内における農地制度と税制度の改善を長年にわたり国に要請してきたが、いまだ実現していない。このままでは、農業従事者の高齢化が進む中で、今後も相続等を契機として、かけがえのない都市農地が減少し続けることは明らかである。一度失われた農地を取り戻すことは極めて困難であり、一刻も早い対応が必要である。
 現在、国においても、都市農業・農地の役割を再評価し、都市の中で、その機能をいかしていくための議論が始まっており、この機会に、都市農業・農地が持続可能となる政策へと転換を図る必要がある。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、都市農業振興の根拠法となる「都市農業・都市農地基本法(仮称)」の早急な制定を強く求めるとともに、現行の都市農地制度や相続税制度等の改善を行うなど、都市農業の振興と都市農地の保全のために必要な措置を講ずるよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成25年12月13日
東京都議会議長 吉野利明
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 財務大臣 農林水産大臣 国土交通大臣 宛て
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