登記の事務・権限等の地方への移譲に関する意見書

 平成22年6月に閣議決定した「地域主権戦略大綱」においては、国の出先機関の原則廃止する姿勢の下、地方自治体への事務・権限等の移譲など、抜本的な改革を進めることが定められた。
 こうした中、国の地域主権戦略会議において、出先機関改革の一環として、法務局が担う登記制度も、地方に移譲すべき対象として検討されている。
 しかし、登記制度は、国民の重要な財産を守り、不動産取引等の安全に寄与する信用制度であり、高い中立性・公正性が求められるものである。また、登記事務は、国民の権利の擁護に係る事務であることから、全国統一した法解釈や運用、事務処理基準を堅持し、国の機関である法務局が直接実施する必要がある。
 また、登記事務の遂行に当たっては、民法、不動産登記法、会社法、民事訴訟法等の高度な専門的知識・能力に基づく判断が必要であるとともに、安全・安心かつ迅速・円滑に処理が継続されることが不可欠である。登記事務が地方に移譲された場合、地方自治体及びその職員に著しい負担が生じるとともに、事務能力の格差が生じることが懸念される。登記事務に従事する専門職員の教育・研修は、長期的な視点の下、国が一元的・体系的に行うべきである。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、法務局が担う登記の事務及び権限等を地方への移譲対象としないよう強く要請する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 平成24年6月20日
東京都議会議長 中村明彦
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 法務大臣 宛て
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